概要・研究の流れ

概要:
人々の選好や価値観は時代とともに刻々と変化しており、次第に従来の利便性に代表される量的価値から乖離し、生活環境の質的価値を重要視する方向に移行しつつある。そこで本研究では、従来の主要な土地評価軸である利便性や集積度をベースに、情報非公開であった土壌・地下水汚染、緑被地、騒音等の周辺環境情報及び地盤、火災等の災害リスクを考慮に加え、多様な視点から新しい価値観に基づく合理的な土地評価を検討する。具体的には、様々な選好を持ったユーザを想定し、各評価セクションから個人レベルの選好に基づいた評価軸の選択及び重みづけ設定を行うと、多属性効用関数により統合的な土地評価を算出するインタラクティブな土地評価モデルの構築を最終的な目的とする.本モデルは,個人レベルの選好依存型土地評価を一方的に明示するだけではなく,同時に人々の多様な価値尺度の形成を支援するための幅広い情報を提供することも期待される.

本年度はその基礎研究にあたり、個人の効用関数を推計する手法として,主にマーケティング分野で消費者の効用測定に利用されているコンジョイント分析を適用し,その有効性についての考察を行った.また、今後も本研究を継続していくに当たり、現在様々な環境変数データを準備中であり、それらの多用な指標の統合プロセスについては、古くから環境経済分野で研究されている多基準分析の応用を検討している。
 
 

研究の流れ: