問題・改良点

  1. 環境属性
  2. 個人の効用関数推計
  3. 効用から貨幣尺度への変換
  4. Internet GISへの展開

 

 まず,人々の評価価値尺度となる環境属性について吟味する必要がある.本ケーススタディでは表1に挙げた6つの環境属性と1つのWTPを用いたが,今後土地売買の重要な指標になると考えられる土壌・地下水汚染をはじめ,大気汚染,騒音,地盤,文化財等,様々な環境質に関するデータを整備する必要がある.災害リスクに関しては地震による建物倒壊危険度のみならず風水害,人的被害,交通事故等身近なリスク情報についても整備すると同時に,再度指標の見直しが必要である.
また,個人の効用を推計するためのデータ収集方法やプロファイルのデザインについては今後十分プレテストを行い,部分効用間の関係及び環境属性の交互作用に関する対処等についても,確りとした理論的礎を築かなければならない.
  さらに,環境分野におけるコンジョイント分析は理論的に未成熟であり未だ発展段階であるため,多基準分析法等の他の環境経済的手法と環境の多次元性を扱うシステムズ・アプローチやファジイ理論との混合及び導入についても検討する必要があるだろう.まだまだ様々な手法を試してみる必要があると思われる。