近年「ネットワーク科学」(Network Science)と呼ばれる一連の学際的/超領域的研究が進んでいる。これは、物事を「ネットワーク」として捉えるというアプローチである。そのアプローチでは、主体やモノを「ノード」とし、それらをつなぐ関係や相互作用を「リンク」として表現する。このような関係性の地図を描くことで、全体の構造を可視化・分析できるようになるの。
本プロジェクトが対象とした科目「シミュレーション・デザイン」(2011年度春学期開講:井庭 崇, 古川園 智樹 担当)では、このネットワーク科学を題材にして、コンピュータ・シミュレーションの作成・実行・分析できる能力を身につけることを目標としている。履修者は、シミュレーション実験をどのように、計画・実行・分析するかを学ぶと同時に、自分自身でネットワークのシミュレーションモデルを作成・実行・分析することで、ネットワーク科学の基本的なモデルへの理解もより深めることができる。最終的には、コンピュータ・シミュレーションとネットワーク科学を、各自の学術的研究で活用できるスキルと考え方を身につけた。
本プロジェクトの目的は、ネットワーク科学を理解するコンピュータ・シミュレーションのためのフレームワークを作成することである。特に、スモールワールドネットワークやスケールフリーネットワークなどといった、ネットワーク科学の基本的なモデルを容易に実装できるライブラリをJavaで実装した。
本プロジェクトでは、具体的に(1)モデル作成のためのJavaライブラリの作成、(2)マニュアル・ドキュメント類の整備、(3)WEB上への公開、の3つの作業を行った。