メタモルフォシスに基づく三次元形状の再利用システムの構築

政策・メディア研究科修士課程2年

道川隆士


三次元コンピュータグラフィックス技術を用いたアニメーションは,映画などを はじめ様々な分野で利用されている.効果的なアニメーションを実現するために 様々な手法が存在するが,その中の一つにモーフィングがある.モーフィングは 複数形状間を滑らかに補間するアニメーション技術である.モーフィングはその 視覚的効果から映画やコマーシャルなどで積極的に用いられており,その有用性 は十分に認識されている.

最近ではWeb3Dやゲームなどといった,リアルタイムレンダリングを必要とする アプリケーションに対してアニメーションを実現する需要が高まっている.しか し従来手法では,補間形状を生成するために合成操作に基づく手法を用いている. そのため生成された補間形状は,メッシュ数が膨大になる.また補間形状の接続 性は不規則なので、従来手法を用いた補間形状はリアルタイムレンダリングの観 点から見ると非常に扱いにくい.

本論文では多重解像度表現を用いた三次元モーフィングを提案する.本手法は粗 い初期補間メッシュを用意し,合成操作を用いるかわりに,再帰的に初期補間メッ シュ細分割することにより補間形状生成を実現している.本手法は,メッシュの 並びが規則的になる,再帰的に細分割しているため補間形状に階層構造を持って いる.局所細分割によりメッシュ数の増加を抑えることができるなど特徴を持っ ている.これらの特徴は従来手法と比較して補間形状を扱いやすいという利点を 持っている.また本手法の特徴を活用した3つの補間手法について提案する.1つ は多重解像表現を利用した柔軟な補間形状制御手法である.2つ目は Displacement Mapを用いた補間手法である.3つ目は従来のメッシュのモーフィ ング手法では実現困難であった3つ以上のメッシュに対するモーフィングである.

本研究ではこれらの手法をアプリケーション上に実装した.本システムではユー ザーがGUIを通して自由に初期補間メッシュを操作できるよう設計している.本 論文ではいくつかのデータを本システムに用いて補間形状を作成することで本手 法の有用性を検証した.

成果物