2000
年度森泰吉郎記念研究振興基金報告書国際共同研究・フィールドワーク研究
プロジェクトコード:国際
-8研究課題名:日韓国の自治体において都市情報システム
(UIS)の類型別費用便益分析と最適統合モデル開発
氏名:福井弘道
所属:政策・メディア研究科・総合政策学部
目 次
2000
年度 研究内容T.序論
U.
UISの費用便益分析の基本モデルV.地方自治団体の
UIS類型化 (2001年3月実施予定)W.今後の研究計画と期待される効果
※本研究は韓国学術振興財団の国際協同研究‘
Developing an Optimized Integration Model based on Typological Benefit Cost Analysis of UIS in Korea and Japan’の一貫であり、その初年度にあたる。T.序論
1.研究目的と意義
本研究は、現在地方自治体が活用している中な地理情報システムの適格な費用便益分析を行い、今後GISをUISに拡張するための最適統合モデルを開発することを目的としている。地方自治体が地理情報システムを導入するにあたり、その費用便益について、
合理的で明確な分析が可能になれば、自治体はより安定した投資を行いGISからUISに拡張したり、新しいUISを構築することにが容易になる。さらに、この費用便益モデルにより、地方自治体におけるUIS導入や活用の純便益を極大化する方案を検討することができる。
1)
UISに関する類型別費用便益分析の必要性地方自治体は個別の必要性によってGISを構築・活用し、これを土台として拡大しているため、UISは多様な類型に及ぶ。UIS従って、単一の費用便益モデルを適用することは出来ない。そこで、先ず、UISを類型し、それに応じた費用便益モデルを構築する必要がある。以下に、UIS類型別費用便益分析の必要性についてまとめる。
(1)現在、韓国では、国家GISと
Digital Mappingの開発が進み、地方自治体は、それを活用するためのGISやUISに新しく投資する局面に当たる。(2)地方自治体が既存の
GISを土台としてUISを拡大することと新規UIS事業を計画するのために既存のUISについての中間評価で類型別費用便益分析が要求される。現在では、地方自治体が適切な費用便益分析を行い、全般的な情報化の波に便乗してUISを導入する傾向がある。近年、自然災害没発により、都市地域における火災や交通問題などの災難に対するより迅速な対応を行う必要がある。
(3)韓国の場合、アリラン衛星(多目的実用衛星)1号の成功的発射で
remote sensingの基礎な空間映像情報を安価に迅速に使用できるようになり、UIS費用便益分析の情報基盤構築に関する部分に変化が生じていろ。以上の状況より、地方自治体が現在構築・活用している
GISまたはUISについての費用便益に関する類型別かつ集中的な分析が要求されている。
日本と韓国の場合、地方自治体の
主に道路、固定資産、都市計画、上水道、下水道管理の五つ領域に限定して、集中投資している。特に、防災システムや土地情報や評価システム、地下埋設物管理、
AM/FM、災難管理などが発展している。韓国の場合、近年の統合UISにより推進されつつあるが、主に都市計画、上水道や下水道管理などを中心に発展していることが特徴である。日本と韓国の類型別費用便益分析は、両国が互いに点検できなかった部分を交差的にチェックして相互補完できるという長所を持っている。さらに、両国間の費用便益分析の比較研究は互いの事例分析の結果を共有し、
UISの費用を節減して便益を極大化する方案を効率的に模索することができるため、その学問的・実務的意義からも、多いに必要とされる。
UIS
の基本モデルは類型別費用便益分析を基礎として構築されなければならない。本研究が提案する最適統合UISにより、各々の地方自治体は、各地域の特徴に適したUISモデルを基礎として、UISに投資し、地方自治体間及び部署間の重複投資を防ぐことができるであろう。このような点をふまえて、UISの発展の先行条件として最適統合UISモデルの開発が要請されている。同時に日本の事例と韓国の事例を五つの分野でとりよけ、
UISについて類型別費用便益分析を実施し、これを基礎として両国間に適合する最適統合UISモデルを開発することで、統合都市情報システムの最終目標である専門家システム
(Expert System)を目指し、より効率的な意思決定支援システム(Decision Support System)の構築が容易になる。
2.研究内容と方法
研究内容を図1に示す。先ず1)
図1研究の流れ
具体的な研究方法を図
図
2研究方法
U.
UISの費用便益分析の基本モデル
1.費用便益分析の定義
費用便益分析は多様な代案について、費用と便益を体系的で調査・算定し、その費用便益の比較を根拠として、一つ代案を選択する分析過程である。費用便益分析の基本規則は、多様な代案の中から選択する際に、純便益を最大にする案を追求することである。純便益は全体便益で全体費用を差し引いた差額になる。つまり、費用便益分析とは多様な代替案とそれに関連するすべての費用と便益を計算して、一番純便益が大きい代替案を選択するという合理的な意思決定技法である。
2.
UISの費用便益分析に関する既存研究のサーベイUISにと関連する費用便益分析についての研究は、表1に示すように多くの研究者によって行われてる。
表1.
UISの費用便益分析に関する文献研究
研究者 |
主要内容 |
主要ポイント |
Dickison and Calkins(1988) |
質的利点の提示 ・基本的な費用便益モデル紹介 |
|
Wilcox(1990) |
以前研究(Dickison and Calkins1988)の批判 |
|
Dickinson and Calkins(1990) |
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Huxhold(1991) |
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と損失類型や主要内容 |
Smith and Tomlinson(1992) |
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Obermeyer and Pinto(1994) |
を議論
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Worrall(1994) |
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|
1)
UIS費用分析UISが必要とする費用は目的と対象地域の規模情報技術の進歩などによって大きく違う。UISを構成するhardware, software, database, 資本と運用、人的資源など、各要素別にUISの構築及び維持管理の費用が発生する。
地方自治団体が
UISを導入して得ることができる効果は直接効果に間接効果で分けられる。直接効果は、情報提供サービスの向上、行政費用の節減などに現れ、間接効果は、より迅速な意思決定、より合理的な意思決定、適時・適正な政策の樹立、新しい行政サービスの創出などである。
(1)費用は大きくdatabase構築費用、hardwareやsoftware購入費用、システム開発や教育 費用で区分でき、2000年を基準として算出する。
(2)年間維持管理費用は初期GIS構築費用の1%で算定する。
(3)便益の算定は公務員とインタビュー結果から算出する。
(4)費用と便益の割引に使用された割引率は貸し出し加重平均金利を4%、6%、8%、10%の
4つで区分し、物価上昇率は過去10年間平均上昇率を利用して<数式1>によってそれぞれ計算する。1+経常割引率
1+物価上昇率
(5)損益分岐点とは、損害と利益が同一の時点を言う。つまり一般企業の費用、損益の慣例を分析するために包括的に使用する概念であり、その結果を基準として、事業性を判断する。即ち、
V.地方自治団体の
UIS類型化 (2001年3月実施予定)
地方自治体は各々の特性を持っており、それぞれの制限された状況から地域政策を遂行しなければならない。実質的にはどの部署から
GIS導入を始めるかによって、その地方自治体のUIS特性が決定される。また、類型別にGIS導入について成功と失敗を分析すれば地方自治体がGISを成功的に導入できる近道を特定することができる。究極的は地方自治体は現在のGISを統合してUISに発展するが、発展過程としてどの方向でUISを発展させるかについての研究も必要である。そのために先ず地方自治団体がどんな類型のUISを持っているかを調査しなければならない。地方自治体の
UIS類型は国家によりことなる。より普遍的な地方自治団体のUIS類型を出すことのために日本と韓国の地方自治団体を対象で類型化を実施する。日本と韓国のGISまたはUISは類似するけど、互い違う接近法を使用しっているので、各国の事例分析は互いに助けをあげることができる。日韓間比較研究が相互両国のUISについて研究に助けになる。
1.日韓国の
UIS類型分析GIS
導入中の地方自治団体対象UIS類型分析のためアンケート調査
W.今後の研究計画と期待される効果
1.
今後の研究計画(第2次年度の研究内容−2001年9月ー2002年8月)
1)
UISの類型別費用便益分析結果比較
(1)道路管理中心の
(2)固定資産管理中心の
UISの費用便益分析(3)都市計画管理中心の
UISの費用便益分析(4)上水道管理中心の
UISの費用便益分析(5)下水道管理中心の
UISの費用便益分析
2)日本と韓国の費用便益分析結果比較
(1)日本の代表的な
(2)韓国の代表的な
UISの費用便益分析(3)日本と韓国の分析結果比較
3)最適統合モデル開発
(1)費用と便益を考慮する最適統合モデルの開発
(2)汎アジア的な最適統合モデルの開発方向
2.
期待される効果