森基金研究成果報告書
国際共同研究・フィールドワーク研究費
  E-CELLシステムを用いた大腸菌の
遺伝子発現系のシュミレーション

氏名所属
冨田勝環境情報学部教授
中山洋一環境情報学部講師
橋本健太政策・メディア研究科博士課程3年
松崎由理政策・メディア研究科博士課程2年
三由文彦政策・メディア研究科博士課程1年
妹尾紗恵環境情報学部4年
高橋恒一政策・メディア研究科博士課程2年
Robert AndrewsSFC研究所員
清水友益ケンブリッジ大学動物学部博士課程3年

はじめに

本研究は、遺伝子発現系・遺伝子発現制御系のモデリング・シミュレーションを行うための汎用手法の開発、及び、それらを用いた各遺伝子発現系のシミュレーションを目的として行われた。これらは、最終的な目標である「全細胞シミュレーション」へ向けての 重要な過程となる。汎用手法は、遺伝子発現系の各細胞モデルへの組み込みを容易にするともに、ユーザーが意識しなくても遺伝子発現系以外の反応系との相互作用をモデルに組み込むことが出来るものとして開発している。遺伝子発現系は、それ以外の反応系 、代謝系、シグナル伝達系、DNA複製系、細胞周期等と、非常に複雑な相互作用を構成している。また、特に複雑で、かつ重要な役割を果たす遺伝子発現系についての容易なモデリング手法の開発は、後の全細胞シミュレーションの実現にとっては不可欠のものである。

遺伝子発現制御は、細胞が内外の環境の変化に対応して順応、最適化するための手段であるため、生命体の仕組みの理解、及び生物学の基本的命題である「生命とは何か」という生命原理を解明するためにも重要な位置をしめる。さらに、遺伝子発現系のシミュレーションは、遺伝病や個人差を考慮した治療技術の開発などにも大きな貢献が期待される。

研究報告

今年度の発表実績

  • "General Toolkit of the E-CELL System for Modeling Gene Expression System"
    • (Symposium on Computational Cell Biology, March 2001)
    • Kenta Hashimoto, Sae Seno, Fumihiko Miyoshi and Masaru Tomita

  • "General Model for Gene Expression using the E-CELL System"
    • (ISMB 2001 Satellite Meeting on Computer Modeling of Cellular Processes, July 2001)
    • Kenta Hashimoto and Masaru Tomita

  • "Computer Simulation of Gene Expression and Regulatory Network using the E-CELL System"
    • (ISMB 2001 Satellite Meeting on Computer Modeling of Cellular Processes, July 2001)
    • Sae Seno, Kenta Hashimoto, Atsuko Nakayama and Masaru Tomita

  • "E-CELL Systemを用いた遺伝子発現系汎用モデルの構築"
    • (日本バイオインフォマティクス学会 バイオシミュレーション研究会, October 2001)
    • Kenta Hashimoto and Masaru Tomita

  • "E-CELL Systemを用いた大腸菌遺伝子発現制御機構のシミュレーション"
    • (日本バイオインフォマティクス学会 バイオシミュレーション研究会)
    • Sae Seno, Kenta Hashimoto, Atsuko Nakayama and Masaru Tomita

  • "E-CELL Simulation Environmentによる大腸菌化学走性のシミュレーション"
    • (日本バイオインフォマティクス学会 バイオシミュレーション研究会)
    • Yuri Matsuzaki, Motohiro Yoneda and Masaru Tomita

  • "E-CELL Systemを用いた遺伝子発現系汎用モデルの構築"
    • (日本分子生物学会年会, December 2001)
    • 橋本健太 冨田勝

  • "E-CELL Systemを用いた大腸菌遺伝子発現制御機構のシミュレーション"
    • (日本分子生物学会年会, December 2001)
    • 妹尾紗恵 橋本健太 中山敦子 冨田勝

  • "E-CELL Simulation Environment による大腸菌化学走性のシミュレーション"
    • (日本分子生物学会年会, December 2001)
    • 松崎由理 米田元洋 中山敦子 冨田勝

  • "Modeling of Signal Transduction for Bacterial Chemotaxis Using E-CELL Simulation Environment"
    • (International Conference on Bioinformatics, February 2002)
    • Yuri Matsuzaki, Motohiro Yoneda, Atsuko Nakayama, Masaru Tomita