2003年度 学術交流支援資金報告書

電子教材作成支援

3‐3 ネットワーク情報産業論

 

 

                            環境情報学部

                             國領 二郎

 

 

1.概要

 

電子教材のデータベース構築を進めるにあたって、専門職養成教育を行う上で有効性が証明されている事例(一事象あたり30ページ程度のもの)討論を行うための教材を開発した。2003年度の授業でこれらの教材を使用し、授業内討論の材料とした。今後の課題として、このような事例を集めたデータベースを開発し、教材を有効に利用できるシステムを構築することを進めている。

 

 

2.ネットワーク情報産業論においての取り組み

 

ネットワーク情報産業論においては次の四つの事例を開発した。この事例を授業教材として「ネットワーク情報産業論」において実際に使用し、討論の材料とした。今後さらに校正を加え、電子版として保存しデータベース化を行う。

 

(1)                          佐賀BMP(ビジネスマッチングプレース)

地域経済において情報ネットワークと対面による活動を組み合わせた活動の連携について考える教材である。

 

(2)                          夢のOS、OSASK

オープンソースソフトウエア開発プロジェクトを事例に、技術体系(特にソフトウエア開発言語)と協働の組織化の関係について考えることを主題とした教材となった。

 

(3)                          ナプスター

P2Pシステムを事業化しようとして失敗した事例をもとに「物」とは性質の異なった「情報」のビジネスモデルを考える教材となった。

 

(4)                          みあこネット

京都において「祇園祭りビジネスモデル」によって無線LANサービスを利用者に無料で提供しているNPOがみあこネットである。ここでは設置者が費用を負担する形態で、無線LANサービスを成長させている。このみあこネットを題材にNPOによるビジネスモデルについて考える教材となっている。

 

 

3.今後の課題

 

今回、教材開発を行なったが、こうした教材を電子版として保存し事例データベースを作成することを今後の課題とする。電子版事例データベース作成のメリットは以下である。

(1)                          経済性

小規模出版となるため通常の紙媒体による配布では印刷コストが大きくなるものを電子化することによって、安価に配布できる。

(2)                          機動性

最新の事象を速やかに教室での討論用に供すことができる。技術の持つ、社会的、経済的意味などについて討論を行う上では、実社会の動きに密接に関係する教材を継続的かつ機動的に提供する必要があり、データベースによる配布がふさわしい。

(3)                          遠隔教育などでの活用可能性

遠隔教育システムによって他大学や外部関係者まで討論型授業に参加していただくことには大きなメリットがあるが、そのじような授業を実施するにあたっての教材配布手段として極めて有効である。

 

 

このプロジェクトでは、著作権を執筆者から買い上げている。現在、学校としての公開基準の提案書を作成中であり、これが整ったあかつきに非営利教育目的の使用に対しては無償で電子的に公開することとしたい。(営利的な教育機関に対しては有償での教材販売を行いうるような体裁で公開することを検討している。)システム的にはCNSネットワーク上に國領研究室責任のサイトを構築公開する方向で進めている。将来的に慶應義塾として組織的に管理を行う場合には提供することとする。