2002年度 森泰吉郎記念研究振興基金 研究成果報告書

政策・メディア研究科博士課程
環境デザインプログラム
松原 康介


申請研究題目
イスラーム都市の都市環境保全と複合土地利用
世界遺産都市フェスの保全再生と成長管理


本年度の標記基金による主な研究成果を以下の通り報告します。



1.学術論文 1本 フェスの土地利用計画の変遷から見た新旧市街の分離主義の転換」、日本都市計画学会学術研究論文集37、2002
2.雑誌論考 1本 モロッコ・フェス旧市街の公私境界−ゲルニーズ街区の混合利用」(飯塚真弓・十代田泰子と共著)、住環境の分水嶺連載第12回、「住宅建築」2003年2月号
3.国際会議 1本 "Historic mixed use of the city of Fez", The 8th Inter-University Seminar on Asian Megacities , Beijing, 2003


本研究は、モロッコの旧都フェスについて、旧市街の保全再生と市域全体の成長管理を一体的に行う政策立案を目的としている。研究は大きく、「歴史的考察」、「フィールドワーク」、そしてそれらに基づく「政策分析」の3パートに分けられる。

1は、研究計画中「歴史的考察」にあたる部分として、主に現地での文献調査に基づき、保護領末期以降、新旧市街の分離政策がいかに克服を試みられてきたかを、土地利用計画の視点から明らかにしたものである。論文現物
2は、研究計画中「フィールドワーク」にあたる部分として、住・商・工・教の4用途の歴史的な混合利用の実態をフィールドワークによって調査したものの中途成果を、一般雑誌向けに広く議論する内容である。論文現物
3は、主に1-2を掘り下げながらより学術的な考察を深めた上で国際発表する(発表は3月15日に行われる予定)。

現地での文献およびフィールド調査に基づく上記の成果によって、研究計画中「歴史研究」のパートがほぼ終了した他、「フィールドワーク」のパートが学術論文として投稿準備中の段階となった。今後はフィールドワークを完成させた上で、それらの独自の知見に基づいた「政策分析」を行っていくことが課題である。

【参考】
主要業績一覧