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産官学連携ケーススタディ
『医療・介護・福祉と家庭の円滑な連携:MYSSIプロジェクト』

SFC研究所で行われている産官学連携による様々な研究活動とその成果をケーススタディとしてご紹介いたします。(肩書きは掲載当時のものです)

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MYSSIプロジェクトとは

MYSSI(ミッシー)とは、大学院政策・メディア研究科の内山映子特別研究講師らがプロモートする「サービス利用者を中心として、複数のサービス提供者をその周囲に位置づける」(MY Staff memberS and I)という利用者中心のコンセプトです。このコンセプトを実現する情報共有システムを高齢者介護向けに開発し、これをMYSSIと命名しました。
情報システムMYSSIは、インターネットを利用して、在宅で医療や介護のサービスを利用している利用者と、医師、訪問看護師、ケアマネージャ、ホームヘルパー等の、利用者を担当しているすべてのサービス提供者との間で情報やコミュニケーションを共有するもので、これにより、共有メンバー間で利用者の日々の状況(体温・血圧・心拍数等の身体状況、食事や入浴等の生活・心理状況、提供した支援内容や観察情報等)を共有することが可能となります。従来の医療や介護福祉分野の情報システムとは異なり、利用者のイニシアチブに基づく個人情報の自己コントロール権を尊重した個人情報の取り扱いを実現している点が特徴です。
またMYSSIプロジェクトは、情報システムMYSSIを高度化させることにとどまらず、社会システムとしての実用化を目指し、その実現に向けた活動を行っています。

MYSSI

これまでの活動

MYSSIは総務省のIT推進事業として2002年度から2003年度に実施された「e-ケアタウンプロジェクト」の実証システムのひとつとして開発され、藤沢市で実証を行いました。 
この実証実験を通じて得た知見をもとに、e-ケアタウンプロジェクト終了後は、名称をMYSSIプロジェクトと改め、2005年度に経済産業省サービス産業創出支援事業(健康サービス)の調査事業に採択され、藤沢市、NPO法人湘南ふじさわシニアネットとの協働により、高齢者や利用者を対象としたマーケティング調査を実施しました。翌2006年度には経済産業省サービス産業創出支援事業(健康サービス)の事業化支援プロジェクトに採択され、事業化を前提としたモデル事業を実施しました。このモデル事業においても、湘南ふじさわシニアネットは、2005年度に続いて利用者むけ調査、システムの運用支援に参画しました。

シニアNPOとの協働による高齢者への調査風景 シニアNPOとの協働による高齢者への調査風景

経済産業省ウェブサイト「サービス産業創出支援事業等に係るプロジェクトの公募結果について」
→17年度
→18年度

MYSSIの実用化に向けた鎌倉市との協働協定

2007年11月13日、鎌倉市とSFC研究所との間で、「地域を基盤とした医療・介護・福祉サービスの円滑化・効率化に資する連携システムの実現に向けた協働に関する協定」が締結されました。鎌倉市は高齢化率(65歳以上の人口比率)がすでに25%を越えていることもあり、この地域でのMYSSI実用化の検討・推進は、鎌倉市にとっても、周辺地域にとっても重要な意味があります。具体的な進め方についてはすでに検討をはじめていますが、地域の特性や住民の皆さんのニーズを考慮しつつ、市内や周辺地域のみならず、他地域への応用も可能となる社会システムを創り出そうとしています。

PDF慶應義塾プレスリリース「慶應義塾大学と鎌倉市が地域を基盤に
医療・介護・福祉に資する連携システムで協働」(478KB)
PDF連携システムについての説明資料 (83KB)

→広報かまくら平成19年12月1日号

鎌倉市との協定調印式にて(國領SFC研究所長と石渡鎌倉市長) 鎌倉市との協定調印式にて(國領SFC研究所長と石渡鎌倉市長)

産官学、そして地域との連携・協働

情報システムMYSSIの利用や情報共有・コミュニケーションの推進には、医療・介護福祉サービスの利用者である本人・家族はもちろん、サービス提供者である医療機関・介護事業所等の参加が欠かせません。そのためには、それぞれのニーズに即した機能を充実していく必要がありますが、その基礎となるニーズの把握には、提供者や利用者の協力が必要です。また運用支援スタッフの教育や人材育成、運営体制の整備や管理運営といった「情報システムの存続を可能にする」ための基盤整備には、地域住民をはじめ、行政や企業、地域の市民団体や教育機関等との連携も不可欠です。今後は、さまざまなパートナーとの協働により、最終的な目標の実現に向けた活動を展開していく予定です。

(掲載日:2008/1/15)

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