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2000年度 森基金報告書
Interaction Design for Cybersound
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 笹岡大樹
出展成果
《tokyo boogie-woogie》は，作品を一般の人々に体験してもらおうということで，いくつかのイベントに出展した．
2000年４月に東京・青山スパイラル・ホールで行われたアート・フェスティバル，『Spiral
Independent Creators Festival』では，出展するブースの制約から作品の大きさは120×120cmとなった．鑑賞者には他のブースへの配慮からヘッドフォンでモニターしてもらった．
2000年９月，メディア・アートやビデオ・アートなどを得意とする銀座Pepper's
Galleryの『Image Sight 2000』グループ展にて，《tokyo boogie-woogie》を出展した．
『Image Sight 2000』では建築士とのコラボレーション「Active Pocket Park
Project」を行なった．《tokyo boogie-woogie》がギャラリーの床面半分を使用し，建築士のビデオ・キャプチャリング・インスタレーションが壁面に映し出す映像と絡み合うものである．より立体的で，小さな遊び場のような空間となることを目論んだ．
スパイラルでの反省点を踏まえ，より多くの鑑賞者が体験できるように，音響モニターはヘッドフォンではなくギャラリー設置の４つあるスピーカーから出力した．作品サイズは150×210cmと，スパイラルでの作品の約2.2倍大きくなり，複数の鑑賞者が同時に体験できる体制を整えた．
2000年９月に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスにて行われた『Open Reserch
Forum（ORF）』にも《tokyo boogie-woogie》を出展した．《tokyo boogie-woogie》の作品形態は『Image
Sight 2000』でのものとまったく同じである．音響の出力はアンプとスピーカーを持参した．設置場所は教室のようなところではなく，人が通りすがる，建物入り口付近の廊下に設置した．
鑑賞者の反応をまとめると以下の表のようになる．
まとめ
鑑賞者の口から実際に洩れたのは，「おもしろい」，「つまらない」という感覚的なものでした．しかしながら，私のコンセプトの説明を聞かなくても，パネルを踏みならし，勢いあまってダンスまで始めてしまう鑑賞者の姿が，身体の稀薄感に対する対策の結果を如実に語っているのではないかと私は考える．
また，「どういう理由でこの作品をつくったのか？」という質問を受けてはじめてコンセプトや意義について私は語ったが，相手に私の考えを押しつけるのではなく，身体についての議論を行うことが重要であるように思われた．このインスタレーションは独特のサウンドを提供する場であっただけでなく，身体に関する議論の場のことでもあったのである．
参考文献
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