2012年度 学術交流支援資金 外国語電子教材作成支援

研究課題名 基礎分子生物学1/2/3/4

所属 環境情報学部
氏名 内藤泰宏

背景

先端生命科学研究会(冨田、板谷、金井、曽我、佐野、内藤 合同研究会)は、2012年度よりGIGAプログラム所属学生のうち、生命科学に関心を持つ学生の積極的な受入を開始し、研究会に関連する科目についても、GIGAプログラムの留学生が抵抗なく履修できる体制を整えることとした。
学部・先端導入科目「基礎分子生物学1/2/3/4」(以下「基礎分子生物学」と表記)は、SFCで先端生命科学を学ぶ全学生に履修を強く推奨している科目であり、科目設置以来、これまで同研究会で卒業プロジェクト、卒業制作を履修した全学生がこれらの科目を履修している。
「基礎分子生物学」は4つの1単位科目から成り、年間計28回の講義で構成されている。生命科学の多くの領域は現状では記述的学問であるため、核心となる理論を理解し全面的に敷衍するような効率的な学習は困難で、個別の知識をこつこつと学ぶほかない。そのため、ダイジェスト版ですら初学者向けにすべてを詳細に講義するには授業時間が足りないため、「基礎分子生物学」では科目開設以来、演習中心の授業形態を取り、履修者の自学自習を促している。

目的

GIGAプログラム在籍者をはじめとする、「基礎分子生物学」を英語で履修することを希望する学生に既出問題資源を提供するため、それらを英語に翻訳するとともに、英語、日本語両言語の既出問題を統合したデータベースを構築する。また、既出問題資源を活用した自習教材を開発する。

成果

英文の問題をおよそ1000問作成、収集した。これには、日本語の既出問題から翻訳したもの、教科書等から収集したものを含む。
企図していたデータベース構築は、本年度は完成には至らなかった。上記英文問題は問題集形式で「基礎分子生物学1/2/3/4」の科目ごとに問題集形式にまとめてあるので、次年度以降、継続してデータベース化を進めていきたい。
自習教材としては、上記問題集に加え、アップル社 iBooks Author による電子教科書(問題集)を作成した(「基礎分子生物学4」のみ)。この教材については、2012年度「基礎分子生物学4」の期間中、アップル・ジャパンより、履修者全員およびSAに行きわたる数の iPad2 の貸与を受けることができ、iBooks形式の自習教材(問題集)を作成、配布し、履修者のフィードバックを得ることができた。ただし、本年度の履修者のうち英語で試験を受けた学生は2名にとどまったため、電子教材は日本語版も用意した。フィードバックは日本語版へのものがほとんどである。
フィードバックのうち、ポジティブな意見の多くは、可搬性の高さに関するものであった。電子教科書ならではの不便についての指摘は少なかったが、そもそも紙媒体に印刷した問題集を用い、電子版を利用しなかったという履修者も3割程度みられた。検索機能を利用して類問を探すなど、電子教科書ならではの利用方法がある一方で、データベースと連携したテストの実施などは、仕様上の制約もあり、スムースなインターフェイスを用意するのが現バージョンでは困難な点なども把握できた。

展望

約1000問の問題を準備できたことは今後に大いに資するものである。一方で、既出の日本語問題のすべてを英訳できたわけではないので、今後も充実を図っていきたい。 また、来年度以降、本年度構築に至らなかったデータベースの構築に取り組んでいきたい。データベースを利用して、履修者自身による到達度把握の支援を実現したい。