今後の展開

 
  1. 現況地価、不動産情報との乖離を分析
  2. 土地取引や都市計画の合意形成への寄与
  3. Internet GIS上でインタラクティブに操作可能なシミュレーションの開発

 

個人の効用推定に関しては上述の通り未だ多くの問題を残しているが,本ケーススタディでは,環境価値等人々の主観に関する要素を尋ねる場合,文字情報だけでなく現実世界を視覚的にモデル化した空間情報を提示することにより,被験者の評価対象に対するイメージ形成を容易にし,個人の安定した選好を導く傾向にあることが確認された.今後本モデルの改良を行い,多様な環境情報のインフォームから評価・意思決定の過程においてGIS上でインタラクティブに操作可能なシミュレーション開発を試みることは,大変意義深いと考えられる.

これは,多様な価値尺度に対応しているという利点だけではなく,個人の効用やその評価手法を明確にしつつ様々な環境・災害情報を幅広く提供し,評価・意思決定を行うサイクルによって,利用者の多様な価値尺度形成を支援するための受け皿として十分な機能を備えている.また,本システムは個人の選好の相違から生じる効用評価の差を通じて重要な情報収集源ともなり,土地取引や都市計画の合意形成にも寄与することが期待される.しかしながらまだまだテスト段階であるため、今後多様化角度からの挑戦が必要となるであろう。