1999年度森基金 国際共同研究
次世代インターネット移行のための
動的仮想リンク制御システムに関する評価
モービル広域ネットワークプロジェクト
村井純
本研究の概要
次世代のインターネットプロトコルとして開発されたものが IPv6(Internet Protocol Version 6)である。IPv6 への移行は、インターネットにとっての急務の課題となっている。しかし、IPv4 と IPv6 は、通信における互換性が無いため、移行時には様々な問題点が発生する。そこで本研究では、移行を促進する技術が開発・運用し、評価することで、緩やかな IPv6 への移行を促すことを目的とする。
研究活動
本研究ではまず、論理ネットワークの管理コストを削減することのできる、動的仮想リンク制御システム「Tunnelator」の設計・実装を行った。
Tunnelator システムを、実稼働している IPv6 ネットワークにて運用し、障害無く運用することができ、仮想リンクの管理コストが削減されることを確認した。
Tunnelator システムを、国内10組織と海外1組織に設置し、管理コストに関する評価と、通信性能に関する評価を行った。
研究成果
本システムの設置実験に参加した主な組織を以下に示す。
日本国内
SFC、横浜インターネット互助会、Digital Magic Lab.、東京工業大学、KDD 柏 NOC、京都大学、千葉経済大学
日本国外
USC/ISI (Losangeles)
設定済みトンネル | 自動設定トンネル | Tunnelator | |
設定コスト | 必要 | 不要 | 不要 |
DNS の変更 | 不要 | 必要 | 不要 |
最適トポロジの自動生成 | × | ○ | ○ |
動的トンネル管理 | × | ○ | ○ |
管理ポリシの反映 | ○ | × | ○ |
移行期全般への適応性 | ○ | × | ○ |
2 組織間で、トンネルの自動設定を行う場合の、トンネル自動設定に要する時間を測定した。50 回測定し、最大値、最小値、平均値、標準偏差を算出した。
最大値 | 2214ms |
最小値 | 1396ms |
平均値 | 1811ms |
標準偏差 | 298.7ms |
約 2 秒でトンネル自動設定を行うことが可能となった。