2005年度 慶應義塾大学 学術交流資金研究報告書

 

研究テーマ名:東京圏郊外地域の郊外第2世代の居住地選択行動とコミュニティサポート

研究代表者名:大江 守之(総合政策学部・教授)

  共同研究者:藤井 多希子(政策・メディア研究科博士課程3年)

          石井 大一朗(政策・メディア研究科博士課程1年)

 

1. 研究の背景と目的

 

東京大都市圏の人口は2015年にピークを迎え、その後人口減少の段階に突入すると予想されている。東京圏をより詳細にみれば、郊外地域では既に人口増加傾向が終焉した場所がみられるようになってきた。定住人口の高齢化と世帯の小規模化は、住宅や都市施設、インフラの老朽化というハード面での変化を伴って進行し、郊外地域は今まで経験したことのない新たな段階に突入しつつある。

現在高齢化しつつあるのは、高度経済成長を支えた人口転換期世代である。高度成長期に東京圏に大量に流入してきた彼らの多くは地方の長男長女以外の者であり、親の面倒は長男長女にまかせ、自分たちは郊外地に住宅を購入し、「郊外第1世代」として核家族を形成した。現在子育てを終えつつある彼らは、そのまま現在居住する場所で高齢期を迎える割合が高いと考えられる。また、彼ら自身の子どもは平均2人であり、子どもと同居することよりも、夫婦のみあるいは単身で高齢期を過ごすことを選択する割合が増加すると予想され、今後の郊外住宅地における高齢者の家族構成やコミュニティは、前の世代とは著しく異なると考えられる。実際、1980年と2000年の世帯の家族構成の割合を比較してみると、20年前には約60%を占めていた「夫婦と子どもからなる世帯」は2000年には大幅に減少し、その代わりに「夫婦のみの世帯」「単独世帯」が2倍の割合を占めるに至っている。この家族構成の変化は、開発時期が早いほど顕著であり、郊外地域は家族構成と開発時期が強い相互関連性を持つことに特徴づけられる。だが、この傾向がいつまで続くのかは、郊外で育った子世代である、「郊外第2世代」が今後どのような居住地選択を行うのかにより、大きく変化するだろう。

本研究は、マクロ的にみれば一斉に高齢化が進行しつつある東京圏郊外地域を対象に、「郊外第1世代」人口と「郊外第2世代」人口の世代間バランスを、GBI(Generation Balance Index; 世代間バランス係数)を用いて分析する。昨年度は郊外第2世代の代表的人口として195465年生まれコーホートに着目したが、今年度は子世代の動きをより詳細に捉えるために、1960年代生まれコーホート、70年代生まれコーホート、80年代生まれコーホートの3つのコーホートに着目し、コーホート間の差異に特に着目をする。この分析により、どのコーホートがいつ、どの地域で増加し、その親世代とのバランスがどう変化してきたのかが明らかになる。

また、上記の分析結果を基に典型地区を抽出し、世代間バランスが崩れつつある郊外地域で居住者の安定居住を支えている仕組みについて、ヒアリング調査を実施し、その実態を明らかにする。最終的には郊外地域での居住安定を支援する地域包括支援システムを促進するための課題と解決策の提示まで行うことを目的とする。

 

2. GBI (Generation Balance Index:世代間バランス係数) を用いた第2世代コーホート別居住地選択行動の分析

2.1 分析対象コーホート

東京大都市圏が拡大した196070年代に地方から流入してきた人口を第1世代とすると、彼らはおよそ192050年に生まれた人が中心である。第1世代の出生行動からみれば第2世代は1930年代〜80年代まで広範囲にわたるが、中心となるのは、195070年代である。そこで、本研究では第2世代として、「1950年代(195160年)コーホート」、「1960年代(196170年)コーホート」、「1970年代(197180年)コーホート」の3つのコーホートに着目する。注4) なお、これらのコーホートの母世代は以下の通りである。

 

1 対象コーホートとその母世代

 

 

 

 

 


2.2 分析対象地と分析対象期間

本研究では、東京大都市圏に含まれる市区町村うち、戦後急速に市街化した地域と既成市街地域を対象とする。具体的には19602000年の国勢調査においてDIDが設定されており、各市区町村面積に占めるDID面積の割合(DID面積比率)の増加が急速であると認められた155市区町である。注1) なお、分析にあたっては、1960年時点で市区町村全面積がDIDであった23市区を「既成市街地域」、19602000年の期間にDIDの拡大が急速であった132市区町を「郊外地域」として扱う(図1)。この分類は、戦後の東京大都市圏における人口構造や家族構造の変化が市街化の進展状況と密接な相互関連性を持っているという知見に基づいている。注2) 

 

分析を行う期間としては、ほとんどの郊外地域が市街化のピークを迎えた後となる1980年、1990年、2000年、2010年、2020年を設定した。注3) 

 

なお、分析に用いたデータは1980年〜2000年は国勢調査、2010年、2020年は「日本の市区町村別将来推計人口(平成1512月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)である。注4) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


1 分析対象地と地域分類

 

2.3 5歳階級人口を基準としたGBIの算出方法

GBIとは、母世代人口の実際の出生行動に基づいて算出される子世代理論値で実際の子世代人口を除したものであり、間接的に母世代と子世代の人口のバランスを表す指標である。注5) 前研究では各歳別にGBIを算出したが、この方法では5歳階級で提供される多様な分析対象地域・時点のデータと組み合わせて使うことが不可能であるという、分析手法としての汎用性の面で問題があった。そこで本研究では、5歳階級人口を基準としたGBI(以下「5歳階級GBI」という)を分析に用いる。5歳階級GBIを算出する際、各歳GBIの算出手順と異なるのは以下の2点である。

 

@)母親の生年(5歳階級)別の子世代にあたる人口を5歳階級で集計する。

A)各歳別の世代生命表を作成する代わりに、5歳階級の世代生命表を作成し、生存率を計算する。注7)

 

上記の手順に従い、1980年〜2000年の全国の5歳階級GBIを算出し、各歳GBIとの乖離率(1-5歳階級GBI/各歳GBI)をみると、全年次・全コーホートで乖離率は±1%以下であったため、5歳階級GBIを用いることが妥当であると判断する。注6)

 

3. コーホート別にみた世代間バランスの変化

3.1 1980年〜2000年のGBIの変化と子世代の居住地選択

本節では、同一の対象期間を設定し、ライフステージにより、コーホートの世代間バランスの変化はどのように異なるのかを分析する。このために、2000GBI1980GBIで除した「GBI2000年/1980年比率」を算出し、コーホート別に図示したのが図2である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2 コーホート別GBI2000年/1980年比率

 

この期間に20代から40代へと、世帯形成・持家取得時期を通過する1950年代コーホートは、主に都区部〜JR中央線沿線で相対的に減少する一方で、東武伊勢崎線沿線、JR高崎線などの沿線市区町で相対的に増加した。1960年代コーホートのGBI2000/1980年比率は10代から30代への変化を示すが、1950年代コーホートとは対照的に、都区部〜川崎市、横浜市北部エリアや小田急線沿線でこのコーホートが多く居住するようになったことが分かる。その一方で、このコーホートが相対的に減少し、親世代が多い割合で居住する地域が主に3050km圏に分散してみられる。1970年代コーホートのGBI2000/1980年比率は0代から20代への変化を示すが、1960年代生まれコーホートと似た変化を示しつつも、このコーホートが相対的に減少し、親世代が多く居住する地域がより広い範囲でみられる。そのような地域は1950年代コーホートとは逆に、東武伊勢崎線や40km以遠のJR高崎線沿線の市区町などである。

 

次に、この期間における世代間バランスの変化を、子世代の居住地選択という視点からみてみたい。

GBIは先述のとおり<子世代の実数/子世代の理論値>で計算される。2000年国勢調査では現在の場所での居住期間を訊ねているため、<子世代の実数>の部分を居住期間別に分解することができる。そこで、1980年から2000年の世代間バランスの変化を、「1980年以前から居住している子世代」(以下、「定住子世代」という)のGBIと「1980年以降に居住し始めた子世代」(以下、「流入子世代」という)のGBIに分解した上で(図3)、それぞれを対象155市区町のコーホート別平均値を基準にして4分類した(図4)。ここでは「定住」「流入」という用語を使用しているが、データの制約により、同一市区町村内の移動であっても居住場所が異なれば「流入」に分類される。従って「流入」が全て他市区町村からの移動を意味するわけではないが、移動した結果、同一市区町村にとどまるのならば当該市区町村が居住地として選択されたといえるため、「流入子世代GBI」が高いということは、居住地として選択される傾向が強いことを示すといえるだろう。

 

上矢印: 流入第2世代のGBI

3 居住期間による2000GBIの類型

 

1950年代コーホート

 

1960年代コーホート

 

1970年代コーホート

 

4 コーホート別にみた居住期間別2000GBI4類型

 

1950年代コーホートでは、主に30km圏以遠のJR高崎線、東武伊勢崎線、東武東上線、小田急線などの郊外鉄道沿線や成田市、牛久市、市原市などが「T」に分類されており、これらの地域では20代以前にここに居住し始めた人たちはそのまま居住継続している一方で、新たに多く流入してきたことが分かる。それ以外の30km圏以遠の市区町の多くは「W」に分類されており、定住子世代が多い。逆に、定住傾向も流入傾向も弱いのは、東京都区部からJR中央線沿線にかけてのエリアと神奈川県沿岸エリアである。そしてそのエリアを取り巻くようにして2030km圏に、定住傾向が弱く流入傾向が強い「U」グループが分布している。

 

1960年代コーホートでは、1950年代コーホートにみられたようなやや同心円的なパターンはみられず、定住傾向も流入傾向も強い「T」グループは主に2030km圏に分散している。また定住傾向が弱く流入傾向が強い「U」グループは都区部南西エリアから川崎市、横浜市北部エリア、小田急江ノ島線沿線のエリアに分布しており、これらのエリアではGBI2000/1980年比率も高い。定住傾向が強く流入傾向が弱い「W」に分類される市区町は、東京都区部北東エリアから埼玉県にかけての郊外鉄道沿線と東大和市、武蔵村山市、青梅市などの東京都多摩北部エリア、茅ヶ崎市、平塚市、大磯町などの50km以遠の神奈川県太平洋沿岸エリアに立地している。定住傾向も流入傾向も弱い「V」に分類される市区町は八王子市・町田市から横浜市内陸部を通り三浦半島に至るエリア、所沢市、狭山市、入間市、東村山市、清瀬市など東京都北部から埼玉県南西部の西武線沿線エリア、柏市、鎌ヶ谷市、八千代市、佐倉市、千葉市などのエリアで、主に3040km圏の郊外地域に分布している。

 

1970年代コーホートでは、ほぼ1960年代生まれコーホートと同じ傾向を示しつつも、定住傾向も流入傾向も強い「T」に分類される市区町が小田急線沿線の相模原以遠に分布していること、定住傾向も流入傾向も弱い「V」の市区町の範囲が1960年代コーホートよりも縮小していることなどが相違点である。

 

以上、居住期間により2000GBIを分解し、1980年から2000年の居住地選択と世代間バランスの変化を考察した。その結果、@1950年代コーホートでは1980年から2000年にかけてGBIが上昇した地域は定住傾向も流入傾向も強い地域にほぼ一致し、その分布は郊外鉄道沿線に集中していること、A東京圏2世の割合が高い1960年代、1970年代コーホートでは、3040km圏に位置する郊外地域において流入傾向も定住傾向も弱い地域が現れていることが明らかとなった。このことは、生まれ育った郊外地域から、より利便性の高い都心地域や別の郊外地域へと移動したことを示唆している。

 

3.2 2000年〜2020年のGBIの変化にみる世代交代の進展

本項では、まず東京大都市圏のなかで世代交代が進展しない市区町村がどこかを特定する。本研究において「世代交代が進展しない」とは、持家取得時期に達し、定住傾向が強まる40代以降の年齢に達した子世代が、市区町村レベルで親世代に対して相対的に少なく居住することにより、高齢者となった親世代が卓越的に存在することを指す。まず、全てのコーホートでGBI2020年/2000年比率が1未満である地域を抽出し、各コーホートの2020GBI別に色分けして示した(図5)。また、該当市区町を前項でみた1980年から2000年の期間における居住類型別に割合を示したのが表2である。

 

対象155市区町のうち、72市区町(46.5%)で全てのコーホートのGBI2020/2000年比率が1未満となる。地域の内訳をみると、既成市街地域では3市区(13.0%)、郊外地域では69市区町(52.3%)となっており、郊外地域では今後20年の間に子世代が親世代に対して少なくなる方向で世代間バランスが変化する市区町が半数を超える。また、該当市区町の市街化ピーク時期注8)は、1960年以前が4市区(1960年以前に市街化ピーク時期を迎えた市区町の50.0%)、1960年代が24市区(57.1%)、1970年代が37市区町(55.4%)、1980年代以降が5市(29.4%)であり、特に196070年代に郊外化した地域では半数以上の市区町村で世代間バランスが崩れる。

 

また、前項でみた19802000年の期間の居住期間4類型別にみると、1950年代コーホートでは定住傾向は弱いが流入傾向が強い「U」グループで割合が高く、1960年代、1970年代コーホートでは定住傾向も流入傾向も弱い「V」グループで割合が高いことから、定住傾向の弱い地域を中心に世代間バランスが崩れることを示している。これらの市区町は、主に2050km圏の埼玉県南部から東京都多摩地域に至るエリア、町田市から横浜市東部を通り、鎌倉市、逗子市に縦断するエリア、神奈川県中央部、千葉県北西部と湾岸エリアに立地している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


5 今後世代間バランスが崩れると見通される地域

 

2 居住類型別にみた世代間バランスが崩れる市区町の数と割合

 

 

 

 

 

 

 

 


世代間バランスが崩れる地域の中でも特に問題となるのは、2020GBI1未満、すなわち、高齢化した親世代に対してその居住を支える子世代が少ない地域であろう。そこで、全てのコーホートで2020GBI1未満となる市区町を抽出したのが表4である。これらの市区町では、子どもと離れて暮らす高齢者が卓越的に存在するようになることを示しており、高齢者の居住という点に関して早急な対応が必要となろう。

 

3 居住類型別にみた世代間バランスが崩れる市区町の数と割合

 

 

 

 

 

 

 


※全てのコーホートのGBI2020/2000年比率が1未満かつ全てのコーホートの2020年が1未満の市区町を抽出

 

 

3.3 世代交代が進展すると見通される地域

本節では、前節とは逆に、2000年から2020年の期間で第2世代の居住する割合が高まる地域を特定する。各市区町のGBI2020年/2000年比率が全てのコーホートで1以上となる地域を抽出し、2020GBI別に色分けして図示したのが図6である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


6 世代交代が進展する市区町のコーホート別2020GBI

 

世代交代が進展すると見通される市区町は22あり、そのうち1960年時点で既に全市区面積がDID化していた既成市街地域に分類される市区が12と半数強を占めている。この数は既成市街地域に分類される市区全体(23市区)の半数強でもある。それ以外では、1960年代までに市街化ピーク時期を迎えた市区は逗子市、横浜市鶴見区、南区の3市区、1970年代は四街道市、行田市、吹上町、葉山町、大磯町の5市、1980年以降は加須市、鴻巣市の2市となっている。全てのコーホートの2020GBI1以上の市区町を抽出すると表4.6のように15市区となり、この立地をみると、第3章でみたように、1980年から2000年の動きとは逆に、墨田区、荒川区、台東区など、都心部の北東エリアでも世代交代が進展すると見通されることが特徴的である。もちろん、この予測の前提として、近年のコーホート変化率に基づいて算出される将来推計人口を用いたということがあるため、この予測は、近年の傾向がこのまま継続するならば、という条件付きではある。

 

4 特に世代交代が進展すると見通される市区町の2020GBI

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


※全てのコーホートのGBI2020/2000年比率が1以上かつ全てのコーホートの2020GBI1以上の市区町を抽出

 

 

3.4  小結

本研究は、高度経済成長期に東京大都市圏に流入してきた第1世代(主に192050年代に生まれた人口)とその子世代である第2世代(1950年代コーホート、1960年代コーホート、1970年代コーホート)に着目し、コーホート間の世代間バランスの変化を比較考察し、地域の世代交代の進展を分析したものである。分析には5歳階級で算出した世代間バランス係数(GBI)を用い、1980年、1990年、2000年、2010年、2020年の5時点におけるGBIの変化を、特に郊外地域がどのように多様化していくのかという視点から分析した。この分析のために2000GBIを定住第2世代GBIと流入第2世代GBIに分解し、1980年から2000年の世代間バランスの変化との関連性を考察した上で、今後20年間の地域の世代交代の進展を予測した。これらの分析結果は以下の通りである。

 

(1)  東京圏外生まれの割合が高い1950年代コーホートと東京圏生まれが増加する傾向が顕著となる1960年代、1970年代コーホートとは世代間関係が大きく異なる。特に、1960年代、1970年代コーホートにおいて都心居住傾向が強まるため、これらのコーホートの世代間バランスは1950年代コーホートとは異なり、都心部で第1世代に対して多く居住する方向に変化する。

 

(2)  1980年から2000年にかけての世代間バランスの変化と居住地選択との関係をみると、1950年代コーホートではGBIが上昇した地域は定住傾向も流入傾向も強い地域にほぼ一致し、郊外鉄道沿線に集中している。1960年代、1970年代コーホートではGBI比率の高低は定住傾向よりも流入傾向の強弱と関連性が高く、流入傾向が強い地域では全ての市区町で世代間バランスは第2世代が多く居住する方向に変化した。

 

(3)  将来推計人口を用いたGBIにより地域の世代交代が進展しないエリアをみると、2050km圏の広範囲にわたる郊外地域のうち、196070年代に市街化が最も進展した市区町を中心に世代間バランスが崩れる。これらの市区町では定住傾向が弱い。

 

(4)  清瀬市、三芳町、青梅市、あきる野市、瑞穂町、狭山市、横浜市旭区・港南区・瀬谷区、木更津市では世代間バランスが崩れるだけでなく、2020年時点で全ての対象コーホートが第1世代に対して絶対的に少ない割合で居住するという、市区町レベルでのエンプティネスト化が進行する可能性がある。

 

(5)  中央区、新宿区、港区、千代田区、文京区、台東区、品川区、江東区、荒川区、墨田区といった東京都心地域のほか、横浜市では西区、中区の横浜都心に加えて、鶴見区、南区などでは、第2世代が増加する方向で世代間バランスが変化する。これらの地域では2020年時点で全ての対象コーホートが第1世代に対して絶対的に多い割合で居住する。郊外地域では加須市が入っているだけである。

 

196070年代にかけて開発された郊外地域は、開発当時、比較的若い核家族世帯が子育てをするのに適した住宅地となることを目的として開発された。世代交代が進展しないと推測される地域では第1世代が子育てを終了した後、子世代は流出し、高齢化した親のみが子どもと離れて居住することを示唆しており、これらの地域では住環境と居住者のニーズが一致しない可能性が高い。コミュニティレベルでの超高齢化やエンプティネスト化という現象は既に始まっている場所もあり、ここで改めて指摘するものではない。しかし、本研究はミクロレベルを超えた市区町レベルでのエンプティネスト化が、いつ、どこで進行するのかを明らかにした。東京圏全体が人口のピークを超える2020年には、郊外で生まれ育った割合の高い1960年代、1970年代コーホートが郊外に居住することを選択せず、郊外は全体的に縮小することが予測されるなか、市街地整備の方向性を見極めることが非常に重要となる。郊外地域は今まさに大きな転換期を迎えているのである。

 

 

4.  居住者の安定居住を支えるコミュニティサポート力の実態調査

世代交代が進展しないと見通される横浜市港南区を事例に、高齢者をはじめとする居住者の安定居住を支えるためのコミュニティサポート力について実態調査を行った。ここでは、コミュニティサポート力を引き出すためには、地域特性に即した包括的な支援システムを地域のなかにつくることが重要であると考える。そして、地域における政策形成の仕組み、@〔現場:当事者や当事者を支援する活動、団体〕と〔政策:政策立案・実施に関連するアクター〕の応答関係の形成 A多様なアクター(行政、住民、NPOなど)の協働関係の形成(図7参照)に注目している。これらに注目した政策形成の仕組みの確立は、ニーズに即した課題解決方策を導くとものと考えられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


7  中間組織の機能に着目した地域課題解決システムモデル

 

4.1 調査の目的、内容

本研究は、これら@、Aの機能をもつと考えられ、近年、住民活動のネットワーク、個別活動支援、そして政策提案などを行い、協働をコーディネートするものとして役割が期待される中間組織 注7)の地域におけるあり方を検討するものである。居住の安定に向けた地域の中間組織の事例として考えられ、横浜市が地域福祉・生活のための拠点として位置づけている「地域ケアプラザ」(以下、CP)を取り上げ、CPの取組む活動が地域における中間組織として担うべきいくつかの役割の中で、問題発見に関する取り組みに注目し、フォーマル・インフォーマルな活動の連携や自主事業(表5:地域ケアプラザの概要)などに注目した分析を行い、今後の地域の包括的な支援システムの構築のために必要な方策について考察する。

 

5  横浜市地域ケアプラザ概要

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


4.2 研究の方法

本研究は、特定の地域における実状を詳細に分析する中から、課題とそのメカニズムを明らかにしようとするものである。対象とする地域は横浜市における成熟した住宅地の一事例として、横浜市港南区内のST地域CPエリアを対象とする。

まず、地域の特性を住宅地の開発期、敷地規模、用途、そして人口構造などから把握した(図8)。

次に、地域の実状を把握するため、対象地域に対して、様々なサービス提供を行う団体・個人を対象にヒアリング調査を実施した(63団体・個人、時期:200410月〜20052月 各90分〜120分程度、表6参照)。ヒアリング対象者は、行政、CP職員などの紹介をもとに高齢、子育て、障害、地縁、商店、学校などテーマごとに活動する団体・個人を選定した 注8)。次に、CPにおける中間組織の機能に注目した分析を行うため、利用者・サービス提供者、様々なサービスの調整・実施などを行うCP職員として地域コーディネーター、そして、CP事業委託元である行政(市・区)それぞれに対してヒアリング調査を行った。これらの調査を基に、本稿では、ニーズに即した課題解決方策を導くために必要な、問題発見に着目した分析を行い、地域において期待されるCPの今後の役割について考察する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


8  対象地区の概要

 

   6  地域でサービス提供を行う団体・個人を対象にしたヒアリング調査の概要

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


4.3  住民による自発的なサロンの事例

地域サロン、地域デイは、行政、CP、地域住民などから期待され、地域における身近な居場所、相談場所としての役割を担うものとして挙げられた。今回の研究対象地では、住民による自発的な取組みとして一つの事例(Yサロン)が見られた。

Yサロンの取組み(運営者へのヒアリング200411月実施):場所は住宅地の中の街区道路に面した位置にあり、建物は住居を併用した元郵便局の空きスペースを利用している。スペースは無料で家主の厚意による。また、運営は自治会福祉部の個人が始めたもので、運営者により、活動内容の検討・決定が行われ、現在は、話し相手・相談、趣味活動、簡単な体操等が主な活動内容となっている。これらの身近な地域における自主的活動は、利用者への個々のサービス提供に留まらず、課題解決策を導くために必要ないくつかの有用な要素を生み出していると考えられた。サービス提供者(運営者や参加するボランティア)のボランティア活動を通じた社会参加や特技を活かした活動は自己実現へつながり、自らの持っている資源を引き出すこと、そして、地域課題の認識や専門的知識の共有が行われることなどである。一方、課題としては、開放時は常に運営者の管理・付き添いが必要であり日常的な利用が不可能であること、人的・事務的な基盤が脆弱であることから活動が安定せず他の活動やCPとの連携が行われにくいこと、運営者による独自な活動であるため自治会との関係調整がスムーズに行われにくく活動に弊害が生まれることなどが挙げられた。

 

4.4  地域ケアプラザの活動と居住者による活動の連携

CPによる問題発見への取組みは、CPの貸しスペースにおいて取り組まれる各種事業を通じた来訪者や、CPにおけるボランティア活動参加者の声を通じて行われている。しかし、ヒアリングを通じて、サービスを利用・ボランティア活動に参加する人は、CPとサロンとでは異なることがわかる(表3:地域ケアプラザにおけるサービス利用者・提供者の概要)。CPは、独自に事業を行う必要性とは別に、より身近な地域で活動するYサロンなど、効果的な取組みを行うインフォーマルな活動に対して、自治会や他の活動団体との調整や広報などの支援を行い、フォーマル・インフォーマル双方の取り組みから発見される課題を包括的に捉えることが必要であると考えられる。支援と共に連携、そして協働した取組みは、課題解決のために必要な地域における限られた資源を相互に効果的なものにすると期待できる。

 

7  地域ケアプラザにおけるサービス利用者・提供者の概要

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


5.  まとめ: 見えてきた課題‘ニーズとサービスの結びつけ’

実態調査を通じて、不足するサービスとして挙げられたのは送迎、地域デイ・サロン、子どもの遊び場、そしてグループホームなどの地域居住施設である。これらは高齢者、子育て中のお母さん、障害当時者などライフステージやテーマごとにきめ細かくニーズを聞くことにより整理されたものである。そして、小地域(地域ケアプラザを中心とした生活圏域)を包括的に捉えることに着目した今回の調査を通じて改めて明らかになったことは、当事者の発したニーズがサービス提供者まで届いていない、もしくは、サービスを当事者まで届けることができないといった‘ニーズとサービスの結びつけ’に関する課題が多くあるということであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


9  当事者性に基づくニーズとサービスの結びつけを阻むバリア

 

今回の対象地の事例から、地域特性に応じた、当事者性に基づく課題解決のための仕組みについて考えたい。

 

■解決型コミュニティ〜プロセスに着目したネットワーク

ここでは、エリア1−西区@・A、エリア2−港南区@・A、の事例に注目する。‘ニーズとサービスの結びつけ’において、いくつかの期待できる取組みがあった。これらは完全ではないが、次のような課題解決のためのプロセスに着目したネットワークが形成されていると考えられる。[A:ニーズの顕在化とキャッチ][B:解決に必要なアクターによる共有と方策検討][C:サービスへつなぐ]、これら一連のプロセスと課題解決に必要な多様なアクターの参加によるコミュニティである。これをここでは『解決型コミュニティ』と呼ぶことにしたい(図6参照)。この解決型コミュニティにおいて、特に本研究で着目しているのはABである。AB相互の応答が適切に行われるコミュニティが実現すれば、当事者性に基づく課題解決実現の可能性が高まる。では、そのためにはどのような点が課題となるのか、ここでは、更に調査から得られた現場の声をもとに解決型コミュニティ実現のための課題とその解決方策について考えてみたい。調査では、‘ニーズとサービスの結びつけ’において、概ね、[家族][情報][圏域][連係]の4つにおいて特徴的な課題があることがわかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


10  解決型コミュニティ 〜ニーズとサービスの結びつけ

 

■‘ニーズとサービスの結びつけ’の課題における4つの要因〜[家族][情報][圏域][連係]

 [家族]子供と同居する高齢者世帯、高齢者夫婦のみ世帯に対して特に聞かれた声では、子供や、夫婦のどちらかが、当事者の存在や、当事者の抱えるニーズを隠すといった例があった。これは、当時者自身のニーズを発信できないといったことや、サービスが当事者まで届かないといったバリアである。

[情報]フォーマル/インフォーマルサービス含めて、情報が少ない、得られないといった例である。これは情報提供の方法に偏りがあったり、情報提供者がサービス資源を知らないことによるものである。閉鎖的になりがちな地域社会のなかでは起こりやすく、地域によっても差が生まれやすいと考えられる。

[圏域]地域ケアプラザによるサービス圏域である在宅介護支援センターエリア、自治・町内会や連合町内会エリア、地区社会協議会エリア、中学校区エリア、これらすべてが異なる圏域で設定されており、利用者やサービス提供者が混乱を招いたり、圏域を超えてサービスを届けられないといった問題、また、山坂や狭隘道路などの空間特性により行動が制限されるといったバリアもある。

[連係]サービスはあっても、ニーズを引き出したり(顕在化)、次につなげる意識を持たないことにより、解決に至らないということである。解決型コミュニティの一連のプロセスにおいては、「ニーズキャッチ」、「コーディネートする」という大きく二つがあると考えられる。

 

■各段階において異なる課題

‘ニーズとサービスの結びつけ’に着目した、上述した4つの課題がどのようになっているのかについて、ごく簡単にではあるが、その要因をみてみたい。また、4−1 生活術マトリックスモデル作成−見えてきた課題‘ニーズとサービスの結びつけ’<図5>に示された[バリアa:当事者ニーズの顕在化・キャッチ] は<図7>の○a−、[バリアb:顕在化・キャッチされたニーズを共有・方策検討の場へつなぐ]は<図7>の○b−に対応している。ニーズ顕在化とキャッチのための○a1、○a2、顕在化・キャッチされたニーズを共有・方策検討の場へつなぐ○b−1、○b2がある。そして最後に適切なサービスへつなぐ○b3がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


11  ニーズと課題解決検討の場と多様な応答関係

 

 <○a1:出向くサービスによるニーズ顕在化・キャッチ>

ひとりの人の「したい」を引き出すサポートする役割である。自治・町内会をベースにした見守り活動、配食サービスなどがこれにあたる。これらは声をあげにくい人のニーズを顕在化させるなど住み慣れた地域で住み続けるためのセーフティネット構築において不可欠な要素である。ここでは、[家族][連係]が主な課題になると考えられた。

 

<○a−2:迎えるサービスによるニーズ顕在化・キャッチ>

 地域デイサービス、食事会、各種サロンなどがこれにあたる。ここでは、[情報][圏域]、が主な課題になると考えられた。

 <○b−1、○b2:ニーズを共有・方策検討の場へつなぐ>

 ○a12で顕在化・キャッチされたニーズをつないで共有させる。ここでは、[圏域][連係]、が主な課題になると考えられた。

 

<○b3:適切なサービスへつなぐ>

 共有され、検討されたた課題について解決のためにサービスへつなぐ。本研究における目的の一つであったフォーマル/インフォーマル合せたサービス資源台帳−生活術マトリックスモデル が有用だろう。まず、地域の社会資源を知ること、そしてそれを適切にコーディネートしつなげることが重要となる。ここでは、[情報][圏域][連係]が主な課題になると考えられた。

 地域によってその困難さに違いはあっても、‘ニーズとサービスの結びつけ’においては以上のような共通した阻害要因があることがわかる。多様なサービスの設置とともに解決型コミュニティ実現のための○a1、○a2、○b−1、○b2、○b3について解決していくことは、極めて重要であろう。 

 

■地域特性に応じた多様な解決型コミュニティの現状

解決型コミュニティは、地域特性に応じて様々である。今回の調査から得られた事例を中心に、地域特性にあった解決型コミュニティを考察すると図11に示されるように多様なタイプ(a〜f)があることがわかる。それぞれ‘ニーズとサービスの結びつけ’における課題が異なる。

ここまでで明らかとなった‘ニーズとサービスの結びつけ’における課題において、[情報][連係]については、よりニーズに近いところで地域の課題や資源を共有化したり、コーディネートするという点からも<図8>にあるように『まちの事務局』の力量によるところが大きいと考えられる。まちの事務局は、現在、地域包括ケア拠点として位置づけられる地域ケアプラザよりも、よりニーズに近いほどよいと考えられる。中心メンバーは自治・町内会、民生委員、地区社会福祉協議会、NPO、地域ケアプラザ職員などが考えられる。また、拠点としての場所は自治・町内会館などを確保できれば、活動をより有効なものにするかもしれないが、ここではその機能に注目することが重要であると考えられることから場所については触れないこととする。では、その機能に着目して見てみると、まちの事務局は<図8>[b][e]に存在する([f]はケアプラザが代替)。[]は、かたちの上ではあるが実際は機能していない事例である。地域ケアプラザや行政などの支援が必要である。[c]、[d]、[e]は、地域の中で実現しており、ニーズにより近いところに課題解決検討の場があるという点においては理想的であるが、[c]は、外部とのつながりが少なく、閉鎖的になりやすいといった課題もある。[d]は、地域ケアプラザの支援を必要とするが、何らかの理由でつながることができない例である。[e]はつながっている。[f]は、地域独自の活動が弱く、地域ケアプラザのより強いコミットメントが必要な例である。以上が、地域ごとに異なる多様な解決型コミュニティであるが、これらの考察から、新たに、まちの事務局が‘ニーズとサービスの結びつけ’を実現させる上で重要な役割を果たすだろうことがわかる。特に[a][b]のような地区に対しては、福祉に携わる専門職などだけでなく、まちの事務局が機能を果たす上でとなる自治・町内会役員に対する啓発も必要であろう。

 [圏域]については、制度上の問題や山坂などによるアクセシビィティの弊害など、即座に解決が困難なものもあるが、自治会や町内会などにより決定されるいくつかの圏域や、課題解決に積極的に取り組む民生委員や地区社会福祉協議会などに対する認知と協力など、自治会、町内会の協力によっては改善可能となるものもある。

[家族]については、政策的に解決することは難しいと考えられる。ニーズ顕在化・キャッチのための出向くサービスにおける、サービス提供者(民生委員、ケアマネジャー、食事サービス、ホームヘルプ)の意識によるところが大きい。今後の課題である。

 

■今後の展望

最後に、今後の解決型コミュニティの実現とその可能性について展望したい。

解決型コミュニティは、これまで、地域の課題解決において漠然と捉えられていた地縁型コミュニティ、テーマ型コミュニティ、あるいは行政施策にもとづく地域ケアプラザなどの拠点整備を中心とした地域包括ケアの取組みとは異なる。‘ニーズとサービスの結びつけ’に着目し、そこで生じる課題を解決することに特徴を持つコミュニティであると考えられる。

ひとりの人の「したい」を実現させるためには、@フォーマル/インフォーマル合わせ、出向くサービス、迎えるサービス、そしてその他の様々なサービス資源の把握以外に、A個々のニーズに対応する‘ニーズとサービスの結びつけ’に着目した解決型コミュニティの形成  Bそこに生じる○a12、○b−1・23の課題の解決、そして Cその解決を促すだろうまちの事務局が必要であるだろうことがわかった。これらは新たな地域自治組織の設置や前述した行政施策に依存した地域包括ケアの仕組みのみに期待するのではなく、地域に既にあるニーズ顕在化・キャッチに関わる人や課題解決検討を行う人、これら地域のひと自らが解決型コミュニティを形成する必要がある。行政や地域ケアプラザはこのような、コミュニティを、個別性を把握した上で見守り、支え、そして補完していく必要があろう。

 

 

1) 2000年の行政区界を基準としたが、1980年以降に分割された市区町については分割以前の区界を基準とした。具体的な市区町の取り扱いについては以下のとおりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2) 参考文献6を参照のこと。

3) 市街化のピーク時期の算出にあたっては、19602000年のDID面積比率をロジスティック曲線にあてはめ、変化率が最大となる時期を推定した。具体的な算出方法については、参考文献6を参照のこと。

4) 横浜市・川崎市については区ごとの将来推計人口が算出されていないため、1995年から2000年を基準としたコーホート変化率法により区ごとに将来推計人口を算出した。ただし、高津区・多摩区・港北区については各市の中で占める人口の割合が高いために、2010年→2015年のコーホート変化率が各市のコーホート変化率となるように直線的に変化させたものを適用し、拡散することを避けた。

5) GBIの具体的な算出方法については参考文献7を参照のこと。

6) より簡便にGBIを算出するため、世代生命表の代わりに調査対象年のみの生命表を用いる方法も検討した。この場合、過去の乳幼児死亡率の高さが反映されないために、過大に理論値が算出されることが想定された。実際、この方法により算出した5歳階級GBIの各歳GBIに対する乖離率({1-5歳階級GBI/各歳GBI}×100)は無視できるほどのレベルであるとは判断できず、結果として5歳階級の世代生命表を適用する方法を採用した。

コーホート別GBIと乖離率

 

 

 

 

 

 


7) 中間組織 機能としてはネットワーク、コーディネート、政策提案などがある。また、総合型、テーマ型、地域型などに類型化される。

8) 63団体・個人に対して行ったヒアリング調査は、特定非営利法人市民セクターよこはま「暮らしを支える生活術マトリックスモデル」(横浜市との共同研究事業「政策の創造と協働のための横浜会議」2004年)において、著者が特定非営利法人市民セクターよこはま研究員として行ったものをもとに作成

 

 

参考文献

1) 国立社会保障・人口問題研究所:「都道府県の将来推計人口−2000年〜2030年−(平成143月推計)」, 2002.3

2) 五十嵐豪他:「詳細な属性を考慮した都市圏世帯分布予測システムの構築」, 日本都市計画学会論文集, No.40-3, pp.943-948, 2005.10

3) 青木留美子・多治見左近:「郊外一戸建て住宅地の地域特性と居住動向に関する研究−大阪府の大規模住宅地における空地および高齢化を中心とした町丁字別分析−」, 日本都市計画学会論文集, No.40-3, pp.553-558, 2005.10

4) 三輪康一他:「郊外住宅団地における人口・世帯変動特性と住宅更新に関する研究−神戸市の郊外住宅団地における高齢化の進展と一戸建住宅地の更新の分析を通じて−」, 日本都市計画学会論文集, No.31, pp.463-468, 1996.11

5) 北浪健太郎他:「多摩ニュータウン第2世代の居住地移動に関する研究」, 日本都市計画学会論文集, No.38-3, pp.85-90, 2003.10

6) Takiko FUJII, Moriyuki OEUrbanization Process and Change of Habitation in the Latter Half of the 20th Century in the Suburbs of the Tokyo Metropolitan Area, Proceedings of International Symposium on City Planning 2004, City Planning Institute of Japan, pp.425-434, 2004.9

7) 藤井多希子・大江守之:「世代間バランスからみた東京大都市圏の人口構造分析」, 日本建築学会計画系論文集, No.593, pp.123-130, 2005.7

8) 大江守之:「新しい地域人口推計手法による東京圏の将来人口」, 日本都市計画学会学術研究論文集, No.35, pp.1087-1092, 2000.11

9) 石井大一朗:「安定居住支援に向けた中間組織のあり方」日本建築学会近畿大会梗概集F-1分冊,pp.1505pp.1506, 2005.9

10) 石井大一朗・吉原明香:「横浜会議報告〜暮らしを支える生活術マトリクスモデル作成と市民力を活かした新システムの提案」横浜市調査季報,vol1578790,2005