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医療倫理・医療安全教育研究・ラボ
Medical Ethics & Patient Safety Laboratory


2013年7月1日開設
代表者:前田 正一(健康マネジメント研究科教授)
連絡先:慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 前田正一研究室 sho-ichi[at]umin.ac.jp
印刷用ページ(2017年11月現在)

目的

医学・医療に関する技術は、近年、目覚ましく進歩している。こうした技術の進歩は、これまでには不可能であった疾病の診断や予防、治療を可能にするなど、人々に多大な利益をもたらしている。その一方で、技術の進歩は、新たな倫理的・法的・社会的課題(ELSI:Ethical Legal and Social Issues)を生じさせている。医学に関する技術の進歩との関係でいえば、新型出生前診断とその後の人工妊娠中絶に関する問題を一つの例として示すことができる。また、医療に関する技術の進歩との関係でいえば、終末期における生命維持治療の差し控え・中止の問題を一つの例として示すことができる。さらに公衆衛生活動との関係でも、新型感染症に対する予防接種の優先順位の決定の問題など、多くの課題をELSIの例として示すことができる。このような中、近年、医療倫理に関する研究・教育(学生や、医学系研究者、医療従事者等を対象とする教育)が喫緊の課題であることが、これまで以上に指摘されるようになっている。

また、上記のように、近年、医療技術は目覚ましく進歩している。しかし、その技術は複雑・高度化している。こうした医療環境のなか、医療従事者不足など、技術の複雑・高度化以外の諸問題とも相まって、医療現場では、医療事故が多く生じるようになっている。医療事故の問題は、今日、わが国のみならず、世界的にも大きな問題となっており、医療安全活動や事故対応に関する研究・教育の必要性が強く指摘されるようになっている。今後は、iPS臨床研究が本格化することからも、(医療事故対応の問題だけではなく)臨床研究による事故への対応の問題も、これまで以上に検討しておくべきであると言える。

以上のような状況の変化は、これまでの理論的枠組みを超えた、公共政策のあり方の検討をも必要とするようになっている。このことは、例えば、上記のワクチン接種の優先順位の決定の問題をみると、良く理解することができる。また、医学研究や診療行為に関する行政ガイドラインの検討の問題についても同様である。近時、利益相反に関する問題も、社会に波紋を広げており、そのルールのあり方の検討も重要となっている。

そこで、本ラボラトリは、公共政策のあり方の検討を含む、医療倫理・医療安全に関する諸課題について、多分野の研究者や、実務者、行政経験者が共同して検討することを目的としている。また、そこで得られた総合的学際的知見を基礎に、関係者に対する教育プログラムを検討し、教育講座等通じて、その一部を実践することを目指す。

研究概要

医療倫理・医療安全に関する複数の課題について、調査研究および理論研究を行っている。

(2013年度の予定)

  • 終末期医療の差し控え・中止に関する、米国50州の関連法の分析
  • 終末期医療の場の決定等、医療の場の決定に関する、医療従事者・一般市民の意識の調査‐日英比較研究
  • インフォームド・コンセントに関する、医療従事者・一般市民の意識の調査‐現状分析と四半世紀前との比較研究
  • 医学部・看護学部における医療倫理(研究倫理・臨床倫理)教育に関する調査
  • 医療事故の情報開示に関する、医療従事者・一般市民の意識等の分析
  • 行政保健師への暴言・暴力に関する実態調査‐犯罪の構成要件等との関係からみた現状分析
など

構成メンバー

メンバー 所  属
前田 正一 健康マネジメント研究科教授:法学
  石川 英里 健康マネジメント研究科特任講師:看護学
  鎌倉 光宏 看護医療学部教授、健康マネジメント研究科:医学
  奈良 雅俊 文学部教授:倫理学
  山内 慶太 看護医療学部教授、健康マネジメント研究科:医療政策学・管理学
  丸山 英二 健康マネジメント研究科特任教授(非常勤)
  及川 正範 SFC研究所上席所員
  横野 恵 SFC研究所上席所員
  村田 真穂 健康マネジメント研究科特任講師
  川邉 賢一郎 健康マネジメント研究科特任助教
  田中 美穂 SFC研究所上席所員
  馬場 恵 SFC研究所上席所員
  Jay Starkey SFC研究所上席所員
  上白木 悦子 SFC研究所上席所員
  田中 桂 SFC研究所上席所員
  Pierre-Alain Cohen SFC研究所上席所員