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超高精細(SHD)カメラを用いた最適焦点の自動抽出 |
◆ | 目的 | ◆ |
本研究では被写体との距離を可変可能な高性能のデジタルカメラと コンピュータを接続し、デジタル画像処理技術を駆使することにより 超高精細画像の作成を目的とする。 また、本システムでは撮影画像の距離情報を得ることが可能なため、 この距離情報を用いることで 高精細な3次元画像作成へ応用することができる。 |
◆ | 背景 | ◆ |
これまで対象物を計測する研究、すなわち画像計測の研究は 光を物体に照射しその反射光を解析することによってその形状を計測していた。 この情報をもとにポリゴンモデルを作成し実画像をレンダリングしていた。 しかし、実画像とモデルの対応点の整合性(correspondence)に問題があり 高精細な画像の作成には困難であった。また、光を用いているために 対象は車や人のように比較的大きい物であり、本研究のように顕微鏡を 使用する数十ミリ程度の大きさでの精度の高い画像の作成は困難であった。 このため本研究では超高精細画像の作成を目的とする。 この研究の応用として、 貴重な歴史的資料(稀覯本)や希少生物などの3次元画像情報を 地球規模でデータベース化・ネットワーク化することで、 研究や教育に利用するということが可能となる。 |
◆ | 手順 | ◆ |
本システム(概要図、
全体図)を用い距離を変化させながら
撮影を行うことにより、複数枚の焦点の異なる
撮影画像を取得する。
またこのシステムを用いることにより、各撮影画像の距離情報も
記録することが可能である(この距離情報を用いることで3次元化を
行うことができる)。 |
◆ | 手法 | ◆ |
従来の研究では2、3枚程度からの全焦点画像作成の研究が行われてきたが、 本研究では非常に多くの枚数を処理しなければならないため既存の手法では 対応することが困難である。また、焦点の異なる複数枚の画像から 全焦点画像を得るためには、ぼけ干渉やにじみの処理が重要となる。 従来はぼけをガウス関数に近似し扱ってきたが、枚数が多くな ると近似が不可能である。 そこで本研究では、前処理を導入し多数枚を数枚に減らす。 これは多数枚に対応するとともにぼけを ガウス関数で近似できる範囲内で 処理をすることにより精度を保つことが可能である。 次に選択的統合手法を、前処理で生成した数枚の 画像を処理できるよう改良し、この拡張したアルゴリズムで 全焦点画像の生成を行う。 |
◆ | 実験 | ◆ |
体長2cmの昆虫(ヒゲナガオトシブミ)を本システムを用いて撮影し、 170枚の撮影画像 から本手法を用いて全焦点画像の作成を行う。 この撮影した画像をもとに前処理を行い 8枚に再構成した。 さらにこの8枚の画像から選択的統合手法を改良したものを 用い合成を行った。 |
◆ | まとめ | ◆ |
本研究では前処理を導入することで多枚数の撮影画像から 全焦点画像の作成 が可能となった。また今までにはないような精度の高い画像を得ることがで きるシステムであり手法を構築することが可能となった。 |
◆ | 今後の課題 | ◆ |
さらなる精度の向上を行うために、
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◆ | 参考文献 | ◆ |
[1]Shree K. Nayar:"Shape from Focus System",Proc. of IEEE Conf. Computer Vision and pattern Recognition, pp.302-308,1992. [2]内藤将彦,児玉和也,相澤清晴,羽鳥光俊:"複数の異なる焦点 画像からの焦点外れ画像の生成を利用した全焦点画像の強調的取得",信学論 D-II,Vol.J79-D-II,No.6,pp.1046-1053,1996. [3]藤原至誠,相澤清晴,羽鳥光俊:"複数画像からの再構成による鮮 鋭画像の取得",信学論D-II,Vol.J77-D-II,No.1,pp.253-255,1994 [4]児玉和也,相澤清晴,羽鳥光俊:"複数画像からの全焦点画 像の再構成",信学論D-II,Vol.J80-D-II,No.9,pp.2298-2307,1997. [5]M.Subbarao,T.-C.Wei and G.Surya:"Focused image recovery from two defocused images recorded with different camera settings",IEEE Transactions on Image Processing,Vol.4,No.12,pp.1613-1627,1995. |
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