2003年度 学術交流支援基金
平成15年度研究報告書
「非スキル系分野におけるe-Course開発の展開と運用」
代表 梅垣理郎
■研究の背景
本研究では、非スキル系分野−経済学、政治学、社会学といったいわゆる社会科学系分野−のE-learning化を目指したe-Courseの開発を行ってきた。
E-learning教材の開発は、これまで情報処理、外国語といったスキル系分野を中心に展開されてきたが、非スキル系分野に関しては、学習内容の多様性、また受講者の学習動態把握の困難さから十全な研究・開発が行われてきたとはいい難い。一方で社会科学・人文科学における講義の約70%は非スキル系科目の講義であるという実情を考えると、大学におけるE-learning化の最も重要な課題の一つとして、非スキル系科目のe-Course開発が挙げられるのである。
■平成15年度の活動
上記背景を踏まえて、本年度は以下の活動を行った。
1)電子教材用アーカイブの作成・補充
現代政治の副教材として、従来からのPOEA(Postwar Origins of East Asian Development)のビデオアーカイブの新規作成及び登録を行った。
2)管理、配信サーバの構築と実験的運用
POEAを含め、マルチメディア・アーカイブ管理、配信のためのサーバを構築し、運用に向けてネットワークの整備及び運用ルールを作成。
1)に関しては、1946年以降1952年までのアーカイブを追加した。これによって、終戦直後の日本の復興と発展に向けた社会的胎動を、時間軸によって視覚的に追うことが可能となった。アーカイブはQuickTimeMovie形式及びWindowsMediaVideo形式で作成した。
2)に関しては、Dell社製PowerEdgeサーバをメインサーバとしてアーカイブの管理、運営システムを構築した。また、継続的なアーカイブの更新のために、AdobePremire、Photoshop、MacromediaFlash等の編集ソフトウェアをインストールしたクライアントPCを設置した。さらに、授業教材としてだけでなく、今後の研究活動とのリンクを念頭に置いたサーバの管理・運営ルールを策定した。具体的には、アーカイブを管理するためのメタ情報、データの種類及びサイズ、登録ユーザー情報、データベースへのアクセスログなど。詳細は本報告書の末尾に記す。
■成果
POEAのアーカイブ数は今年度の活動によって100件を超えた。これによって、副教材としての実際の運用段階へと以降することが可能となった。また、アーカイブの増加に併せて、今後の管理・運営ルールが策定されたことにより、現代政治以外の講義への幅広い運用の可能性が開かれたと言える。これは、各アーカイブに登録されるメタ情報が決定されたことで、単一データを複数のアーカイブスで共有することが可能となったことによる。
■今後の課題
運用段階へ以降可能なアーカイブ数が達成されたとはいえ、アーカイブの充実化が今後も最重要課題の一つであることに変わりはない。今年度まではアメリカ公文書館のデータが基本的な素材データとなってきたが、次年度以降は複数の素材データ源の掘り起しが求められる。
また、POEA以外のテーマによるアーカイブスの作成が求められる。講義における副教材の利用範囲を拡大するためにも、同一のデータに複数のインターフェースからアクセス可能な拡張性について考える必要があると思われる。
【管理・運用ルール】
@ユーザーの類別、認定の方法についての基本方針
データ管理者 |
サーバ管理グループ |
データ登録者 |
担当教員、大学院生、学部生 |
データ利用者 |
上記及び講義受講者 |
Aデータの取り扱いについての基本方針
登録 |
登録権限を持ったユーザーが、指定されたWEBアプリケーションを用いてのみ登録可能。データ内容に関しては、基本的に管理側からは干渉しない。 |
削除 |
そのデータを登録したユーザーと管理者のみが削除権限をもつ。また、データ内容について問題がある際には運営委員会が判断して管理者に削除を命じる。 |
変更 |
変更はなし。変更したい場合は、削除して新規登録。 |
Bデータの種類
<格納されるデータに関するPolicy>
l 動画
1. キャプチャ
² Adobe Premierを利用してキャプチャ(720*480、フレームレート:29.7、音声:ステレオ・48MHz)
² 必ず、同一フォルダ内に保存。プロジェクトも同じフォルダ内に保存
² 名前付け
² 長さは最大5分。長さのみで規定する。
l 5分を超えるものは、必ず二つに分割、二つのリードを書く。
² キャプチャしたプレミアファイルの状態で保存。
2. アップロード
² 取り込んだものは、全部アップロードする
l データのメタ情報を一つ一つに対して付ける。
² 編集したものもアップロードする
l 形式は.mov及び.wmv。この場合のみ、長さの規定は除外
l 静止画
1. 調査
² デジカメ
² ネガ、ポジ → 専用のスキャナで取り込み
² 紙媒体(絵、写真、その他) → 普通のスキャナで取り込み(きれいに!)
2. キャプチャ
² 保存形式:.jpg か .png (Gifはだめ)
l これ以外で取り込んでしまった場合は、形式を変換すること
² スキャナ取り込み時の解像度:72dpi
² サイズ:基本は100%(拡大縮小は適宜必要に応じて許可。但し、縮小時は再び拡大はできない旨注意。拡大はサイズを不必要に大きくしすぎないこと)
3. アップロード
² 同上。かならず、一つ一つのファイルに情報を書くこと。
² DTPソフト等で編集したものをアップしてもよいが、必ず.jpg か .png でアップすること
l 音声
1. 調査
² ICレコーダー
² テープ、MD → メディアコンバーター
² CD → Premier。あるいはcd2wav。
2. キャプチャ
² 保存形式:.wav か .mp3(できればmp3を推奨)
² ビットレートは128kbps(ステレオ)か64kbps(モノラル)。
l インタビューなどはモノラルを推奨。
² 長さは最大15分。15分以上のものは二つ以上のファイルに分割し、それぞれについてリードを書くこと。
3. アップロード
² 同上。かならず一つ一つのファイルにデータの情報を書くこと。
² 編集したものをアップロードしてもよいが、その場合も必ず.wavか.mp3形式で保存すること(できればmp3推奨)
l テキスト
1. 調査
² ドキュメントデータ(.txt、.doc)
² HTML、PDF →HTMLは .doc に変換、PDFはそのまま
² 文字媒体資料 →テキスト打ち。ファイル形式は.txtにすること。
2. キャプチャ
² 保存形式は .txt か .doc か .pdf(できれば.txtを推奨)。
l 文字コードは、S-JISにすること。改行コードはCR。
² OCRソフトを使用してもよいが、誤字脱字のチェックを入念に行うこと
² 日本語、英語以外の言語の場合、保存形式は必ず .doc か .pdf(.doc 推奨)
3. アップロード
² 同上
l 統計
² 調査
² csv
² Excel、SAS、SPSS、JMP-INなどのデータ → .csvに変換
² キャプチャ
² 基本的に、全てのデータは .csv 形式で保存。
² 図表等がある場合にのみ、.xls 形式で保存。それ以外であれば、静止画へ。
² アップロード
² 同上。データの詳細については、調査主体、期間などに注意すること。
独自に収集したデータの場合、特にリードにその旨を記載し、テキスト形式で質問表と調査の概要をアップしておくこと。
Cメタ情報
Ø 素材Data (赤字が必須)
²
ID (Auto)
²
Data Name
² Date
l Registrant Date
Ø Year(AC) / Month / Day
l Original Date
Ø Year(AC) / Month / Day
²
Registrant
l
Registrant DB
ID → Registrant DB
²
Data Type
l
Type
Ø
Movie /
Picture / Sound / Text / Statistics
² Location
l Country ID
Ø State
² Prefecture
l City
Ø Town
²
Source (出典、オリジナルデータを作った人)
l
unknownを許可
l Copyright
²
Lead (説明文(数行程度))
²
Keyword