学術交流支援資金(海外の大学等との共同学術活動支援) 報告書

マニフェストによる政策決定過程の転換 ―導入と展開の日韓比較―

研究代表者:
曽根 泰教(政策・メディア研究科教授)
研究メンバー:
河  東賢(政策・メディア研究科博士課程)
李  崙碩(政策・メディア研究科博士課程)
鈴木 直人(政策・メディア研究科博士課程)
松浦 淳介(政策・メディア研究科博士課程)

1.プロジェクトの趣旨

 曽根研究室では、2000年頃からマニフェストの研究を始めており、曽根代表は日本におけるマニフェスト導入を主導した一人である。2005年頃からは、韓国の研究者・政治家やメディアとの交流を通じて、韓国におけるマニフェスト導入をも主導してきた。その成果が、2006年5月に実施された韓国の統一地方選挙でのマニフェスト・ブームや、2007年12月に実施された韓国大統領選挙でのマニフェスト導入である。昨年度も学術交流支援資金の研究助成を受けて、日韓の共同研究を進めてきたが、今年度も引き続き共同研究を進め、さらに発展させていった。

2.今年度の活動と成果

(1)学会・セミナー

2007年6月7日
 韓国行政研究院において、曽根代表が日本政治とマニフェストをテーマに講演を行った。出席者との質疑応答も活発に行われ、韓国の研究者が日本の政治やマニフェストに強い関心を寄せていることが伺われた。

2007年6月8日
 韓国プレスセンターにおいて、「第二回マニフェスト国際学術大会」が開催された。大会には多数の専門家・実務家が参加し、メディアでも大きく取り上げられるなど、韓国におけるマニフェスト運動の高まりが伝わってきた。当プロジェクトは、その企画段階から参画し、当日は曽根代表が報告者、河と李が通訳を務めるなど、大会の運営を主導した。

大会で研究報告を行う曽根代表
写真1

(2)著書・論文・学会発表など

(著書など)

金永来編『マニフェストと政策選挙(邦題)』論衡出版社、2008年
・曽根泰教「第7章 マニフェストの制度的条件と日本政治の変化」
・河東賢「第4章 日本のマニフェスト登場:文脈と意味」
・鈴木直人「第12章 マニフェストの日英比較:内容と位置づけ」

第17代韓国大統領選挙ハンナラ党政策公約集「一流国家 希望共同体 大韓民国(邦題)」
 2007年12月に実施された韓国大統領選挙で提示された李明博新大統領のマニフェストを、当プロジェクトが日本語に翻訳したもの。新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)発行。発表にあたっては、記者会見が行われるなど、メディアからも注目を浴びた。2月25日の大統領就任式に出席した福田康夫首相にも届けられている。韓国政治に関心のある者にだけでなく、日本の政党がマニフェストを作成する際にも参考になるものと期待されている。
→表紙

(学術論文)

「政策移転過程における韓国ローカル・マニフェスト運動の論理形成」『年報自治体学』第20号(河)
「韓国におけるマニフェスト普及と政策移転ネットワークの形成」『アジア経済』第48巻第11号(河)

(学会等での発表)

2007年6月23日
日韓次世代フォーラム第4回国際学術大会(城西大学東京紀尾井町キャンパス)
「政策移転・制度変化と日本のマニフェストの登場」(河)

2008年1月13日
慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所研究発表会(慶應義塾大学三田キャンパス)
「韓国大統領選挙におけるマニフェストの現状」(河)