2001年度森泰吉郎記念研究振興基金研究報告 政策・メディア研究科 瀬藤 康嗣
研究課題名:音響合成処理用Javaクラスライブラリの開発
研究概要
コンピュータミュージックの領域における現在の主要な音響合成言語は、音響合成および音響処理においては優れた処理能力を発揮するが、インターネットを用いたコラボレーションを行うための環境が十分に整備されているとは言えない。一方、Javaはネットワークプログラミングにおいて優れている一方、音響合成のための環境は未だにほとんど整備されていない。
本研究ではJavaのための音響合成クラスライブラリの開発および整備を行い、インターネットを用いたメディア―アート作品および音楽制作のための汎用性の高いプラットフォームを構築するとともに、これを用いた音楽コンテンツの制作を行う。
本年度の進行状況
文献調査の結果、以下の2冊の本が本研究分野に関連する先行事例としてあることが分かった。
- LINDLEY, C. A., "Digital Audio With Java" 1999
- DOUGLAS, A. L., HAYAGRIVA V. R., et al., "Java Digital Signal Processing" 1997
上記文献所収のライブラリを基礎として、オランダのメディアアート研究機関V2 LaboratoryのBart Kopp氏と共同で、音響合成クラスライブラリの現在開発を行っている。開発の成果はhttp://www.sfc.keio.ac.jp/~setoh/java/で公開するとともに、JavaSound Mailing List[http://archives.java.sun.com/archives/javasound-interest.html]など、JavaSoundコミュニティーへのリリース告知を行う予定である。
また、今後国際的な音響研究機関であるIRCAM[http://www.ircam.fr/]およびSTEIM[http://www.steim.nl/]との共同プロジェクトも予定されている。
本年度のアウトプット
本研究の成果を一部応用した作品"dans l'eau"を2001年12月にパリで開催されたフェスティバル"Batofar chercher Tokyo"にて発表した。