基礎分子生物学

WebサイトでのCBTサービスの開発

環境情報学部 内藤 泰宏

 
 

本システムは、ユーザが直接利用するcbt及びバックオフィスとして利用されるcbtmyadminによって構成される。ユーザはcbtにアクセスすることによりデータベースに蓄積された過去の分子生物学購読の問題からランダムに抽出された試験を受け、問題セットの正答率を受け取る事が可能である。実装にあたって満たされるべき要求仕様は下記の通りである。

  1. 1.CBTはユーザに解答を推測させる術を与えるべきではない。

  2. 2.1の要求を満たすため、CBTは正答率のみをユーザに与え、解答は表示しない。

  3. 3.1の要求を満たすため、CBTはユーザより指定回答数に満たない回答しか受け取る事ができなかった場合、結果を表示しない。

  4. 4.CBTは回答に対する採点処理を全てサーバ側で行う。問題の回答をブラウザ側に送信する事はないものとする。

  5. 5.CBTは現在使用されている主要なブラウザ上で動作する。


以下にユーザトップページと管理者トップページ(いずれも開発中)のスクリーンショットを示す。

システムの概要

基礎分子生物学1〜4は、SFCで生命科学を学ぶ学生にとって導入部となる科目である。自然科学の中にあって、生命科学はいまだ記述の学問の域を出ない、もっとも体系化、理論化の遅れた、もっとも幼い、そしてそれゆえに解かれるべき謎がもっとも残されている学問領域である。現今の生命科学は記述の学問に留まっており最先端の研究を実行するために要求する基礎知識は、日々増大している。
基礎分子生物学は、先端生命科学の基礎中の基礎を学ぶための自修に基づく演習中心の科目として設計されている。2006年度より、演習、試験問題の多くを複数選択肢問題(MCQ)への切り替え、学習範囲をまんべんなくカバーするよう、問題数を蓄積している。本年度の学術交流支援資金を用いて、蓄積したMCQを利用して、履修者が自修に用いることができるCBT (Computer Based Testing) サービスの構築を開始した。

システム設計の概要を以下に示す。

ユーザトップページ

管理者トップページ

設 計

cbt, cbtmyadminは以下のように設計されている。

  1. 箇条書き項目インターフェースはHTML及びJavascriptを用いる。

  2. 箇条書き項目インターフェース部分とサーバー側バックエンドであるanswer, quiz, addquiz, modify, viewはJSON-RPCを用いて通信する。

  3. 箇条書き項目問題文、正答率データはサーバー側MySQLデータベースに保存される。

課題点

以下に、現在未解決の問題点を挙げる。順次、解決していく予定である。

  1. 箇条書き項目本年度はシステム主幹部分の構築に止まり、既存の問題のデータベースへの登録が進まなかった。

  2. 箇条書き項目Internet Explorer対応の為、cbtで使用しているJavascriptライブラリ'mootools'のversionを挙げたところ、メソッド互換性のバグにより他ブラウザでの安定性が著しく低下している。

  3. 箇条書き項目現状ではcbtmyadminを利用した問題文の追加はできるが、削除が実装されていない。削除する場合phpmyadminを使う必要がある。

  4. 箇条書き項目正答率蓄積用のテーブルが用意されていない。

  5. 箇条書き項目Internet Explorer 6での挙動が不安定。

  6. 箇条書き項目Safari 2.0、Mobile Safariでの動作確認が未完了。

今後の展望

今後、データベースへの問題の入力を進めつつ、2008年度春学期より基礎分子生物学1〜4の授業で試験運用を開始する予定である。ユーザである履修者ならびに担当教員のフィードバックを得て、実用性、実効性の高いシステムへと完成度を高めていきたい。

謝 辞

本システム開発にご協力いただいた環境情報学部 中村浩之君、河野暢明君、玉木聡志君に深く感謝いたします。