環境情報学部 助教授 中村 修
本研究では,インターネットを媒体とした放送コンテンツ再配信システムの構築, 及び実験を行った.来るべきインターネットを媒体とした一般への映像放送サービス の実現のための基盤技術の確立に向けて研究開発を行った.
既存のテレビ放送と同等の品質を扱うことのできる映像転送システムを実現 するにあたって,すでに開発が進められているDVTSを応用する. 通常テレビ放送では,受信機(テレビ)を用いて放送波を受信し,画面に 表示する.DVTSを用いた際配信においては,デジタル地上網で放送された コンテンツを再エンコーディングしネットワーク側に配信する必要がある.
コンテンツの再配信には3つのデザインがある.
図[1-3]にそれぞれの配信について図解する.
図[1-3]に示されるような配信システムを実現にあたって,DVTSの改良 を行う必要がある.
計算機資源に基づくALM(Application Layer Multicast) 映像配信機構の設計を行い, 映像配信におけるエンドユーザの取得機会の拡大と配信の効率化を実現するシステムを構築した.
本研究により, 配信元はネットワーク構成に依存する配信の効率化技術を利用せずに, 広域へのコンテンツ配信を行うことが可能になった. また, 配信元が要求するユーザ環境に満たないエンドユーザによるコンテンツの閲覧が可能になった.
ユーザの情報取得機会の拡大
本研究は, コンテンツ配信におけるユーザのコンテンツ取得機会の拡大と, コンテンツの品質とユーザ要求のマッチングの実現を目的とする.本研究の目的を達成するためには以下の項目が必要となる.
- オーバーレイネットワーク上での配信網の構成の実現
IP マルチキャストのようなネットワーク層における配信の効率化技術は, 現状のIP ネットワークではインターネットサービスプロバイダ(ISP) などのサービスや運用ポリシーに依存する. このため, 広域への配信を行う際にはユーザの利用している接続サービスを考慮しなくてはならない. この依存問題を解決するためには, 接続サービスや運用ポリシーといった実ネットワーク構成に依存しない上位レイヤにおける配信手法が必要である.
- ユーザ要求に基づく配信元への誘導の実現
本研究で提案するコンテンツ配信システムはユーザが要求し, 閲覧できる最大限の品質のコンテンツを各ユーザに提供しなければならない. このためには各ユーザの所有する計算機資源量を適切に把握する必要がある. 本システムではコンテンツの品質とユーザ要求のマッチングを実現するために, エンドノードの計算機資源量の情報を統一的に管理する機能が必要である.
情報取得機会の拡大
既存の技術はコンテンツ配信を行う際, ネットワーク環境への依存やコンテンツ発信元となるサーバへの負荷の増大, エンドノード環境の格差による配信モデルのボトルネック発生が起こる可能性がある. 本研究ではこれらの問題点を解決する機構を組み込み, コンテンツ配信モデルの最適化を実現する. 前述したように, コンテンツ配信の効率化を実現するには, 計算機資源を過不足なく適切に再配分するための指標となるメトリックを設定する.
本研究の提案するコンテンツ配信システムのモデルは図のようになる.
コンテンツ配信を行うノードは, ツリー構造の頂点であるルートノードとなる.コンテンツ閲覧者のノードで構成されるルート以外のノード内で, 計算機資源が豊富なノードは論理リンクの上位に配置する. 下位には上位ほど資源を持たないノードを配置し更に下位ノードへのコンテンツ配信を行うエッジノードとする. 資源が少なく他のノードにコンテンツを提供することができない受信専用ノードは最下位のリーフノードとする.
ツリー構造の論理リンクの上位に配置されたノードはルートノードから品質の高いコンテンツを閲覧することが可能とする. その対価として下位ノードの要求に応じたコンテンツの再配信を行うことが要求される. 一方, 下位ノードは自身に適したコンテンツ配信を上位ノードに要求する, ただし上位ノードよりも品質の高いコンテンツを閲覧することはできない.
計算機資源に基づくALM映像配信機構の実装
映像配信機構としてインターネット上でDVデータの送受信を行う.DVTS(Digital Video Transport System)[2] を対象に, 計算機資源に基づくALM 映像配信機構であるRBMcast を設計し, その設計に基づいて実装を行っている.
本研究で実装した機構は以下の4つである.加えて,映像配信機構例としてDVTSを用いた実装を行った.
- ノード情報取得モジュール
受信ノードの情報取得を行う.具体的な対象としては演算能力,データリンク帯域が挙げられる.今回の実装ではLinux を用いたため,proc file system, MII(Media Independent Interface) からの取得を行った.
- ノード間リンクモジュール
ノード情報の送受信,生存確認,制御命令の伝達を行うことによりツリーの構築に必要な情報の収集,維持を行う.
- ノード情報管理モジュール
配信網に参加する全てのノード情報の管理を行う.また,受信ノードからの接続ノード問い合わせに対し,最適なノードの検索と映像配信機構の制御命令送信を行う.
- 映像配信機構制御モジュール
構築されたALM ツリーと,実際の映像配信機構との連携を行う.
まとめ・今後
本研究では計算機資源に基づくApplication Layer Multicast(ALM) 映像配信機構の実装を行っている. 本機構を用いることにより, コンテンツ配信におけるユーザのコンテンツ取得機会の拡大と, コンテンツの品質とユーザ要求のマッチングを実現することができる.
今後の発展としては,動的な配信網の再構成によるノード関係の最適化,メディア変換機構との連携が挙げられる.
DVTSの改良を行い,特に接続信頼性を上げるための実証実験 として,インターオペラビリティワークショップを行い,接続性の 確認を行った.
DVTSインターオペラビリティ合宿が,去る7/21-23,慶應義塾大学湘南藤沢キャ ンパス セミナーゲストハウスにて開催された.第一回目となる本合宿では会
員42名の参加者があった.
近年,DVTSはあらゆるOS,ハードウェア上でデ ジタル映像の送受信を実現し,今後のさらなる広がりが予想される.本合宿で は相互接続性の確保,標準化のための指標を導きだすことを目的とし,開催さ
れた.
図:インターオペラビリティテストの様子
プログラム内容
- DVTSインターオペラビリティテスト
- 各社のDVTSのインターオペラビリティテスト
- パケット送信テスト,受信テスト,パケット送出タイミングなどについての確認
- ネットワークシミュレータを使っての接続状況の確認
- 次期DVTS構築合宿(構築に向けてのブレインストーミング含む)
タイムテーブル
7/21 13:00 - 21:00
13:00 - 14:00 趣旨説明,自己紹介
14:00 - 21:00 インフラ構築,接続実験
(夕食休憩あり)21:00 - 22:00 BoF(自由参加)
7/22 10:00 - 21:00
10:00 - 21:00 負荷・耐久試験
(昼食・夕食休憩あり)21:00 - 22:00 BoF(自由参加)
7/23 10:00 - 13:00
報告会
成果報告 インターオペラビリティテストに参加したDVTSと,その詳細を以下に述べる
- Victor DVデッキ
組み込みLinuxを採用している.映像処理はハードとソフトの複合で行う.
- IIGA
マイクロC Linuxを採用している.Intel IXP425 Network Processor(533MHz)を採用している.
- スマートロケーションシステム
セッションマネージャにより,送受信の一括管理を行う.OSはLinuxを採用し,全ての操作はWEBインターフェースより行う.
- DVTS for UNIX
Linux,FreeBSD,MacOSX,NetBSDの開発が勧められている. 今回は主にLinuxを用いた実験を行った. 今回,比較実験としてFreeBSD4.7Rを用意した. 現在のFreeBSD5系のDVTSが,FreeBSD Projectによるドライバを 利用するのに対し,FreeBSD4.7Rにおいて動作するDVTS 0.9b08では, 独立行政法人 情報通信研究機構の小林克志氏が作成したIEEE1394を有効にするKernel Patchを利用する.
- DVTS for Windows
2004年7月に行われたN+I Tokyoにて新しくなったバイナリを利用する. 新しいバージョンの特徴として,1)内部処理の改善,2)受信パケットの先頭部分を 読み込むことによるNTSC/PALの自動判別,3)IEEE1394への書き出しの実現が 挙げられる.
- DVTS for MacOSX 0.2b
dvts1.0dとは別に開発が始まったDVTS for MacOSX with GUIの バイナリを利用する.主な特徴として1)GUIの採用,2)thread化, 3)senderのIEEE1394モニタリング機構が挙げられる.
DVTS実装における課題
- RTCPを用いたフレーム間引き技術の統一化
- Senderにおけるパケット送出の平滑化,フレーム間引き
- 新しいDV/RTPの標準化
- 他フォーマットへの対応
- HDV(MPEG4)
- DVCPRO(Aux)SDTI
- DVCAM
- 1394camera
- USB2のIsochronous転送など
より高解像度な映像配信システムの開発,及び配信実験として, 高画質映像転送システムを用いた映画製作支援システムの開発を行った. インターネットを媒体とし、映画の製作現場を支える諸技術の研 究、および実験を行った。
現状の映画製作における問題点
現在、映画製作の編集作業において、監督、編集者、編集映像マテリアルが全 て同一地点に集まることによって成り立っている。しかし、著名な監督や編集 者であるほどスケジュールをあわせるのは困難である。また、世界中で撮影さ れるマテリアルを全て同じ地点に集めるのも困難であり、複数プロダクション によって撮影されたマテリアルによって映画製作を行うことは困難である。
解決アプローチ
これらの問題点を本研究ではインターネットストリーミングを用いることによっ て、編集中の高画質なHDTV映像をありのままに交換した。また、スタッフ間コ ミュニケーションも高画質なリアルタイムストリーミングによって行った。 その概要図を以下に示す。
分散する監督・編集者A/Bはそれぞれスタッフ間のコミュニケーションをとる ための画面と、現在の編集状況の画面、そして実際に作られた映像をリアルタ イムに交換することで、分散環境での映像製作ができる。 その際に注意した点を以下に示す。
- 映画製作の分野では映像品質を重視するため、圧縮された映像を用いるこ とが基本的に出来ない。
- スタッフ間コミュニケーションでは低遅延な映像コミュニケーションが必 要である。
これらの要求を解決するため、スタッフ間コミュニケーションは本プロジェク トで開発を進めているDVTSを使用した。また、HDTVの映像配信においても、 DVTS(特にリアルタイムストリーミング用の通信プロトコルであるRTP)を応用 することで実現した。
本研究により、拠点ごとにスタッフ、マテリアルが分散する環境においても、 HDTV画質の映画製作が可能であることを示した。
現在の活動ステータス
本実験後、より効率的な高画質映像のストリーミングとして、大規模ストレー ジのネットワーク接続や、JPEG2000などの可逆圧縮技術を用いたストリーミン グなどを行っている。
ネットワークを用いたリアルタイム映像ストリーミングシステムに 特化した パケット伝送最適化機構の構築に取り組んだ.リアルタイム映像・音声配信シ ステムを対象としており,受信側の計 算機資源に応じた信頼性の高い高品質 映像・音声配信システムの構築を目的とする.送信側は受信側のフィードバッ ク情報を基にパケットのフロータイプを変化させる. End to End モデルを前 提としたネットワーク状況に対して効率的なパケット転送スケ ジューリング の構築を行った.
ネットワークの帯域変化がパケット到達ジッタに現れることに着目した.送 信側は受信側と協調し,受信側のパケット到達ジッタ,バッファリング状況に 応じてパケットの送出間隔を変化させる.フロータイプを変化させることで, 受信側のパケット到達ジッタをできるだけ抑え,バッファリング量を制御す る.受信側の計算 機資源の差異に関係することなく,リアルタイム映像配信 の信頼性を向上させることが可能となる.
パケットフロー特性に基づく映像・音声配信機構
受信側は送信側から転送されたストリームデータパケットの間隔と受信時の間 隔を比較することにより、ネットワークの状況把握を行なう。 図4にその様子を示す.
ストリームデータを観察するため、送信側は計測パケットを送信する必要性が ない.そのため時間間隔を細かくしてジッタ計測を行なえる.ジッタ計測によ るネットワーク状況把握には、パケットペア理論を用いる.パケットペアは中 継ノードを利用したボトルネックリンクの帯域推測の手法である.
パケットペアでは、データの送信側はペアとなる2つのパケットを連続的に転 送する.公平待ち行列法では、各コネクションごとにキューが割り当てられる ので,ペアとなっている2つのパケットは一緒にキューイングされる.キュー イングされたパケットはボトルネックリンクを通過する時にパケットの間隔が 拡大される.受信側はパケットを受信すると同時に送信側にackを返す.確認 応答パケットの大きさは,データパケットに対して十分小さいためにボトルネッ クリンクでの拡大は生じない.送信側は受信側から受けとったackのRTT (Round Trip Time)の差を計測し,ボトルネックリンクの帯域を推測すること ができる.図5にパケットペアによる帯域推測概念図 を示す。
パケットペアは中継ノードが公平待ち行列法を用いる場合に機能する. しかし,インターネット中の中継ノードのキューイング機構には,公平 待ち行列法を採用している実装は少ない.多くの場合はFIFO(First In First Out)型のキューイング機構である.従ってペアとなる2つのパケットが連続的 にキューイングされず,他のトラフィックのパケットが二つのパケット間にキュー イングされてしまう可能性がある.この場合,計測結果には誤差が生じる. しかし,中継ノードが公平待ち行列を採用しない場合でも,パケットが連 続的にキューイングされる場合がある.このような考えから,パケットペアを 用いて帯域推測を行なうアプリケーションとして、ボトルネックの許容帯域の 推測を行なうbprobeというアプリケーションがある bprobeでは上記にあげた問題点に対処するため,1)転送するパケットサイズ を変化させる,2)連続的に転送するパケット数を増やす,3)複数回計測を 行なう,という実装を行なった.その解析結果によると,広域でボトルネック リンクの帯域が大きな場合に若干精度が低下したが,主に±20%の範囲に80% から90%程度の計測値が存在することが報告されている.以上のことから,中 継ノードが公平待ち行列を採用してない場合でも,パケットペアによる帯域推 測が有効であることが分かる.
前節で述べたフロー観察手法の場合,1)計測回数の多さ,2)パケットサイズの 大きさ,3)受信側での計測により,いくつかの問題点は解消している.しかし, 送信側は連続した2つのパケットを転送するとは限らないため,他のトラフィッ クによるパケット間隔の拡大は,bprobeよりも大きくなる.そのため,受信側 では2つのパケット間隔の開きによってネットワークの状況を推測するのでは なく,統計的に推測を行なう.送信側のパケット送出タイミングの理論値を基 に,ネットワークの帯域を割出し,その情報を基に送信側はパケットの送出タ イミングを変化させる.送出タイミングをボトルネックリンクの許容帯域に合 わせることで、パケット到達ジッタを抑える.
フロー制御の要素
以下に本手法が提案するフロー制御の要素を述べる。
- パケットの送出タイミングの変更
送信側はトラフィックをシェーピングして送出する。これにより、1)バースト トラフィックによる経路ネットワーク上でのパケットロスを防ぐ、2)受信側で パケットフローを正確に観察することが可能となる。また、受信側のパケット フロー観察の情報を基に、パケットの送出タイミングを変更する。これは、1) ネットワークの帯域幅に適した転送レートで送る、2)瞬間的な輻輳状態による パケットロスを防ぎ、映像品質を下げることで転送レートを下げ過ぎるのを防 ぐためである。
- MTU(Maximun Transmision Unit)の変更
MTUを変更して送信側はデータパケットを転送できるようにする。これは、ジッ タは安定しているが、開きが出ているため、受信側でバッファアンダーランを 予測した場合である。Path MTUを変更してデータパケットを転送することで、 バッファアンダーランを未然に防ぐ。
実装:パケットフロー特性に基づく映像・音声配信機構の構築
FreeBSD 5.2RELEASEを用い,カーネルランドでの実装を行っている.また利用 対象ソフトウェアとしてDVTSを想定した.本研究では以下のモジュールを作成した.バッファリング監視モジュールを除 き,全てカーネルランドでの実装を行っている.
- 出力制御モジュール
パケットの送出間隔の制御を行う
- スケジューリング決定モジュール
受信側から送られてきたレポート結果よりパケット送出間隔の計算を行う.
- 受信タイミング監視モジュール
パケットの受信間隔を監視する.ネットワーク伝送遅延の揺らぎ計測も行う.
- レポート送出部
パケット受信状況,バッファ状況などをレポートとして送出側に送信する.
- バッファリング監視モジュール
アプリケーション層に存在する.アプリケーションのバッファ管理を行い, バッファオーバーフロー,アンダーフローの検知を行う.
まとめ・今後
本機構を用いることにより,ネットワーク伝送遅延の揺らぎへの対応が可能と なり,映像・受信端末におけるバッファオーバーラン,アンダーランに対する 信頼性が向上する.今後は実ネットワークでの評価などを行う.
定点映像配信実験を行う上で,必要となる1394 TRADE ASSOCIATION 1394-based Digital Camera Specification Version1.20 に準拠IEEE1394に準 拠するIEEE1394カメラの対応を行った.
本研究によって改良されたDVTSを用いた実証実験・発表・デモ・セッション を行った.
Fall 2004 Member Meeting
Internet2は,全米の多くの大学や企業が参加する次世代インターネット研究プロジェクトである.定期メンバーミーティング(Fall 2004 Member Meeting)が以下の日程で実施された.
September 27-30, 2004
Austin, TX
DVTSは,利用の簡便性や安価性を理由に,Internet2においても広く利用されている.本ミーティングでは,DVTSに関して以下に挙げる内容の特別セッションの時間を設けた.
図:セッションの様子(1)
図:セッションの様子(2)
図:Windows版開発状況に関する報告
・DVTSの最新開発状況の報告
開発中の最新版DVTSソフトウェア(UNIX版, MacOSX版, Windows版など)の開発の現状を報告した.また,DVTS組み込みハードウェアの展示・ソフトウェア版との相互接続性のデモンストレーションも実施した.
・Windows版DVTSに関する報告
開発状況の報告の中でも特に,それまで潜在的なバグを多く含んでいたWindows版DVTSについての開発の現状を報告した.また,最新のプレリリース版の公開・CDでの配布を行った.
・Internet2メンバーからのフィードバック
セッションに参加したメンバーからのDVTSに関する各種フィードバック(互換ソフトウェアの開発・バグ
などに関する情報)を受けた.これらのフィードバックを元に,現在も必要なソフトウェアの修正が続け
られている.
各種ソフトウェア実装の開発状況
DVTS for UNIX
DVTS for UNIXは,FreeBSDやLinuxなどのフリーUNIX上で動作するDVTSソフトウェアである. DVTSソフトウェアとして本バージョンが広く利用されており,DVTS組み込みハードウェアの 一部にも本バージョンの改良版が利用されている.このバージョンに対する必要なバグフィックス ならびにMPEG2-TS対応を行った.これにより,より安定したDV送受信だけでなく,D-VHSなどの MPEG2-TS機器を利用した動画像配信も可能となった.
DVTS for MacOSX
DVTS for MacOSX は,Apple Computer社の Macintosh(MacOSX) 上で動作するDVTSソフトウェアである. もともと,MacOSX上での実装は,UNIX版と同様にコンソール(CUI)上で動作するアプリケーションのみ であった.そこで,Carbonを利用したGUIアプリケーションを新たに開発を行った.新しいバージョンでは ユーザビリティを向上ただけでなく,DVの送受信時にPCモニター上への出力することなどといった機能 向上も図った.
図:DVTS for MacOSX
DVTS for Windows
DVTS for Windows は、Microsoft Windows XP上で動作するDVTSソフトウェアである. 一早くGUIアプリケーション化し,PC上のモニターへの出力に対応したことにより ユーザビリティの向上に貢献し,徐々に利用ユーザ数も増加している. 初期バージョンは,潜在的な多くの問題を抱えており,それらの修正を行うことで, より安定した動作を実現するバージョンの開発を行った. 改良版ではさらに,フルスクリーン表示やIEEE1394出力対応などの機能向上も含まれている.
図:DVTS for Windows(最新開発バージョン)また,DVTS for Windowsは、国内最大のインターネット総合展示会である「Networld+Interop」 にて毎年利用されており,2004年度も専用クライアントとして開発を行い,会場で公開・利用された.
図:DVTS for Networld+Interop 2004
APII Summer Meeting "BigVideo Internet2" Session
DVTSコンソーシアム インターオペラビリティワークショップ
JGN2シンポジウム2005
JGN2シンポジウム2005内でのセッションの一部にHD非圧縮動画像配信システム を用いたHD映像配信の実験を実施した.本実験では,非圧縮HD(約1.5Tbps)の 映像をSFCから大阪国際会議場に対して,WIDEプロジェクトの東阪間10Gbpsネッ トワークならびにJGNの10Gbps実験ネットワークであるJGN2を経由して配信を 行った.
第3回湘南四大学 産学交流テクニカルフォーラム
「スマトラ沖大地震によるインド洋大津波:アジアの大学から世界へ〜今大学が 果たす役割」におけるDVTSを用いた遠隔会議
2005年2月24日に「スマトラ沖大地震によるインド洋大津波:アジアの大学か ら世界へ〜今大学が果たす役割」と題されるシンポジウムが行われた。 本シンポジウムでは、三田キャンパスGSEC、SFC、SOI Asia Projectのパート ナー大学を、DVTS、および衛星インターネットを用いたvic/ratによって接続 し、インドネシア沖の津波に関する被害と、津波に関する知識・対応策などに ついての講義が行われた。 また、同日のIT戦略会議における村井教授によるデモセッションが首相官邸で 行われ、同シンポジウムにDVTSを用いて首相官邸から小泉首相も参加した。
2004年度の活動を以下に示す.
4/23 Internet2 Member Meeting
参考URL: http://events.internet2.edu/2004/spring-mm/5/31 dvts 1.0e リリース
5/31 dvts for Windows 1.01 リリース
6/28 Networld+Interop2004 Tokyo出典
参考URL: http://www.interop.jp/2004/7/21 DVTSインターオペラビリティ合宿
7/24 dvsend for MacOSX 0.2b リリース
9/14 BAJA: Collaborative Remote Motion Picture Editing Systemデモ
9/27 Internet2 Member Meeting
10/6 dvrecv for MacOSX 0.2b alphaリリース
10/7 第二期DVTSコンソーシアム年次報告会
12/9 第三回DVTSコンソーシアムワークショップ
参考URL: http://www.dvts.jp/news3.html1/26 dvts for MacOSX 0.22b リリース
2/24 「スマトラ沖大地震によるインド洋大津波:アジアの大学から世界へ〜今大学が果たす役割」シンポジウム
3/4 DVTS for Windows XP 0.0.1リリース
3/11-12 湘南四大学産学交流フォーラム
参考URL: http://www.s-cns.com/tech/3/28 第三回DVTSコンソーシアムメンバー総会
インターネットを媒体とした放送コンテンツの再配信環境を構築する上で, 1)ネットワークインフラストラクチャのもつ問題点の解決,2)アプリケーション 環境の充実,3)標準化の3つが鍵となる.本研究では,特にネットワークを 利用した時により安定した映像・音声の配信をめざし開発研究を行ってきた. 多くの実証実験・デモを隔てて,より広域かつスケーラブルな映像配信 アプリケーションの開発を目指す.