1999年度 日米政策協調プロジェクト
報告書
<目次>
六. ディスカッションログ(1999年11月15日東京財団にて)
日本の政策の俎上に「地方分権」があがって久しいが、その理想は一向に実現されてこなかった。だがここ数年地方分権の議論は大きく前進することとなる。中央集権制度の制度疲労が広く認知されるようになりその弊害も顕著に見られるようになってきたことを受け、平成7年に成立した地方分権推進法を指針とし、1999年7月8日に地方分権法の改正を柱とする一括法が成立したのである。これに先立ち、首相諮問機関である経済戦略会議は平成11年2月26日に出された答申の第2章において、「健全で創造的な競争社会の構築」の一環として地方主権の確立が必要不可欠との提言をしている(資料1)。ここでは同提言の実現が現時点においてどこまでなされているか、今後の課題は何かを、日本とアメリカとの比較を交えながら検証していきたい。
日本経済を再生するに当たって、地方分権を推進することがなぜ必要なのであろうか。一般的には次のような要因が分権推進を必要不可欠のものとしていると考えられる。@中央集権制度の制度疲労、A行政の非効率(平成11年度末の国と地方の債務残高GDP比120%)、B価値観の多様化(画一的行政サービスの是正)、C人口の変動と少子・高齢化(人口動態中位推計で2005年をピークに減少)、D国際化・スピード重視への政策転換(自治体外交や意思決定の迅速化)、E自治体の適正規模の確保(ごみ処理問題や介護保健サービスなど)などである。
では、地方分権を実施すると何が変わるのであろうか。次のようなことが考えられる。@財政基盤の拡大による効果的な資本投資(実質的平等の確保と集中投下による都市の魅力増進)、A地域間競争による技術革新や産業育成の促進、B団体自治・住民自治(地方自治の本旨)の強化、C行財政の建て直し(管理部門の統括や行政の効率化から)、D個別具体的な実態に合った政策(地域の実情を踏まえた各種政策の創造)である。
これらの成果を実現する地方分権の内容としては、大きく4つのカテゴリーに分けることができる。第1が権限の委譲、第2に財源の委譲、第3に自治体の広域化、第4は人材の育成である。この点、経済戦略会議答申においては特に財源の委譲と自治体の広域化について提言しているが、官庁の反応は決してよいものではない(資料2)。またこの度の改正を踏まえても権限の委譲や人材の育成に関してさえまだ十分とはいえないのではないだろうか。以下、1999年に成立した地方分権関連法等による地方分権の実現の度合い、そしてこれからの課題を検討していく。
地方分権の基本指針は地方分権推進法である。これに基づいて地方分権法、地方税法、地方交付税法、地方財政法などはどのように改正されたのか、課題はどこかを探る。また、市町村合併に関し、有効な政策を探る材料を提供することも目的とする。さらには、地方分権に関し、現行憲法上の制約から地方分権の限界を検討したいと思う。
地方分権推進法は、国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、地方公共団体 の自主性・自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現することを基本として行うとの主旨に基づき、平成7年に成立した。この法律は5年間で失効する。
<地方分権の推進に関する基本方針の概要>
(1)国と地方公共団体との役割分担 国は、国が本来果たすべき役割を重点的に分担。地方公共団体は、住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理するとの観点から地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担う。(三.5における地方分権推進法の抜粋参照) (2)地方分権の推進に関する国の施策 国は、国と地方の役割分担の在り方に即して、権限委譲を推進するとともに、国の関与、必置規制、機関委任事務、補助金等の地方自治の確立を図る観点からの整理合理化その他所要の措置を講ずるものとする。 (3)地方税財源の充実確保 国は、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保を図るものとする。 (4)地方公共団体の行政体制の整備・確立 地方公共団体は、地方分権の推進に応じた行政体制の整備・確立を図るものとし、国は、必要な支援を行うものとする。 |
このうち、(1)でいわれる国と地方の役割分担が、権限面および財源面でどれだけ実行できるかが地方分権の成否を分ける。特に「財政基盤なしに政策はおよそ成り立たない」との立場から、地方税財源の充実確保が最も重要な課題となると考える。
1999年7月8日成立し、2001年4月1日から施行される。
この改正により、従来の機関委任事務[1]の約6割が自治事務に再構成され、残り4割が新たに法定受託事務とされることになった。
法定受託事務となった事務に関し、どの程度の自主性が与えられたかが問題となるが、機関委任事務が主務大臣に一律「包括的な指揮監督権」を与えられていたのに対し、法定受託事務は基本類型に沿った関与に限定されている点が異なる。具体的には、事務に関する条例を制定できるようになった点などがある。これによって地方の独自性や実情に合った政策をある程度行うことが可能になった。
Cf. 憲法は94条で「地方公共団体は、…(中略)…法律[2]の範囲内で条例[3]を制定することができる」とし、地方自治法は「法令[4]に違反しない限りにおいて」と規定している。つまり、現行憲法の枠内で運営する限り、条例の目的・趣旨・内容および効果には必然的に限界があることになる。
このように機関委任事務の廃止自体は評価できる点もあるが、地方分権を本格的に進めるに当たって、その必要性を鑑みるとまだ十分とはいえない。国と地方の役割分担から見ても、必置規制や許認可制は自治体の規模や指針に基づく判断に任せるべきものが少なくない。自治体の意思決定のスピード化を図るためにも今後見直されていくべきであろう。
現在、我が国の財政はきわめて厳しい状況にあるが、危機的な財政状況にあるのは地方財政も例外ではない。特に、財政基盤の弱い地方自治体の「家計」は火の車になっている。 一方で、地方分権や今後の高齢化の進展などにともない、地方自治体の役割はますます大きくなっていくものと考えられており、このギャップを埋めることが課題となる。
地方税収等の落込みや減税による減収を補填するとともに、景気対策のために地方債を増発したこと等により近年借入金が急増し、地方財政は平成10年度末で160兆円の多額の借入金(対GDP比30.9%)を抱える見込みとなっている。
(地方財政白書より)
また、地方自治体が地域の実状に応じた自主的・主体的な財政運営を行っていくためには、自由に使える財源である地方一般財源の割合を高めていく必要がある。しかし、最も基本となる地方税の歳入全体に占める割合をみると、その平均は34.6%で全自治体の8割がそれ以下となっている。また20%未満の自治体も約55%あり、財政基盤の弱い自治体が非常に多い(資料3)。
今後も、過去に発行した地方債の元利償還金が増加していくことが見込まれる一方で、地方分権の推進に当たって、地方自治体は地域における行政を自主的かつ総合的に広く担うとされ(地方分権推進計画)、そのためのさらなる出費も考えられる。高齢化社会に向けた介護保険の導入をはじめとする総合的な地域福祉施策の充実、住民に身近な社会資本の整備や災害に強い安全なまちづくり等の重要政策課題を推進していく上で、地方団体が担うべき役割とこれに伴う財政需要がますます増大するものと見込まれる。
これに関して、地方財源に関する各種法律が地方分権推進一括法で改正されたが、その概要は以下のようなものである。
1.地方税法 |
・課税自主権を尊重する観点から、法定外普通税の許可制度を廃止(同意を要する事前協議制) ・条例で定める費用に充てるため、道府県又は市町村が課することができる目的税として法定外目的税を創設 |
2.地方交付税法 |
・地方交付税の算定について、地方団体の意見をより的確に反映すると ともに、その過程をより明らかにするための制度を創設 |
3.地方財政法 |
・地方債の許可制度を廃止し、地方財源の保障、地方財政の健全性の確保等を図る観点から、原則、協議制度へ移行 ・地方債の適債事業の範囲についての明確化 |
これらの改正では、まだ十分とは言えない。確かに従来と比べ権限の面では前進したといえるが、その一方で財源移譲に関しては全く変更を行っていないからである。地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立ち、地方税を充実確保していくためには、さらなる増税よりも国からの財源の移譲が必要不可欠である。また、所得・消費・資産等の間における均衡がとれた国・地方を通じる税体系の在り方を踏まえつつ、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築していくことが望ましい。そのためには、真の意味で平等な交付税の配分を実現させるシステムを構築しなければならない。また、制度の創設のみならず、国民や専門機関の監視のもと運営されなければ画餅となる可能性もあると考える。
市町村行政の現状・将来の見通しを踏まえ、主として、@住民の生活圏の拡がりに対応したまちづくりの必要性、A市町村行政サービスのレベルの維持・向上の2点の理由から、市町村合併の推進は緊急の課題と位置付けられる。ではその必要性はどこにあるのだろうか。
<合併のメリット> 市町村の合併を推進することで、次のような効用が得られるようになる。すなわち、@広がった日常生活圏に、よりマッチした行政サービスを受けることができる、A隣接した市町村が別々につくっていた同じような文化・スポーツ施設を計画的に整備できるので、地域内でバランスのとれた、より質の高い施設を利用することができる、B市外利用のために高い料金を払ったり、利用できなかったりした施設やサービスを、同じ自治体の住民として利用できるようになる、C各市町村が別々に整備していた道路、上下水道、公園などが、一体的・効率的に整備されるようになる、D複数の市町村が一つになることにより、財政力が強化され、住民の多様な行政ニーズに対応できるようになる、E組織の統廃合によって重複する部門の職員を他の行政サービス部門に配属したり、新規事業に振り向けたりすることによって、行政サービスの向上または財政の再建が図られる、F地域のイメージアップにもつながり、若者の定着や職場の確保が期待できる、などである。
これら合併の効用は、特に財政基盤の弱い市町村にとって生き残るために必要不可欠であり、緊急の課題と位置付けられたのはこのためである。しかし、合併を推進し、メリットを享受するためには、次のような弊害を排除し、デメリットを緩和・調整していく政策が必要となってくる。
<合併弊害要因と対策> まず、政治的弊害として、首長及び議員による定数の削減に対する抵抗や危機感がある。合併に伴う議員定数の削減などは当然の帰結であり、それ自体メリットのひとつでもある。しかし、職を奪われることに対する抵抗は依然根強く、合併の促進を鈍らせる大きな要因となっている。この弊害を排除するためには、市町村の合併事案に限ってイニシアティヴを議員から住民に移すなど、住民主体の政治過程にすることが効果的であろう。(例:住民発議⇒合併協議会(自治体を代表する議員同士の話し合い)で否決⇒住民投票により有効投票の2/3以上で決するなど)また、この弊害をかわす選択肢として広域連合に頼ることもできるが、合併本来の趣旨からは外れざるをえないと考える。
さらに、市町村同士の主導権争いも問題となる。従来の庁舎の機能統合や庁舎自体の有効活用がスムーズに行えないことはもちろん、派閥争いのような事態も起こりやすい。そのためジプシー庁舎[5]にするところもあるが、根本的に解決しえない場合は広域連合の活用もやむをえないであろう。
これに対する住民側の意識の問題として、旧住民と新住民の間の温度差が挙げられる。 これは自治体が旧住民のアイデンティティの対象となっていることを意味する。そのような住民の意思を切り捨てるのは望ましいものではないが、市町村の合併は今や差し迫った課題となっており、住民の理解を得るための活動を自治体主導でやっていくべきである。
また、合併により規模が拡大することで都市部への集中投下が可能になる。魅力的な都市の構築は自治体にとっても政策的に重要な目的であり、消費と投資はある程度一致すべきであり、合併のメリットのひとつでもある。しかし、中心部と周辺部の格差が拡大することになり、一部の地域のサービス水準悪化も考えられる。加えて、もともと財政が豊かな自治体は合併によりサービスの低下することもあり、合併へのインセンティヴがそがれてしまうことも少なくない。必要性を踏まえると、メリットを上回るほどのデメリットではなく、本来あるべき受益と負担のバランスに近づける限りある程度許容されるべきであるが、有効な合併にするためにも議論が必要である。
最後に、市町村合併の最大の問題点といえる、規模の拡大による「住民の声」の反映低下が挙げられる。適正規模は、人口、地理的環境、基盤整備の充実度合い、それに伴う交通の発展程度、適正な財政基盤、住民の共同体意識、歴史的沿革、選挙制度とのかかわり、そして住民の行政へのアクセスしやすさなどによって決定される。必ずしも大規模になることが最善ではなく、これらの要素を総合的に考慮しバランスの良い規模に近づけていくことが目的となる。この点、日本の自治体規模を諸外国と比べると、平均としては決して小さくないことがわかるが(資料4)、財政基盤が極端に弱い自治体の合併は不可避であろう。
<広域連合> 広域連合に関しては、2000年4月からの介護保険制度の導入が後押しし、1999年になって急増した。自治省の調べでは1998年までの17団体から2000年1月17日現在で58団体まで増えている。市町村の生き残りを掛けて、2000年以降もこうした傾向は続くと思われる。
広域連合が合併推進の世論を避けるためものであってはならないが、広域連合を道州制[6]への過渡的形態と位置付ける見解(経団連・関経連)もある。広域連合による成功例がいくつか出て来ることで、合併論議に弾みがでることを期待したい。
Cf.「現在3300程度ある市町村を3分の1程度の1000程度に減らす(野田毅自治大臣)」日本経済新聞 平成11年6月15日夕刊 「道州制の検討提言(経済審議会)」日本経済新聞 平成11年9月29日朝刊 「94%の首長が広域連合に意欲的」日本経済新聞 平成12年1月4日朝刊 |
日本国憲法は、第8章で地方自治を保障していると同時に、歴史的背景を根拠に様々な制限も設けている。したがって、アメリカのような連邦制を目指すとしても憲法上の制約が考えられる。
そこで、単一国家による道州制を限りなく連邦制に近いものとして憲法の枠内で構想すると、道州が国からどこまでの権限委譲を受けることができるかが問題となる。
国は、1.国際社会における国家としての存立にかかわる事務、2.全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務、3.全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施、4.その他国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体は、住民に身近な行政は、住民に身近な地方公共団体において処理するとの観点から、地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うべきことを旨として、行われるものとする。 |
(地方分権推進法より)
これを踏まえ、外交・防衛・通貨は「国家の存立に直接かかわる政策に関する事務」にあたるとしても、司法に関しても国家特有の事務といえるか論議がある。
通説は、司法権は最高裁判所の下に統一的体系をなすことを憲法が要請しているとし、司法に関し地方自治体の裁量を認めない。これに対して、自治立法・自治行政を担保するための自治司法権が保障されているとする説も有力に主張されている。また非常に少数の学者は、中央政府と地方自治体が重複する形で立法権を分有することを憲法が認めている黙示的な連邦制であるとする説を唱えているものもいる。最後の説は法解釈的に非常に無理があり、採用することはできないが、自治司法権の必要性・許容性を考慮すると最初の説が最も妥当であると考えられている。しかし、自治司法権の保障は地方自治体の政策を担保するシステムを構築するうえで欠かすことのできないものである。基本的に統一的体系をとりつつも、地方の実態に合った専門裁判所の創設などの裁量を与えることは違憲とまではいえないのではなかろうか。
一般的に連邦国家と単一国家の区別はかなり観念的に相対化してきているとはいえ、理論的に解釈の範囲内で自治司法権の保障をできないような場合には、正規の憲法改正手続き(憲法96条1項)[7]によって、自治立法や自治行政を担保するべき自治司法権を実現していくのが地方自治の強化の道筋として妥当だと思われる。
日本とアメリカ合衆国とでは、国家成立の歴史的な背景からその基本的方針に至るまで大きく異なるが、日本の地方分権を考えるうえで、アメリカにおける地方分権の手法・理念が示唆するところは少なくない。特に連邦制の導入を考えるに当たって、アメリカ合衆国の連邦制(Federalism)、特に近年の新連邦主義(New Federalism)の動きはうまく機能しているのか、またどのような法理論や政策によって支えられているのかを検証することは、有益であろう。
以下、日米の地方分権制度を比較し、アメリカの連邦制度のメリットとは何かを論じていきたい。
<日米の比較表>
|
日本 |
アメリカ合衆国 |
呼称 |
地方自治・地方分権推進計画 |
Federalism・New Federalism |
歴史的背景 |
単一国家[8] 中央集権制度の行き詰まり |
連邦国家[9] 連邦政府への不信の存在 |
憲法・法律上の地位 |
憲法「第8章 地方自治」 改正地方自治法 地方分権推進法 |
合衆国憲法第1編8条(Enumerated Powers) |
政策目的 |
行政の効率化 住民自治(民主主義の具現) 団体自治(自由主義の具現) 多元化社会の実現 |
効率的政府の実現 |
手段 |
権限の委譲 (国から都道府県へ) (都道府県から市町村へ) 市町村合併・広域連合 自主財源の充実確保 |
Grant in AidからBlock
Grantへ |
これまでの成果 |
機関委任事務の廃止 市町村の広域連合化 |
Mixed Results |
将来の課題 |
さらなる権限の委譲 権限に伴う財源の委譲 人材の確保・育成 民間へのアウトソーシング 国と自治体の紛争処理システム 自治体の広域化(道州制) 憲法改正(連邦制) 自治体内構造改革の推進 サービス向上へのインセンティヴ |
さらなる分権(世界の連邦化、世論の決定的変化、地方財政の改善、地方自治の質的改善、最高裁判例) ポピュリズム |
アメリカ合衆国はそもそも主権を有する独立した州が集まって成立した連邦国家であり、二重主権の構造によって多元的価値の実現をめざし人権の保障を図っている。こうした連邦制の特徴としては、連邦政府の権限が憲法に列挙されていることが挙げられる(Enumerated Powers)。すなわち、州際通商、徴税、郵便、著作権・特許権、外交・防衛などの各種権限である。さらに修正第10条において、連邦に委任されない権限はすべて州とその民衆が保持すると宣言されている(Reserved Powers)。
このような州の権限が強い本来の連邦制度は、19世紀後半から20世紀前半にかけてより強い連邦政府を軸とする連邦制度に変貌をとげる。しかしこの傾向が行き過ぎて第2次大戦後の連邦政府は非効率化・肥大化したため、20世紀最後の四半世紀には連邦制を改めて見直す機運が高まった。そして効率的でかつ小さな政府を目指し、地方復権的な新連邦制(New Federalism)が提唱されることになる。
ここで特に注目すべき政策はブロック・グラントである。これまで連邦政府は地方政府への財政援助を行うにあたり、その条件として、連邦基準の遵守を求めてきた。いわばひもつき援助である。これに対して連邦基準の強制をゆるめ、連邦財政援助の用途をなるべく州にまかせ、州の自由裁量と効率性を重視したのがブロックグラントである。
クリントン政権下では、共和党が多数を占める議会主導により福祉改革が実現した。その方法としてブロックグラントが用いられ、福祉予算の削減や、マッチング援助(総額に制限なし)から定額援助(総額に上限あり)への転換に、ある程度成功した。そこでは州の自主性増大、受給年数制限と就労義務、移民と失業者の福祉制限、児童養育義務の強化などの試みが見られる。
ブロックグラントとは別に、連邦制度の典型的成功例として、デラウェア州の会社法整備がある。米国では会社を設立する際、その準拠法を州単位で選択しなければならない。したがって自州での会社設立をめぐって、州間で競争が生じる。デラウェア州は州の登録税収入増大を目的に、もっとも企業フレンドリーな会社法を制定し、常に改訂を怠らず、迅速な紛争処理のための特別法廷を設置した。これにより、株主の利益促進、企業の定着を実現し、事業税収入を確保し、成功を収めた。
こうしたNew Federalismは今後もうまく機能してゆくであろうか。一方でグローバリズムの進展があり、他方でより多元的地方的な価値実現を求める潮流を考えると、両者の統合を可能とするシステムとしての連邦制は、これからもアメリカ合衆国の基盤として機能しつづけるであろう。世論調査に現れた政党政策支持傾向の根本的変化(96年)を見ると、63%が小さな政府と少ないサービスを望み、62%が政府は大き過ぎると考えている。とすれば、州行政の効率化、財政の独立・均衡、知事の権限強化、議会の効率化、スタッフの専門性強化、それを支える州の収入・支出拡大といった傾向は今後も続くものと考えられる。
しかし、NAFTAに見られるように中央集権の維持が国際情勢における迅速な意思決定につながるなど、平準化の進む国際競争社会では、ある程度強力な中央政府の権限も必須である。このことから、地域統合の動きは州地方権限をやや制限する方向に働き、連邦政府の強い権限が保持されることも、十分にありうるシナリオである。加えて、60%が連邦政府の失業対策を望む(96年)との統計もあり、国民は無条件に小さな政府を待望しているわけではない。このように、アメリカにおける地方自治改革の動きは、世論に大きく左右される要素が強い。
日本の地方分権政策との関係においては、連邦制のメリットを認めながらも、日本の実情に合った形でアメリカでの論議を比較・検討することが肝要である。分権推進の参考になる多く概念を再構築し、具体的な政策に転換することが、アメリカ諸制度の有機的な消化の方法として適当だと思われる。
国と地方の歳出に占める地方の割合は約3分の2であるのに対し、租税総額に占める地方税の割合は約3分の1となっており、歳出規模と地方税収入との乖離が存在している。 今後、地方分権の推進に当たっては、地方自治体の財政基盤を確立することが不可欠であり、このような乖離を縮小するという観点に立って、課税自主権を尊重しつつ、地方税の充実確保を図っていくことが必要であると考える。
そのためには、国と地方自治体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方自治体の税源配分のあり方についても検討しながら、@税源の偏在性が少なく、A税収が安定し、B所得・消費・資産等の間における均衡のとれた地方税体系を構築していかなければならない。地方税の充実確保が図られ、地方自治体の行政サービスと住民の地方税負担との関係がより明確になることにより、住民の意向を踏まえた自己決定とそれに伴う自己責任を全うすることができると考える。
地方税に関する具体的政策として、個人所得税と消費税の地方への財源移譲とともに、法人に対する外形標準課税の導入や事業税の所得型付加価値税への転換などが妥当であると思われる。なぜなら、所得の発生・分配・支出時に課税するシステムを整えることによって、税源の垂直的・水平的不均衡の縮小と税収の安定が図れるからだ。
また、自らの判断と責任において、行政サービスと公正な税負担のあり方を決定できるよう、地方交付税をはじめとする所得の再分配制度を見直していくことが必要不可欠となる。こうした制度は地方の財政均衡の自助努力を妨げるばかりか、適切な行政サービスを提供することへのインセンティヴも減退させている。受益負担率の適正なバランスを考慮しつつも、原則的に歳入と消費の乖離をできるだけ縮小することが、少子高齢化の進む今後の日本にとって不可避の政策ではなかろうか。
さらには、地方財政の危機的状況を鑑みて、民間へのアウトソーシングやPFI(Private Finance Initiative)の活用などにより行政の効率化を図る必要がある。また、地方自治体内部の人材を確保・育成し、より能力の発揮しうるよう適材適所を徹底することも行政の効率化・サービスの向上に不可欠と思われる。
加えて、日本政府は2000年度から、一種のブロックグラントである統合補助金を創設する。これは、公共事業予算のうち河川や住宅、都市整備などの補助事業について、細かな使途を地方自治体に委ねるもので、これにより国は自治体ごとの配分額を決定するに留まり、具体的な事業個所は自治体自身で決定できるようになる。アメリカのモデルを検討すると、これにより効率的かつ実態に合った整備が行えるばかりか、自治体の行政サービスの向上へのインセンティブにつながった。しかし、日本はGDPに対する純資本支出、すなわち公共事業の割合が非常に高い国である(資料5)。それ自体問題が多いが、統合補助金にも事前に国が事業計画などを承認する仕組みを残しているため、依然として地方自治体に大きな影響力をもちつづけると考えられる。今後一歩進めて、行政サービスの向上や効率化のためのインセンティブを拡充するような補助金制度に見なおしていく必要があろう。
最後に、連邦制もしくは現行憲法の枠内で考えられる範囲の道州制を指向すると、自治体の適正規模が大いに問題となる。規模のメリットとデメリットを比較考量しつつ、住民主体で議論すべきであるが、基本的には財政基盤の弱い自治体や高齢者の多い自治体を中心に現在3250余りある市町村数を1000以下にすることを目標に合併させていくべきである。重要なのは1000という数ではなく、地域の実態に合った財政基盤の確保である。そのために有効なインセンティヴの拡充を合併特例法に加えて行い、また並行して住民主体で合併を議論できるような土壌と作っていくことも重要な課題と考える。特に市町村に関しては住民主導の地方分権を構築できるよう法政策を打ち出していくことが必要であろう。
竹中平蔵 日本の地方分権を考えるときに、本来PROACTIVEに議論されるべきものが現実にはREACTIVEになってしまっている点に注意する必要がある。すなわち、人口が今後急速に減少していくという状況の中で地方の生き残りをかけた議論になってしまっている。
また、日本とアメリカを比較するに当たって、理念の違いはある程度国家の成り立ちとして致し方ないものであるとすると、イシューは地域間の所得の再配分を国がどこまで面倒を見るのかということにかなりの程度が集約される。日本の国是としての「国土の均衡ある発展」を「国民生活」などに変えるなど方針を改め、非効率の典型とされる土木事業への極端な政策重視も見直すべきだ。特に注目すべきは受益負担率の不均衡であり、東京が0.5、大阪など大都市が1、最も受益している島根・高知が3.5となっているなど東京以外の都市に地方分権へのインセンティヴが働かないことも問題だ。
阿川尚之 アメリカでは州間の格差を競争へのインセンティヴに変換させている。財源を充実確保させ、福祉のサービス向上を図るために、ドラスティックな税法改正や財源配分を州自体に任せることが必要と考えるのがコンペティション・アマング・ステイツ(州間の競争)というものだ。それもウィスコンシン、ミシガン、ニューヨークなどの成功例がそれを後押ししている。
また、連邦政府の歳入は減り、地方政府の歳入のほうが大きく伸びてきており、全体として歳入は伸びている(92年の統計)。それも地方分権の成功を示しているのではないか。
加藤秀樹 地方分権の問題はやはり「金」に集約される。国と地方の仕事の量は3:7であるのに対し、収入もとは7:3である。その分だけが国から地方への「金」の移転であり、そこに恣意が入るのが問題だ。道路事業が多いのも、道路が必要なのではなく道路事業が必要だからで、そこに恣意がある。
明治以前は地方分権がうまく機能していたが、明治以後特に戦後、所得の再配分が行われおかしくなってきた。問題は、ドイツのようにその年の歳入をもとにした再配分でなく、基準財政需要額という非常に恣意的な基準に基づいて交付税を分配していることだ。そして毎年変わる基準を決める補正係数も自治省が極めて大きな裁量を持っている。この原因は歴史的にナショナルミニマムが大きく肥大化してきたからと考えられる。加えて、交付税は戦後一度も減ったことがなく、またここ10年(竹下内閣89年以後)で2倍になっている。
阿川尚之 アメリカはレーガン政権以降、ブロックグラントというシステムやマッチングエイドという形で支出を減らすインセンティヴを与えてきた。日本の地方自治体が支出をセーブするというインセンティヴはないのか。
竹中平蔵 ない。が、ふるさと創生1億円という政策は実はブロックグラントである。この1億円の使い道は自治体独自に決めることができる。
加藤秀樹 加えて、この政策をきっかけに財団が作られたが、今後財団経由で人や金を供給することで自治体の裁量とインセンティヴをもって行うことができると期待されていた。これによって多少ではあるが自治省の牙城を崩したといえるのでないか。
田村次郎 人材の不足はないのか。単純に考えると優秀な人材が大都市に流れていくのはうなずける話だが。
加藤秀樹 個人的にはそんなことはないと考えている。優秀な人材でも手に仕事を与えないとその能力を発揮できないだけ。しかし、地方と中央で決定的に違うのは、地方の職員のスタイルが完全にREACTIVEになってしまっていることだ。これは地方自治体の体質そのものである。中央に伺い立てなければ何もできない。実際には単独でできることでもそうしようとはしないのだ。
阿川尚之 その点アメリカが大きく違うのは優秀な学生が活躍できる場を作るシティーマネージャーのシステムが確立していることだ。もうひとつは地方自治体が中央政府のステップアップもしくはシンクタンクとしての役割を持っていること。これはかなりの優秀な人材を集めるカギとなっている。
竹中平蔵 日本にもポテンシャルな人材はいるが、結局は自治労が大きな妨げとなっている。適材適所の実行や首を切れるかどうかを自治労が握っている限り能力を発揮するのは難しい。
また、受益負担率から考えると、東京以外誰も地方分権を望んでいないといえるではないか。インセンティヴがないからだ。
加藤秀樹 中央政府の権限を無くしていけば、それは地方分権になる。結果的に意思決定の分散化を意味するからだ。そのひとつに交付税をなくしてしまうことが考えられる。
地方分権の政策は具体的に考えることが重要だが、今回の改正に伴って法定外目的税を自由に創設できるようになったことを利用する政策が良いだろう。さらに、20か30の自治体の長を集めて地方交付税の廃止を訴えるという方法も面白のでないか。
竹中平蔵 ふるさと創生1億円で3324の地方自治体のうち3100がもらったが、224の自治体はもらえなかった。こういうところを集めて意見を募れば集まるのではないか。
また、デラウェアの成功のように、日本でも何か具体的にできないか。
阿川尚之 デラウェア以外にもニューハンプシャーは法人税をただにするなど人を集める政策を打ち出し、成功している。カリフォルニアのベンチャーキャピタルは特にうまくいった政策ではないが、財政基盤の大きさを利用した政策の工夫はしている。
日本でも、沖縄の人件費や資本などのコストが安いため、国際電話の交換局を集めて運営している。
竹中平蔵 このよう地方で独自性を出すためにもっとなにかできないものか。例えば、伊勢湾からアメリカからの新ケーブルが上がってきているが、これにより三重は東京よりも情報距離は近いことになる。これを生かすためには何らかの税を利用するのがいいと思われるのだが。
加藤秀樹 NPOについては税法の間隙を縫うことができる。住民税の控除に関し、いまは赤十字と赤い羽根など3つが限定列挙されているのみだが、条例で書き加えることは何ら違反行為ではない。もともと寄付の住民税からの控除などは想定していないからだ。
また、交付税をなくす議論として、所得の再分配自体は何らかの形で必要なことであるから代替案が不可欠だ。全国的にあまり偏差の大きくない手段として消費税の利用が考えられる。消費税の県別一人当たりの支払いは年10±2万円程度であるからだ。もちろん企業の本社は大都市に多くあり、そのために消費に見合った再配分もしなければならないが考える価値はあるだろう。
田村次郎 以上いろいろと問題が出たが、特に地方分権に関しては自主財源についてより充実確保することが最も重要であり、そのために具体的な政策を考えていくことが不可欠と考える。今後はこの点に絞った議論にしていきましょう。
(以上)
[資料1] 日本経済再生への戦略<経済戦略会議最終報告>
2 地方主権の確立
日本経済不振の原因の一つは、地方経済の低迷に求められる。地方が中央政府依存を脱却することによって自律性を回復し、独自の産業、独自の地方文化が様々な地域から次々に生まれてくる状態をつくることが出来なければ、日本の将来は暗い。このため、地方主権を確立するための改革が不可欠である。
まず、基礎的な自治体である市町村の行政サービスに関する提供能力と効率性を大幅に向上させることが不可欠であり、そうした観点から市町村合併を強力に進める必要がある。また、効率性向上のため業務の民間委託、民営化を積極的に進めることも重要である。
次に、国は、外交や防衛など国家としての存立にかかわる業務や全国的な視点で行うべき業務を基本とし、地域生活にかかわる業務は地方公共団体に任せるべきである。また、地方公共団体の運営に必要な財源は、地方自らが確保できるよう地方税財政制度を抜本的に改革する必要がある。
財源なき地方分権では、地方の自立性を確保することは不可能である一方、自前の財源を持つことは地域住民に対する一層の責任を伴うものであり、地方公共団体も、これまでの中央依存の体質を脱却し、責任ある地域の経営主体として、自己改革を強力に進めていく必要がある。
(1)市町村合併の推進
全国約3,200の市町村を少なくとも1,000以下に減らすことを目標に、国は市町村合併を促進するための有効なインセンティブ・システムの拡充について積極的に検討を進める。
当面合併が困難な市町村については、広域的行政の展開や既存組織の有効活用により、住民サービスの向上に努める。
(2)抜本的な地方税財政改革
現行の地方税財政制度については、国からの地方交付税や補助金を通じた財政移転がモラル・ハザードを生じさせており、真の地方自治の確立が妨げられている。財政上のモラル・ハザードを排除するという考え方が最も重要であり、地方の必要とする財源は地方税によって賄いうる制度に改める。
このため、税収の都市部への偏りを是正し、地方間の税収格差が解消されるように、税制の在り方を抜本改革する。これに伴い、地方交付税は、離島、山間僻地などの特別な場合を除き、段階的に縮小し、地方債についても原則自由化する。
さらに、公共事業をはじめ国の補助事業のあり方を見直し、地方の自主的な判断が可能になる制度とする。
[資料2] 経済戦略会議答申に盛り込まれた各種提言に対する政府の検討結果(平成11年6月4日)
経済戦略会議の答申(234項目)に対する各省庁の検討状況については、下記の分類に基づいて整理した。
A:実現する方向で検討するもの
B:内容について、よく検討した上で結論を出すもの
C:実現のためには、乗り越える問題が多いと考えているもの
2.地方主権の確立
(1)市町村合併の推進
項目 |
提言項目名 |
分類 |
備 考 |
26 |
市町村合併の促進のための有効なインセンティブ・システムの拡充 |
A |
合併後の市町村数について具体的な目標は掲げていないが、市町村合併の促進のための有効なインセンティブ・システムを拡充するため、今通常国会に市町村の合併の特例に関する法律の改正案(地方分権推進一括法案)を提出中。また、財政措置の拡充を図るなど各種施策を推進。 |
27 |
広域的行政の展開や既存組織の有効活用 |
A |
答申の趣旨を踏まえ実施。 |
(2)抜本的な地方税財政改革
項目 |
提言項目名 |
分類 |
備 考 |
28 |
税制のあり方の抜本改革 |
B |
地方分権推進計画においては、今後、地方分権の進展に伴い、「国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、地方税の充実確保を図る」等とされていることを踏まえ、政府及び与党の税制調査会において、専門的かつ幅広い見地から検討。
|
29 |
地方交付税の段階的縮小 |
B |
答申においては、地方の必要とする財源は極力地方税によって賄いうる制度とし、税収の都市への偏りを是正し、地方間の税収格差が解消されるような税制の抜本改革を行うことを前提として、地方交付税の段階的縮小が提言されており、地方分権推進計画において「地方交付税の財政調整機能は極めて重要であることにかんがみ、今後とも、地方財政計画の策定等を通じて、地方交付税額総額の安定的確保を図る」とされていることも踏まえつつ、地方財政の自主性・自立性がより高まるよう、地方税財源の充実確保を図る。
|
30 |
公共事業をはじめ補助事業のあり方の見直し |
A |
中央省庁等改革基本法及び第2次地方分権推進計画等に基づき、統合的な補助金の導入を図るなど、補助事業の見直しを行う。
|
[資料3] 地方税の歳入構成比の段階別団体数(平成8年)
[資料4] 地方自治体単位の規模(各国データ)
[資料5] 主要先進国の一般政府支出(1996年)
|
消費支出[10] |
経常移転支出 |
|
|
合計 |
||
利払い費 |
社会保障移転 |
純資本支出[11] |
総資本形成 |
||||
日本 アメリカ合衆国 イギリス フランス ドイツ イタリア スウェーデン |
9.7 15.7 20.9 19.4 19.8 16.1 26.2 |
18.7 17.9 20.4 32.2 26.7 33.2 36.7 |
3.7 4.5 3.6 4.1 3.7 11.6 7.2 |
13.5 12.9 ― 23.4 18.5 19.0 22.5 |
7.5 0.5 1.1 3.3 2.3 2.4 0.7 |
6.6 1.7 1.4 3.1 2.2 2.2 2.8 |
35.9 34.1 42.5 54.9 48.8 51.8 63.6 |
OECD,National Accounts 1984-1996: Vol.2 (Paris: OECD, 1998)
l 成田頼明<監修>川崎政司<編集代表>『地方自治法改正のポイント―地方分権に向けた地方自治法抜本改正―』第一法規(1999)
l 辻山幸宣「道州制」法学教室165号(1994)
l 海老原明夫「連邦制」法学教室165号(1994)
l 碓井光明「自主財政権」法学教室165号(1994)
l 自治省『地方財政白書 平成11年度版』大蔵省印刷局(1999)
l 池上岳彦「税源移譲の意義と方法―「分権的分散システム」における地方税拡充の重要性―」地方財務公会 (1999)
l 麻生渡「財政改革と地方税財源の充実」地方税務公会(1999)
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l 木佐茂男「連邦制と地方自治をめぐる法制度と実務の比較考察」
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l 市川正人「法律と条例」法学セミナー493号(1996)
l Constructing a New Federalism: Jurisdictional Competence and Competence 『Yale Law & Policy Review; Yale Journal on Regulation』 Symposium Issue(1996)
l Ferejohn and Weingast, Ed. 『The New Federalism; Can The States Be Trusted?』, Hoover Institution Press(1997)
l Timothy Conlan 『From New Federalism to Devolution』 Brookings Institution Press(1998)
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l Mr.McCurdy 『American Legal History』(1996)
l
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http://www.jri.co.jp/JRR/200002/localmrg.html
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http://research.php.co.jp/report/98-17.html
[1] 国の行政のうち、法令によって地方公共団体の機関(知事、市町村長およびその他の執行機関)に委任された事務をいう(地方自治法148条)
[2] 国会で可決され成立した法
[3] 地方議会で可決され成立した法
[4] 法律を具現化するために行政機関が定めた法
[5] 何年かごとに庁舎を交替する制度
[6] 市町村と都道府県の二層構造のうち、都道府県制を廃止して代わりに北海道・東北・北陸・関東・中部・近畿・中国・四国・九州の9地方を基礎に、東京や大阪などの大都市の機能とバランスも考慮しつつ新たな区分である州を自治体単位とする制度
[7] 日本国憲法第96条1項「憲法の改正は、各議員の総議員数の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする
[8] 主権は単一不可分とし、国家が承認してはじめて地方自治権が認められるとする体制
[9] 連邦と州とが相互に補完し合い、強調し合う形で国家権力を行使する体制
[10] 政府最終消費支出
[11] 総固定資本形成、土地・無形資産の純購入、純資本移転支出等を合計し、固定資本減耗を控除したもの