2009年度学術交流支援資金「電子教材支援(問題解決とアルゴリズム)」報告書
研究代表者名:有澤誠
1.本教材の背景
現在のアルゴリズム教育は1)前提知識や技術の必要性や2)アルゴリズムの抽象性などの問題が提示されている。
SFCではカリキュラム上、情報工学の技術や知識がなくても「問題解決とアルゴリズム」を履修できるため、 上記の問題が顕著になる。
このことは問題をもたらす一方で、斬新な研究や作品が生まれる可能性も持つ。
以上のことを踏まえるとSFCにおいて、初学者や専門外の履修者 がアルゴリズムの理解を深めることができる学習環境、教材の作成は強く要求されている状況にある。
2.本教材の目的
本教材の目的は、本研究の目的はアルゴリズムを視覚的に理解できるコンテンツ集を電子 教材として制作し、
直感的なアルゴリズム教育を実現することである。
3.研究内容
今回作成したものは、アルゴリズムを視覚的に体験できるデジタルコンテンツ集である。
このコンテンツ集はウェブ上でアーカイブとして利用されることを想定しており、ユーザは沢山のデジテル 
コンテンツの視聴と体験を通して直感的にアルゴリズムの概念を理解する。デジタルコンテンツは映像、プログ 
ラミングを用いたインタラクティブな表現などである。
 
まずはアルゴリズム表現の収集を行った。
具体的には文献やウェブ上からコンテンツを探し、それを一つのサイトで利用可能な状態での公開を目指した。
もちろん公開は許諾の不要なもの、および 許諾の取れるもののみである。
収集に携わったのは「問題解決とアルゴリズム」の2009年度の履修者である。
収集に際してはtwitterを作業スペースとして使うことでオープンな状況の元、進められた。
twitterの特性上、気軽に更新できるため予想以上に多くのコンテンツを収集することができた。
1980年代頃の初期のメディアアート作品が中心に集まることが想定されたが、アートとしては認知されていない学術的見知なども多く収集することができた。

次にアルゴリズム可視化コンテンツの制作を行った。
未知のアルゴリズムに対してはコンテンツの制作を行った。
具体的には「問題解決とアルゴリズム」の2009年度の履修者を対象にProcessingというビジュアルプログラミング環境の使用方法を通して視覚化手法を教え、その後は各自で制作を行った。
そのため、制作コンテンツの多くはインタラクティブな作品になるが、グラフィックデザインの手法を用いて表現したものもいる。
作られた作品は過去の作品の延長線上に位置づけられるような忠実な視覚化作品から、単純な視覚化に留まらない作品と言えるものまで多岐にわたる。

最後にコンテンツ群の整理と体系化を行った。
収集もしくは制作したコンテンツ群は利用しやすい形でウェブ上に公開した。
ウェブ上の二次元空間にコンテンツへのリンクが張ってあり、必要に応じてコンテンツ利用ができる、といったものである。
公開にあたっては、同じテーマのアルゴリズムや、近い手法を用いたコンテンツは近く、そうでないものは遠い位置に配置する。
この手法により、より効率的に必要なコンテンツへのアクセス効率を高まると考えている。
現在(2010年2月26日現在)はメンテナンスにより一時公開を中止しているが、来期授業時(2010年秋学期)までには再び稼働を予定している。