2009年度 学術交流支援資金報告書

 

研究課題名       電子教材作成支援3-20 スペイン語インテンシブ1

研究代表          山本純一 

所属                環境情報学部(教授)

研究協力者       寺田 裕子(スペイン語訪問講師(招聘))

 

報告書目次

1.本研究の背景と目的

2.開発の計画と経緯

   2-1 インテンシブコースの授業を補足する自習型教材の開発

   2-2 スペイン語コース全体を通し、授業内容のレベルを明確化する教材の作成(DELEに対応した教材の作成)

   2-3 歴史を題材とした読解型教材で、読みながら中級文法項目を学ぶ、読解と文法がリンクされた中級レベルの教科書の開発

3.研究成果の提示

 

I 研究の背景と目的

 

本研究は、SFCの外国語教育の一拠点スペイン語研究室として、日々変化する電子媒体による学習環境をかんがみ、目標として学習者主体のスペイン語LMS(Learning Management System)を構築することを掲げた。2007年から新カリキュラムに合わせるべく、逐次、電子教材である文法自習教材の改定や、新規の語彙教材の開発など、ベーシックコースの基礎教材の開発を進めた。一連の流れで、2009年度は、インテンシブコースの教材開発を目指した。

 2007年度版の新カリキュラムでは、スペイン語履修者は、ベーシック1、2、3と、半期ごとにベーシックを履修後、インテンシブに進むというモデルに沿って学習している。中でも、ベーシック3は、プレインテンシブと位置付け、週2コマではあっても、週4コマのインテンシブと同様の課題を設定している。その結果、歴史の教材や文法の学習は、かなりの部分を、授業外の自習として課している。そのような背景から、履修生にとって、自習がしやすい教材を整備することが大きな課題であった。2007年から2年間をかけて、一連の自習教材の整備が済み、続くインテンシブで、さらに高度化した読解教材と、文法解説書が必要となっていた。

そのほか、残された課題として、ベーシック3やインテンシブの履修を終えたが、研究会や就職活動など、スペイン語を継続的に履修できなくなった履修生から、授業は受けなくても、履修生の時と同様に、自習しながらスペイン語力を維持、できるならば、向上させたいという要望がよせられており、これを実現する教材開発も課題であった。

そこで、2009年度は、インテンシブコース用に、1)スペイン史を題材とした読解と、中級文法を合体した独自の教科書の開発、2)リスニング読解用のウエブ教材の開発、の二つの教材開発を目指した。

 将来的に、1)と2)を合体させた、「リスニングによるスペイン史学習」をウエブ教材として開発する展望である。

 また、スペイン語教材開発に際し、DELE(スペイン政府公認のスペイン語能力試験)の基準に沿って開発するという方針を再確認し、自習するときには、教材のレベルを選びながら、履修者が各自、目的を持って学習ができるように、スペイン語教材のレベル明確化が重要な課題となっている。

 

II 開発の計画と経緯

 

1)スペイン史を題材とした読解と、中級文法を合体した独自の教科書の開発

第一に、教材の構成である。スペイン史を知らない履修生に、日本語で、概説を読むように、最初に日本語での概説、次にスペイン語によるスペイン史、最後に、本文に取り扱われたスペイン語の中級文法、というような3部構成にした。

第二に、一学期13週での授業をかんがみ、ベーシック3からの流れで、スペイン史の時代区分をどのように構成し、11課に収めるかを検討した。その後、スペイン人の非常勤講師に依頼し、決められた時代区分の中で、重要項目を挙げ、90分の授業内で収まるようにA4、3ページに収まる原稿の執筆を依頼した。

第三に、DELEのレベルB1,B2に準拠した中級文法を取り扱う文法解説および問題を執筆した。

以上、インテンシブスペイン語の授業、全13回に準拠したスペイン史の読み物と、それにリンクさせながら、DELEB1、B2に準拠した文法項目を取り扱う独自のスペイン史教材を作成した。

2)リスニング読解用のウエブ教材の開発

上述したようにスペイン語の授業は、ハードで、初めて学習を始めたばかりの学生でも、かなりの課題が出される。自習を前提にスペイン語漬けの生活を求められる。もちろん、コースを順調に進めば、フィールドワークまで進むことが可能で、DELEの中級B2レベル合格する学生もいる。ただ、多くの学生は、スペイン語の専門ではなく、各自の研究会で、それぞれ専門の研究を続けており、せっかく、スペイン語を学習したのにも関わらず、学習が中断されてしまい、スペイン語を忘れてしまうという残念な結果になってしまう。そこで開発されたのが、本教材2)のPaco y Pepaである。

文法は「宿題システム」が、語彙学習は「CD教材Cocina」が、作文はスペインとの掲示板活動「Foro」が、既に開発され、自習教材として活用されている。そこで、この「Paco y Pepa」は、既習者のスペイン語力の維持と、スキルアップを目指すことのみに焦点を当てた教材といえる。

言語習得には、音声でのインプットが重要と考え、第二言語である「スペイン語」も、極力、音声のインプットを重視していきたい、という習得のルートを想定し、授業外でもスペイン語が繰り返し、聞ける環境を整えようと考えた。

その結果、まずは、音声を繰り返し聴くことができ、必要ならスクリプトもあり、また、単語の意味も、カーソルをあてることで、知ることができるという、シンプルな教材をデザインした。必要なら、段落ごとに、要約を見ることができるため、おおよその意味を理解しながら、繰り返し聞いて、スペイン語のリズムで、無理なく学習を継続するという教材である。
 また、DELEに準拠したレベル別にすることによって、自分の今いるレベルよりも、少し、高いレベルに挑戦したり、または、少し易しいものを完璧にシャドーイングできるまで聞いたり、学習者の状況に合わせて、スペイン語のレベルを意識しながら利用できる点も特徴である。

 

III. 研究成果の提示

 

1)    添付教材

 

2)    http://estudio.sfc.keio.ac.jp/Paco_y_Pepa/menu1.html

(アクセス制限をかけてあるため、以下のメールアドレスまで連絡をください。)

 

文責 寺田裕子 総合政策学部 訪問講師 hterada@sfc.keio.ac.jp