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ラボシティ
Lab City

研究代表者:中西泰人(環境情報学部教授)
連絡先:慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス 中西泰人研究室
naka[at]sfc.keio.ac.jp
pdflogo 印刷用PDF (2017年11月現在)

目的

無数の発明や技術革新、農業革命や産業革命による人口増加と共に、地球上に何回もの都市化のうねりを人類は経験してきた。近代の工業社会の発展と共に、二十世紀にはガルニエの「工業都市」、ハワードの「田園都市」、コルビュジェの「輝ける都市」などの近代的な都市計画モデルが提案された。二十一世紀となってメガシティが幾つも誕生している一方で、人口減少が進む日本においては都市をシュリンクさせる方策も練られる中、コネクテッドカーやIoT等の情報通信技術を用いたスマートシティの開発も進められている。都市と都市計画の関わりは、権力者・国家・産業資本といった経済社会の枠組みの変化と共に変質してきたが、公共空間の運営を民間企業が請け負うようになるなど、都市は更に複雑なシステムとなりつつあり、近代都市計画の手法の有効性が失われつつある。

曖昧で複雑で急変する大規模な社会の問題、特に自然と人工のシステムが混在しそのネットワーク的な構造が生み出す複雑な問題と、そうしたデザイン対象に求められるデザイン技法をノーマンは”DesignX”と名付けて論じている。ノーマンは、問題ごとに専門家たちのチームを作り、調査や熟考、実装と検証を継続する反復的なサイクルを行うデザイン技法を用いてComplex Sociotechnical Systemを構築し、全面的に問題を解決できない場合でも漸進主義(インクリメンタリズム)的に問題解決を実践すべきだとしている。都市の設計と計画は安易な実験が許されないという点において、先行する経験が尊重され、継承される性質があった。しかしながら、市民や民間事業者が自治体と協力しながらエリアをマネジメントし、公共空間やコミュニティ、情報サービスを作り出す実験的で実践的な試みが、福岡や神戸、東京においても様々になされている。これらの事例こそDesignXの実例といえるだろう。

都市が大規模化し、全体として建築的にとらえることが不可能となったいま、その全体と部分の関係は一体で処理できないスケールとなり、全体像は概念やダイアグラムにより表現され、街区や地区は建築的に表現されるという二層制のシステムが近代都市計画の特徴になっている。さらに情報通信システムとしてのコネクテッドカーやIoTシステムが都市の全体と部分を覆うようになると新たな層が追加される。そのため二十一世紀における新たな『都市』を表現する概念やダイアグラムを構築し、実際の都市として表現するためには、こうした複数の不可視の層と可視の層を積極的に接続してゆく必要がある。そして情報通信技術の普及に加えて、ロボットや人工知能等がこれから普及し第二機械時代とも言うべき時代が到来することを考えると、システムとしての都市は更に複雑さを増すだろう。

都市における問題が複雑化し、正解や最適解がなくなった時代には、メガシティから小さなコミュニティ、店舗のデザインから都市をまたがるクラウドサービスまで、様々なスケールの満足解を実験的に作って運営し、思考してはまた解を作っていく反復的なサイクルを醸成する環境こそが『都市』と呼ばれるようになるのではないか?そこで、二十一世紀の新たな都市像として、都市の中で実践される『都市の実験』達が都市に集う「Lab City:ラボシティ」というモデルを提案する。これは、調査や熟考、実装と検証を反復する「実験的」態度と、実際の都市をひとつのフィールドとする「実践的」態度を融合し、実験の知見を蓄積・交換・編集してゆくサイクルこそが都市の生命力を賦活するという、新たな都市像を構築しようとするものである。

「クリエイティブシティ」や「リサーチパーク」を超えた新たな都市モデルとして、ラボシティに必要なものは何か。それを思考し実践してゆくために本コンソーシアムを設置し、その実験を実践するフィールドを実装する。調査や熟考、実装と検証の反復を行う「実験的」態度と、実際のフィールドを対象とした「実践的」態度を融合し、実験から得られたさまざまな知見を編集することによって、二十一世紀の新たな都市像を漸進的に構築することを大きな目的とする。

研究活動計画の概要

(研究計画)

    近代都市計画を修正・批判・超越しようとした都市モデルおよび都市実験について調査を行う共に、参加企業で行なっている実践例を取りまとめ、Lab Cityに求められる条件や要素を調査する。

(活動計画)

  • キックオフミーティング
    ORF2017においてLab Cityの構想について議論するセッションを開催する
  • 研究会開催(隔月)
    会員間で情報を共有し議論する

構成メンバー

メンバー 所属
中西 泰人 環境情報学部教授
村井 純 環境情報学部教授
古谷 知之 総合政策学部教授
石川 初 政策・メディア研究科教授
オオニシ タクヤ 環境情報学部准教授
筧 康明 環境情報学部准教授
加藤 文俊 環境情報学部教授
田中 浩也 環境情報学部教授
鳴川 肇 環境情報学部准教授
藤井 進也 環境情報学部専任講師
水野 大二郎 環境情報学部准教授
松川 昌平 環境情報学部准教授