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産官学連携ケーススタディ
『ひらめき☆ときめきサイエンス -ようこそ大学の研究室へ- KAKENHI』

SFC研究所で行われている産官学連携による様々な研究活動とその成果をケーススタディとしてご紹介いたします。(肩書きは掲載当時のものです)

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「ひらめき☆ときめきサイエンス -ようこそ大学の研究室へ- KAKENHI」

大学院政策・メディア研究科 大前学准教授が、日本学術振興会事業「ひらめき☆ときめきサイエンス〜ようこそ大学の研究室へ〜KAKENHI」にて、『コンピュータで自動車を動かしてみよう』をテーマに、高校生を対象としたプログラムを開催しました。
今回は、2007年8月7日(火)に実施された当プログラムの内容についてご紹介します。

「ひらめき☆ときめきサイエンス -ようこそ大学の研究室へ- KAKENHI」とは

独立行政法人 日本学術振興会が2005年度より実施している事業であり、科学研究費補助金(KAKENHI)によって得られた研究成果を、我が国の将来を担う子供達に分かりやすく発信し、科学の楽しさを身近で感じてもらい、心の豊かさと知的創造性を育んでもらうことを目的としたプログラムです。

本年度は、全国の国公私立大学から148件の応募があり、研究成果の社会還元・普及事業推進委員会において、78大学112件のプログラムが選定されました。慶應義塾大学は2005年度の矢上キャンパス、2006年度の三田キャンパスに続き、今年で3回目の参加となりました。

『コンピュータで自動車をうごかしてみよう』 8月7日(火) 於・新川崎タウンキャンパス

大前准教授のプログラムテーマ、『コンピュータで自動車を動かしてみよう』は、自動車の自動運転について、実習を通じてその仕組みや考え方を学んでもらうことを主眼として企画されました。

イベント当日は、18名の受講生と1名の保護者の計19名が参加し、午前の部では自動車の知能化・情報化に関する講義、午後の部では小型電気自動車をベースとした4台の自動運転実験車を用いて、大学生スタッフ6名の協力の下、グループ毎に制御プログラムの作成や実走行による実験評価を行いました。

コンピュータで自動車を動かしてみよう

午後の実習の主な内容は以下のとおりです。

  • 障害物との衝突回避実験(走路上の障害物に衝突せず車両を停止させる実験)
  • 走路追従実験(高精度GPSを用いた走路の地図情報や、ハンドル角を制御するプログラムを作成して、走路上を自動運転で走行させる実験)
実習終了後は、大前准教授が現在研究中である自動運転のデモ走行を行いました。高密度自動隊列走行や無人駐車など、最新の研究成果を目の当たりにすることができ、見学した受講者からは、驚きと喜びのコメントが多数寄せられました。

コンピュータで自動車を動かしてみよう

自動車の自動運転の研究について

本プログラムのテーマである「自動車の自動運転」は、大前准教授が取り組んでいる研究テーマです。自動車の自動運転は、交通事故、交通渋滞の問題を抜本的に解決する手段として期待されているだけでなく、将来の超高齢化社会における高齢者のモビリティ確保を実現する技術です。大前准教授は、高精度GPSやインターネット、ステアバイワイヤー(ハンドルと操舵リンクの機械的な連結を取り除き、独立に動かせるようにする技術)、電気自動車など、様々な技術を自動運転に適用し、単体車両の構内完全自動運転、無人駐車、携帯電話による車両呼び出し、高密度な隊列走行など、様々なシステムを構築・評価してきました。自動運転実現への道のりには、

  1. コントロールレベルを低く抑え,広い範囲で機能するものを積み重ねていく流れ
  2. 限定された空間で機能するコントロールレベルの高い自動運転システムを運用する流れ
がありますが、大前准教授の研究は、2. に位置づけられるものです。そして、その研究の成果は、高度な制御システムの運用に基づく、制御アルゴリズム、信頼性、ヒューマンファクター、運用法に関する知見を蓄積することにつながり、将来の自動車の知能化、自動運転化への指標を与えます。

自動運転の研究は、主に前述の科学研究費補助金を資金源として推進されてきましたが、企業等とも自動運転技術に関する情報交換を積極的に行っています。また、今年度採択された文部科学省科学技術振興調整費「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」における慶應義塾大学の提案課題『コ・モビリティ社会の創成』の研究内容の一つとして、小型移動体の自動運転の研究が始まりました。「コ・モビリティ社会」とは、子供からお年寄りまで、すべての人が、自由に安全に移動でき、交流が容易で、暮らしやすく、創造的・文化的な社会です。小さな範囲に限定され、情報が不足している地域共同体に、最先端の情報システムによる支援とともに「移動」が加わった多重で新しいコミュニティモデルを提示し、さまざまな社会問題を改善するための、現実的な道筋を描きます。

(※慶應義塾大学研究推進センターウェブサイト より一部引用)

(掲載日:2007/9/4)

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