GIGAに対応した英文教材の作成 (情報基礎、論理思考とプログラミング)

服部隆志 慶應義塾大学環境情報学部

カリキュラムについて

2007 年度から実施された未来創造カリキュラムにおいて、初年次の情報教育として次の科目かが用意された。

「情報基礎」
高校の教科「情報」の学習が十分でない学生が多いと思われるため、その復習を主眼とし、プログラミング科目の準備を行う。
「論理思考とプログラミング」、「コンピュータ基礎とプログラミング」
プログラミング入門の科目としては、アルゴリズム的な思考方法の習得に重点を置く科目と、将来の実用的なプログラミング学習に向けて技術的基礎の習得に重点を置く科目の二種類を用意し、どちらかを選択するようにした。

これらの科目の教材はすべてオンラインで閲覧可能である。形式は科目によって異なり、例えば「情報基礎」は Moodle を使用し、プレゼンテーション用の PowerPoint ファイルや配布資料をダウンロードする形になっているが、「コンピュータ基礎とプログラミング」では単純に HTML で記述してあり、ブラウザで直接閲覧する形になっている。

また、入学時点での学生の知識と技術の差があまりに大きいため、プログラミング科目の履修者の水準を揃える目的で情報技術認定試験を実施し、履修の前提条件としている。これは、タッチタイピングの試験と、選択式の基礎知識問題の試験の二種類があり、どちらもオンラインの試験である。なお、試験システムは SFC で独自に開発したものて?ある。

今年度における変更点

前回のカリキュラム改定から4年が経過し、さまざまな問題点も明らかになってきたため、将来のカリキュラム改定を先取りする形で、今年度から上記科目の授業内容の改定を行うことになった。具体的には、「情報基礎」と「論理思考とプログラミング」をセットにしてウェブ技術を軸にした内容に改める。それぞれの科目の内容は次のように変更された。

「情報基礎」
前半は従来の内容の基礎的な部分を行う。後半はウェブページ作成の実習を行う。習得すべき内容は、サーバ・クライアントモでルなどネットワークの基礎知識、HTMLとCSSの基本、構造と表現の分離、セキュリティとアクセシビリティの基礎知識などである。
「論理思考とプログラミング」
前学期に「情報基礎」で静的なウェブページ作成の実習を行ったことを前提にして、プログラミングによって動的ウェブページを作成する実習を行う。具体的には、Javascriptによる簡単なプログラムの知識の習得と、既存のライブラリや外部サービスを用いて手軽に実用レベルのウェブページを制作する演習を中心とした。

GIGA対応について

今年度秋学期にGIGAの授業が始まるため、次のような対応が必要となった。

教材の翻訳

情報基礎

シラバス前半については、従来の教材から以下の6回分について講義用スライド、学生用ワークシート、サンプルドキュメントなどを英訳した。

シラバス後半については、HTMLで書かれた教材を英訳した。主な内容は以下の通りである。

論理思考とプログラミング

WordPressを用いて書かれた教材を英訳した。主な内容は以下の通りである。

成果

「情報基礎」の英訳教材を用いて秋学期に開講したクラスは12名の履修者があり、順調に授業を行うことができた。

タイピング試験システムは、英語メッセージに変更して問題なく試験を実施することができた。

「論理思考とプログラミング」の英訳教材は、来年度春学期に開講するクラスで使用する予定である。