研究課題名:2008年度学術交流支援資金「電子教材作成」報告書

所属:総合政策学部

氏名:古谷知之

 

近年、統計学分野では、ベイズ統計を用いたデータサイエンスが主流となりつつある。欧米では、政策科学やマーケティング・サイエンス、環境科学、医療統計、空間統計などの応用分野でも、ベイズ統計を用いた教科書や演習書が数多く出版されつつある。しかし我が国では、確率統計に関する一定の知識を前提に、基礎から応用までをカバーする教科書がほとんどない。

そこで本資金をもとに、ベイズ統計に関する電子教材を作成した。具体的には、(1)社会科学を主な応用領域として、ベイズ統計の基礎から回帰分析、マルチレベルモデル、非集計選択モデル、時系列モデルまでをカバーする電子教材を作成し、(2)統計言語Rを用いた豊富な演習問題を用意し、(3)SFC学生がオンラインで学習できる、電子教材を作成した。

さらに、本資金で作成した電子教材を書籍にまとめ、朝倉出版から『ベイズ統計データ分析』として出版した。当該書籍は、SFCでの授業「ベイズ統計」の内容と対応させて、以下のような章立てとなっている。第一章:ベイズアプローチの基本、第二章:ベイズ推論、第三章:マルコフ連鎖モンテカルロ法、第四章:離散選択モデル、第五章:マルチレベルモデル、第六章:パネルデータモデルと時系列モデル、Appendix ARの基礎、Appendix BWinBUGSの基礎。

作成した電子教材と書籍を、学部授業「ベイズ統計」での教育に活用した。