2002年11月22日

 

 

                                                                      

WEB/CS融合型コンテンツ item.tv」の実験配信開始

 

研究プロジェクト名:稲蔭正彦研究室CSプロジェクト"SMOKE"

担当研究者:稲蔭 正彦(環境情報学部教授)

                 

 

 

 


テキスト ボックス: キーワード:CS110デジタル放送、web、多メディア展開、フルデジタルWEB/CS番組制作システム、
ワンソースマルチユース型WEBコンテンツ開発、WEB / CS / 携帯 連動型マーケティング

 
Systems)

 

 

 

概要:慶應義塾大学環境情報学部稲蔭研究室・CSプロジェクト(代表:稲蔭正彦 同環境情報学部教授)と岩崎産業(株)(代表取締役 岩崎芳太郎 本社:鹿児島市)は、通信と放送が融合する次世代のメディアコンテンツのコンセプトモデルの産学共同研究を行ってまいりました。その成果の一つとして、WEB/CS融合型コンテンツ「item.tv」の実験配信を始めることになりましたので、ご案内いたします。

 

1■ はじめに

慶應義塾大学環境情報学部稲蔭研究室・CSプロジェクト(代表:稲蔭正彦 同環境情報学部教授)と岩崎産業(株)(代表取締役 岩崎芳太郎 本社:鹿児島市)は、通信と放送が融合する次世代のメディアコンテンツのコンセプトモデルの産学共同研究を行ってまいりました。その成果の一つとして、WEB/CS融合型コンテンツ「item.tv」の実験配信を始めることになりましたので、ご案内いたします。

 

2■ item.tv

item.tv」とは、仮想デパートと仮想アイテム(商品)で構成されるゲームコミュニティ型マルチメディアコンテンツです。WEB上の仮想デパートにおいて、ユーザが新しい商品アイデアを提案・投稿し、その商品を売買することによりゲームが行われます。各商品の価格は、売買によって、株価のように常に変動します。同時に、CSデジタル放送では、WEBと連動したコンテンツとしてWEBでの売買価値を反映させた株価ニュース仕立ての放送番組を制作しました。番組では、価格の高い商品や人気商品を紹介するコーナーや、商品の価格変動を促進するようなイベントを行い、ゲーム参加者(コミュニティ)をCSデジタル放送へと誘導します。

1 WEB イメージ図

2 番組イメージ

3■ 3つの新規性

この研究においては、インターネットに代表されるデータ通信とデジタル放送が融合することを前提に、コンテンツの制作システムから配信手法、そしてマーケティング手法まで従来とは大きくことなる新しいアプローチを試みております。

 

1)フルデジタルWEB/CS番組制作システム

item.tvWEBストリーミング用、放送番組用の映像制作は、撮影から編集まで全てデジタルで行っており、動画、静止画、テキストといった素材を単一サーバーに蓄積することで、ネットワークを通じて、映像だけでなくPC用、モバイル用のWEBを一括して制作できる環境を構築しております。同時に、複数のメディア向けに同一の内容でコンテンツを制作する際に、効力を発揮できるようアセットマネジメントを徹底しております。

3 制作システム

2)ワンソースマルチユース型WEBコンテンツ開発

item.tvWEBコンテンツは、PostgreSQLによるユーザーデータベース、XMLによるコンテンツデータベースをベースに、制作の効率化を高めるべくワンソースマルチユースを実現するコンテンツの自動生成システムから生成・配信をしております。一つのXMLファイル群から、WEB用(HTML)、i-mode用(CHTML)、ez-web用、J-sky用、そしてデータ放送用(BML)にコンテンツを生成することが可能で、それぞれ自動的にアクセス元の環境を認知して、その環境に合ったコンテンツを提供する仕組みであり、CSプロジェクト独自に開発を行いました。

さらに、単一のデータベースを利用し、様々なメディアを組み合わせることにより、内容を連動させたゲームを実現しています。WEB、デジタルテレビ、携帯電話の各媒体の特徴を活かし、独自のコンテンツをユーザに届けます。

4 ワンソースマルチユース型WEBコンテンツ

3)WEB / CS / 携帯 連動型マーケティング

WEBでは、仮想空間を構築できる特性・いつでも誰でもアクセスできる特性を活かし、アイテムを投稿し、その売買をして楽しむことのできるゲーム性の高いバーチャル空間を提供しています。デジタルテレビでは、番組を楽しむこともでき、かつ番組を見た人のみが得られるゲームに関する情報を含んだコンテンツを提供しています。携帯電話はリアルタイム性を活かし、ゲームへの参加をどこからでも可能とし、ゲーム内の情報をリアルタイムに引き出すことができるように開発いたしました。

このようにWEBとCS放送、携帯電話がシームレスに関係性を持つというこれまでにないマーケティング手法を用い、その検証を行うのが今回の実験の主な目的でもあります。

 

4■ 実験配信開始期日

実験配信のスケジュールは以下の通りです。

1)        WEBサイト

番組放送開始と同時にitem.tvWEBは、2002年11月22日(金)よりオープンいたします。

サイトへのアクセス制限などはありませんので、詳細はWEBの方をご覧ください。サイト上では、実際に商品アイデアの投稿や商品の売買を通じたゲームをお楽しみいただけます。

 

2)        CS放送

 CS放送は、シーエス九州(株)の協力のもと 2003年新春より6〜9回シリーズで放送予定です。
5■ その他プロジェクト内研究の紹介

CSプロジェクトでは、デジタル放送などの次世代メディアにおける新規性のあるコンテンツをコンセプトから配信技術までさまざまなアプローチで研究、企画・制作を行っております。

以下に【item.tv】以外、現在進行中にある研究の概要を紹介いたします。

 

1)ホームネットワーク時代を想定した連動コンテンツの開発

VV:[Voice Visualizer]とは声を利用したエンターテイメントコンテンツとして企画・開発段階の研究です。ユーザの会話を音声認識し、アニメーション化されたのを空間に投射して楽しむといった内容で、今後の音声認識システムの飛躍を視野にいれた実験コンテンツです。デジタルデータによる他メディアへの汎用性が今後のエンターテイメントコンテンツの鍵となるのではという視点からの研究となっています。携帯電話メールの文字と絵文字、音声の波長+会話の文章により、“感情表現”をアニメーションに反映させる可能性についても研究しています。

 

2)ムービーエージェントシステム・コンテンツの開発

上記のシステムには以下の2つのシステムを含みます。

 

a)デジタルメディア変換システム

XML、そのサブセットであるSVG、SMIL(Mpeg7)を用いて特定のメディア専用に制作したコンテンツを他のメディア用のコンテンツに変換できるシステムを構築します。この場合の変換とは、スケール、データ形式、レイアウトの変換を指しています。

b)コンテンツ配信エージェント

 ユーザが見たいときに見たい端末で見たいコンテンツを観ることが出来るようなコンテンツ環境を支援し、可能にするシステムです。ある環境におけるコンテンツ、ユーザ、情報端末、その他のものの関係性を語彙化し、コンピュータが理解できるデータモデルで表し、様々なマッチング計算によってユーザの欲しいコンテンツを割り出します。この機能により、コンテンツとユーザにとって正しい端末を選定してくれる機能を持っております。

 

3)アジアをプラットフォームにした放送番組コンテンツの企画・制作

 CSデジタル放送とウェブの連動を活用した番組です。視聴者のウェブ上でのコミュニケーションによる番組製作やCSと連動したウェブ放送及びウェブ上のコミュニケーションの多言語問題の解決の実験を行います。内容には留学生の目で見たアジア各地域の食生活など社会や文化の姿をCSとウェブで伝わります。ウェブとCS放送の各々の特徴を生かしてアジアの架け橋になる新しい番組の作成を目指しています。

 

6■ 研究の体制

1)共同研究主幹

     岩崎産業株式会社(代表取締役 岩崎芳太郎 本社:鹿児島市)

     慶應義塾大学稲蔭正彦研究室(IMGL)

 

2)協力会社

・(株)レインボウェア(代表取締役 松山隆幸 本社:東京都)‐企画・研究進行管理‐

・シーエス九州(株)(代表取締役 久保政史 本社:福岡市)‐CS110°デジタル放送‐

 

3)研究に関するお問い合わせ

・(株)レインボウェア

 東京都世田谷区北烏山7-12-20 イワサキハウス3F

 tel: 03-5314-3360  fax: 03-5314-3420

 mail:  cs@rainboware.jp

 

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■慶應義塾大学稲蔭研究室について

慶應義塾大学稲蔭正彦研究室(IMGL)は、慶應義塾大学における有数のデジタルエンターテインメント研究室です。デジタル放送以外にも、デジタルシネマ、WEB3Dコンテンツ、コミュニティコンテンツ、複合現実感等の研究を行っております。稲蔭正彦研究室の研究内容、その他の情報については http://www.imgl.sfc.keio.ac.jp/ をご覧ください。

 

また、このCSプロジェクトの研究成果につきましては、11月22日(金)〜23日(土)に開催されます、「OPEN RESEARCH FORUM 2002」にて展示・発表をいたします。

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<本件に関するお問い合わせ先>

稲蔭 正彦(環境情報学部教授)

e-mail:inakage@sfc.keio.ac.jp