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産官学連携ケーススタディ
『時速370キロを誇る電気自動車 Eliicaプロジェクト』

SFC研究所で行われている産官学連携による様々な研究活動とその成果をケーススタディとしてご紹介いたします。(肩書きは掲載当時のものです)

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時速370キロを誇る電気自動車 Eliicaプロジェクト」

第1回目は、時速370キロを誇る電気自動車Eliicaのプロジェクトについて、電気自動車研究室の堤健一さんにご紹介いただきます。

Eliica

Eliicaとは「Electric Li-ion Battery Car」の略で、リチウムイオン電池を電力源とし、環境に優しく高い性能を兼ね備えた電気自動車のことです。特徴として一充電の航続距離の長距離化と充電時間の短縮が挙げられます。Eliicaプロジェクトではこの環境に優しいEliicaの実用化を目指しています。現在、一号車は370km/hを達成したテスト走行用、二号車はナンバープレートを取得して公道も走行可能な一般公道走行用として開発を行い、安全性の検証、乗用車としての運動性能の評価等を行っています。今後も実用化に向けて研究開発を行います。

地球温暖化の原因といわれている温室効果ガスCO2(二酸化炭素)の濃度は世界規模で日々増加傾向にあり、日本での二酸化炭素排出量の約20%は内燃機関自動車から排出されています。このままでは、環境悪化の傾向を止めることは非常に困難です。電気自動車は排気ガスはもちろん、水も出さない究極のエコカーです。電気自動車を実用化し社会に普及させることにより、環境問題の抜本的な解決を目指すことがプロジェクトの目的です。さらに、自動運転制御等による自動車のインテリジェント化も同時に研究を行っています。

Eliicaプロジェクト発足のきっかけは、吉田博一教授と清水浩教授の出会いにあります。元住友銀行副頭取、当時、三井住友銀リース社長であった吉田教授が「KAZ」に試乗した際、電気自動車であるにも関わらず、抜群の加速力と静寂性を誇る能力に感動しました。そして、世界の環境問題解決の視点から、清水教授の電気自動車を実用化したいとの信念のもと、このプロジェクトを支えていくことに生涯を掛けることを決意しました。ビジネス界に精通する吉田教授と日本での電気自動車研究の第一人者である清水教授とが出会い、車としての性能と環境に対する優しさを兼ねそろえた究極のエコカーの実用化を目標にしたEliicaプロジェクトが発足したのです。

このプロジェクトは国の予算に頼らず、環境問題の抜本的な解決に対する研究・取り組みに賛同していただいているエネサーブ株式会社、大和ハウス工業株式会社をはじめとした約30社の民間企業のバックアップのもとに展開している、大型の産学協同プロジェクトです。
車体コンセプトの決定、仕様、デザインは全て慶應義塾大学で行い、車体製作は慶應義塾大学と協賛企業と合同で行っています。

今後は更なる試作車の開発・テストをくり返し、数百台の少量生産からマーケットに進出する考えです。

Eliica協賛企業

(掲載日:2005/10/24)

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