2004年度学術交流支援資金 報告書
インテンシブスペイン語I期・II期、
ベーシックスペイン語I期・II期
(2004年度)
2005年2月23日
総合政策学部訪問講師 石川隆介
1.背景
スペイン語・スペイン語圏研究室では、授業と関連したデジタル教材を提供出来るように努力しており、学生の学習に大いに役立つ「宿題システム」(http://www.estudio.sfc.keio.ac.jp/tarea/) などを過去に開発してきた。授業外でもスペイン語力をつける為のサポートとしてベーシックI期からインテンシブII期にわたって多くの学生が利用している。これをベースに動詞の活用の練習や文法の解説など授業では全てカバー出来ない点をこの教材で補っている。この様に授業外でスペイン語をもっと勉強してもらおうと2年前から新しいウェブ教材を開発してきた。秋学期初めに完成した教材「サバイバルスペイン語」、そして今学期完成したのが「PECO」(Proyecto de Escritura Comunitaria)だ。
2.慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)でのスペイン語教育の改善
SFCでスペイン語を学び、力をつけるに当たって重要な要素がいくつかある。中でも、「実際の場」(Real Life Situation)を通しての実践的スペイン語の使用が課題である。授業時間外に学生が実際の場面に慣れるために「サバイバルスペイン語」という教材の作成にかかった。この教材の対象はインテンシブスペイン語I期(それと同等のレベル)終了した学生であり、海外研修などを想定し、日常的に使う実際のスペイン語を身につけてもらうことが目標である。この教材は4項目から構成されている。1つは“Photo”(Vocabulario)であり、イメージを通して単語の学習(発音を含む)を目的にしている。2つ目は“Movie”(Video)であり、日常的場面をスペイン語で見て、聞いて、それをもとにしてフレーズを練習する。3つ目は“Tips”と題し、メキシコ研修旅行に参加する学生への先輩からのアドバイスや役立つ情報が記載されている。過去にメキシコへ行った学生の経験談や感想等が記入されている。そして最後に“Quiz”があり、この単語やフレーズを復習する為に簡単な練習問題に答えるという仕組みになっている。さらに本教材は9つのテーマに分かれていて、「レストラン編」、「買い物編」、「自己紹介編」など設定されている。この教材の詳しい内容はウェブサイト:http://www.estudio.sfc.keio.ac.jp/servival/
を参照。
2004年秋学期はインテンシブI期の学生が試用してその反応を見たところ、新たな試みとして注目されたものの、「宿題システム」とは違いカリキュラムに含まれておらず、また成績に加算されないため、利用者は興味を持った学生に限られた。また、プログラムがスムーズに作動しないこと(主な原因としては動画のファイルが重いため、ダウンロードに時間がかかるということが考えられる)、コンテンツ内のいくつかの間違い、これからの教材拡大の限界などの問題があげられる。これらの点を含め、利用者をいかに増やすかを課題に今後取り組んでいきたい。
今学期新たに開発に取りかかったのがスペイン語を「書く」ことに重点をおいた「PECO」(訳:スペイン語共同執筆プロジェクト)という教材である。参加型1文小説というコンセプトをもとに、小説を書くというエンターテインメント性、と同時にスペイン語作文練習が出来る。「PECO」には単なる小説文の投稿だけではなく他にもいくつかの項目がある。1つは投稿するにあたって使ってほしい(同時に辞書などで調べて新しく覚えてほしい)単語のリストである。またBBSを通して、投稿の間違いを指摘したり、コメントなどを寄せたり出来る仕組みになっている。最後に投稿だけではなく、スペイン語そのものに興味がわくように、ことわざや早口言葉などを勉強できる部分もある。詳しい内容は http://web.sfc.keio.ac.jp/~t01074jw/espanol/enter.html
(これは現在仮のサイトであり、将来的にはスペイン語研究室のウェブサイトにリンクを張るつもりだ)を参照。この教材は今学期完成したばかりで、まだ学生は利用していない。これから利用者の反応を見て、修正課題を探って行きたいと考える。現在、新出単語の利用をいかに 効果的なものにするかが課題にあげられる。これらの点を踏まえてこれからも教材の発展に努力していきたい。
3.結論
このような2つの教材開発プロジェクトを参考にし、スペイン語・スペイン語圏研究室はこれからも学生のスペイン語力活性化の為に新たな教材を作成していく。SFCでのスペイン語を学ぶ学生がその言語を使う場や文化に触れられるチャンスを提供し、今後様々な方法でその興味を膨らましてくれることを期待したい。