2002年度 森泰吉郎記念研究振興基金 報告書
プラスチックリサイクル方法の環境的・経済的評価と選択
政策・メディア研究科 修士2年 加藤美穂子
第1章
はじめに
1−1 本研究の背景
近年、地球環境問題、特に地球規模の気候変動問題は、国際的にも国内的にも大きな関心を集めている。その理由は、この問題が広く、また、長期の将来にわたって人類の日常生活や経済活動、さらには生存にまで影響を与えると考えられるためである。地球環境問題には、温暖化や酸性雨など様々な種類があるが、一方で、地域環境に影響を及ぼす局所的な環境問題も多い。これらは状況によってはより短期的に影響が大きいために、深刻な問題となっているものもある。このうち、地域環境問題として、また、状況によっては地球規模のエネルギー問題にも関連する我々に極めて身近な問題として、廃棄物問題が挙げられる。
廃棄物問題に直面する国は大陸内部にまで生活圏が発展し、完全に管理された埋立処理以外が認められないヨーロッパの先進地域に多い。この地域と同様に、経済成長と共に廃棄物の排出量が増え、また、人口集中が著しいために周辺地域にそれを埋め立てる土地に乏しいわが国にとっても、廃棄物処理は深刻な問題となりつつある。
図1−1は、わが国の一般廃棄物最終処分場残余容量と残余年数の推移を示したものである。
図1−1:わが国の一般廃棄物最終処分場残余容量と残余年数の推移
新たな最終処分場の建設や一般廃棄物排出量の増加が鈍化したことにより、残余容量や残余年数の逼迫は若干落ち着き、ここ2、3年は容量・年数ともに安定した状況にある。しかし、容量・年数ともに残り少ないことに変わりはなく、また、近年のダイオキシン問題表面化等の影響を受け、今後、新たな処分場を建設することは極めて困難なものとなってきている。
一般廃棄物の排出量は1990年代に入ってからは、1人1日1.1[kg]と高水準ながらも横ばい傾向を維持している。しかしその一方で、プラスチック消費量の急激な増加に合わせて、プラスチック廃棄量の増加は大きくなっており、湿潤重量ベースで約15[%]を占めるまでになっている。
また、地球規模で環境問題による影響が見られるようになってきた今日、資源循環型社会の構築に向けた限りある資源の有効活用と、地球温暖化問題の主要因とみなされる二酸化炭素(以下、CO2)の排出削減が不可欠な状況にある。特に、わが国ではCO2削減策に苦慮しており、コストパフォーマンスの良いあらゆる手段を模索している。プラスチックはその量が多く、ある種の有効活用の可能性も高い。したがって、CO2削減を考慮し適切に活用・処理することによって、一般廃棄物の減量化やリサイクルの促進に結び付く等、廃棄物問題に対してもプラスの効果をもたらす。なお、苦慮しているとは言え、CO2削減策として現実味のあるものを探すとき、そのポテンシャルとコストの評価が不可欠であることは常に念頭においておく必要がある。
以上のことから、将来のポテンシャルやCO2削減策としての経済的実現性等コストも考慮しながら、使用済みプラスチック処理の望ましい方向を探ることが現在求められている。
実際に、容器包装廃棄物の減量化と再資源化を目的とした「容器包装に係る分別収集および再資源化の促進等に関する法律」(容器包装リサイクル法)が2000年4月に完全施行された。容器包装にも多く用いられているプラスチックであるが、その種類が多く、細かな分別が極めて困難であるために、通常、リサイクル方法としてまず検討・採用されるマテリアルリサイクルを行うことは難しい。このようなことから、法律が施行された現在も、有効なプラスチックのリサイクル方法・技術はいまだ確立されておらず、これを環境面、経済面から評価して、その優劣を明確にすることが必要である。
1−2 本研究の目的
本研究の目的は、上述の背景を踏まえ、廃棄物問題および地球温暖化問題の緩和のために、プラスチック各種処理方法の環境評価とコスト評価を行い、プラスチック廃棄物の最適な処理方法を提案することである。
ヨーロッパ先進諸国は、わが国よりも早い時期から廃棄物問題への対策の1つとしてリサイクルを促進してきた。その背景もプラスチックを中心とする容器包装の増加によるものであり、その徹底的な削減に成功している。これを追うわが国にとって最適な処理方法が何であるかを検討していく。
廃棄量の減少 廃油・廃プラスチックの減少
製造必要用の減少 エネルギー消費の減少
製造工程の変更
エネルギー代替 化石燃料消費の減少
図1−2:プラスチック廃棄物のリサイクルとCO2排出削減の関係
1−3 本研究の対象範囲と研究方法の概要
本研究では、地方自治体が収集・処理を行う一般廃棄物、とりわけそこに含まれるプラスチック廃棄物を対象とする。一般廃棄物とは、いわゆる家庭や事業所から排出される「ごみ」のことである。したがって、第2章以降では、「廃棄物」を「ごみ」と表記していくこととする。
廃棄物問題に対する政策は、「排出抑制」と「処理技術」とに大きく分けられる。「排出抑制」とは、まず、排出そのものを減量化することであり、処理有料化やデポジット制、規制、啓発活動がその具体的手段として挙げられる。「処理技術」とは、排出されたものを適切かつ経済的に処理することであり、リサイクルがその代表例である。本研究では、特に「処理技術」を対象としている。
本研究では、プラスチック廃棄物の最適な処理方法を提案することを目的としているが、ここで対象とする処理方法は、大きく分けると「直接埋立」「単純焼却」「サーマルリサイクル」「ケミカルリサイクル」の4つである。
研究方法は、評価項目のコスト換算による総合的評価とし、主な評価項目は、「処理・埋立コスト」「埋立地の有限性」「CO2排出コスト」「資源の有効活用」である。「埋立地の有限性」は輸送コストで、「資源の有効活用」は資源コストで換算した。また、「CO2排出コスト」は炭素税の導入を前提に換算、コスト化した。
対象とした各種処理方法や各評価項目の詳細については、第2章および第3章で述べることとする。
なお、プラスチック廃棄物の処理方法を比較するにあたっては、プラスチック製品の生産から使用・廃棄物として排出・処理に至るまでのLCA(ライフサイクルアセスメント:循環過程影響評価)的考え方を用いる必要がある。しかし、本研究において、コスト評価を行いその結果を比較・分析する範囲は、本研究の目的を考慮し、代替方法の影響のある範囲のみ、すなわち比較対照部分のみとする。廃棄物の収集コスト等はすべての方法に共通であるため省略する。
最後に、本研究の独自性は、廃棄物問題と地球温暖化問題を同時に解決しようとするものである点、処理方法を比較するためにすべての評価項目をコストに換算する方法をとっている点、廃棄物問題の技術的側面と政策的側面を総合的に検討している点である。
1−4 本論文の構成
本論文の構成は以下のようになっている。
第1章では、研究の背景、目的、対象範囲、研究方法、構成について述べる。
第2章では、対象とする各種処理方法について、その内容の詳細な説明と現在の状況について述べる。
第3章では、プラスチック廃棄物の最適な処理方法を選択するために行うコスト評価に関して、本研究における「コスト」の基本的な考え方を説明した上で、各種処理方法のコスト計算プロセスを詳細に述べ、それに沿って計算した結果を示す。
第4章では、第3章で示されたコスト計算の結果を比較し、最適な処理方法が何であるかを述べる。また、炭素税の効果に関する分析を加えた評価・考察を行う。
第5章では、本研究で対象としているプラスチック処理方法のうち、サーマルリサイクルについて、電源構成モデル(コスト最適化)を用いた分析を行う。そこで、サーマルリサイクル(廃棄物発電)が電源構成や、その変化に伴うコストおよびCO2排出量に与える影響を検討する。また、電源構成モデルについても、炭素税の効果、さらに、自由化の影響に関する分析を加えた評価・考察を行う。
第6章は、結論の章であり、本論文の結論と今後の課題について述べる。
巻末に参考文献、謝辞を記す。
なお、構成図を図1-3に示す。
第1章:はじめに
図1−3:本論文の構成図
第2章 対象とするプラスチック処理方法とその現状
本章では、本研究において評価の対象としたプラスチックごみの処理方法について、その現状も含めて説明する。評価の対象としたのは、「直接埋立」「単純焼却」「サーマルリサイクル」「ケミカルリサイクル」であり、ケミカルリサイクルについては、「コークス炉化学原料化法」と「高炉還元法」の2種類について取り上げている。図2−1は、全体のフローを示したものである。
図2−1:プラスチックの全体フロー
以下、個別に処理方法の説明を行う。
2−1 直接埋立
直接埋立とは、自治体によって収集されたごみおよび住民によって直接搬入されたごみに、中間処理を加えずに、そのまま処分する方法である。
図2−2は、直接埋立の現状を示したものである。直接埋立の量は棒グラフで表示されており、左側の縦軸が対応している。直接埋立率は折れ線グラフで表示されており、右側の縦軸が対応している。直接埋立量、直接埋立率ともに年々減少・低下していることがわかる。これは、資源の有効活用という考え方の浸透や最終処分場の逼迫問題の表面化により、以前は直接埋立していたものにも中間処理を加えたり、リサイクルしたりするようになってきたためである。なお、直接埋立率は、昭和50年度時点で46.3[%]、昭和55年度時点で37.1[%]、昭和60年度時点で26.2[%]であり、急激に低下したことがわかる。
プラスチックごみに関しても、同様のことが言える。以前は、プラスチックごみは、ほとんどの自治体で不燃ごみとして収集され、直接埋立されていた。しかし、容器包装リサイクル法施行の影響もあり、一般住民にも分別が容易であるペットボトルについては、多くの自治体で直接埋立を止め、分別収集するようになってきている。
図2−2:直接埋立の現状(直接埋立量と直接埋立率)
注:(直接埋立率)=(直接埋立量)÷(ごみ総処理量)×100
2−2 単純焼却
単純焼却とは、自治体によって収集されたごみおよび住民によって直接搬入されたごみに、中間処理として焼却を行い、その灰を埋め立てる方法である。直接埋立との大きな違いは、焼却を行うことにより、ごみが減容化・減量化される点である。
図2−3は、単純焼却の現状を示したものである。単純焼却の量は棒グラフで表示されており、左側の縦軸が対応している。単純焼却率は折れ線グラフで表示されており、右側の縦軸が対応している。
図2−3:単純焼却の現状(単純焼却量と単純焼却率)
注:(単純焼却率)=(単純焼却量)÷(ごみ総処理量)×100
単純焼却量、単純焼却率ともに年々増加・上昇していることがわかる。これは、資源の有効活用という考え方の浸透により、リサイクルが増加したことも影響していると思われるが、それはごく最近の変化を説明するものであり、ここでの変化の主な原因は、直接埋立していたごみが単純焼却へと移行したためと考えるのが妥当であろう。
単純焼却がごみの処理技術として用いられるようになったことには2つの理由がある。1つは「減容化・減量化の必要性」であり、もう1つは「公衆衛生確保の必要性」である。「減容化・減量化」については、すでに述べたように、最終処分場の逼迫によりごみを減らすことが不可欠となったため、焼却を行うようになったというものである。「公衆衛生確保」はペストやコレラといった伝染病の蔓延を反省し、焼却を行うようになったというものである。14世紀、18世紀に同様の経験をしたヨーロッパでも、ごみの適正処理として焼却を導入している。わが国においては、江戸時代末期から明治時代にかけてコレラが流行した原因が生ごみを適正に処理せずに投棄していたことにあると考えられたことから、1895年に「伝染病予防法」、1900年に「汚物掃除法」が制定されている。この汚物掃除法により、ごみ処理が自治体の任務となり、「なるべく」という条件付きではあるが、ごみの焼却がはじめて重要な処理技術として位置付けられたのである。なお、単純焼却率は、昭和50年度時点で52.2[%]、昭和55年度時点で60.4[%]、昭和60年度時点で70.6[%]であり、急激に上昇したことがわかる。このことから、近年の急激な上昇は主に「減容化・減量化の必要性」によるものであると考えられる。焼却により、ごみの量は5分の1から6分の1程度に減少する。
プラスチックごみの処理にも単純焼却は多く用いられている。ペットボトルや食品トレイのように、分別が容易なプラスチックは、個別に収集あるいは回収され、リサイクルされることが多くなってきている。しかし、プラスチックにはいくつもの種類があり、一般住民がその分別を行うのは非常に難しい。容器包装リサイクル法の施行に伴い、プラスチック製容器包装には、それがどのようなプラスチックで作られているのかを表示されるようになっている。しかし、中にはお菓子や冷凍食品のパックに代表されるように、複数のプラスチックを用いているものや紙のラミネートに使用しているものも多く存在し、それらはリサイクルを困難にしている。したがって、知らず知らずのうちに、可燃物として排出・収集され、焼却されるのである。なお、分別収集が開始される以前のペットボトルは不燃物としている場合が多かったが、横浜市等のように可燃物として収集・焼却している自治体も存在していた。
2−3 サーマルリサイクル
サーマルリサイクルとは、ごみを燃焼させて発電用燃料として使用するものである。したがって、廃棄物発電と呼ばれることもあり、本論文においてもこの表現を多く用いている。自治体によって収集されたごみおよび住民によって直接搬入されたごみを中間処理するための焼却施設に発電施設を設置し、そこで発生した余熱を発電に利用する。サーマルリサイクル、すなわち廃棄物発電がわが国で期待される主な理由として、エネルギー総合工学研究所「新エネルギーの展望 廃棄物発電」では、次の7つを挙げている。
@
ごみは、エネルギー資源であり、化石燃料を節約する
A
ごみは、二酸化炭素を増やさないエネルギーである
B
廃棄物発電は、連続・安定した発電が可能である
C
廃棄物発電は、都市内立地型分散電源である
D
廃棄物発電は、基本的には確立された技術である
E
廃棄物発電は、灰の電気溶融固化用の電力確保に有利である
F
その他、造水設備の組み込み等、地域条件に応じたエネルギー高度利用が可能である
これらに加え、ごみの焼却に伴い、従来の減容化・減量化処理や衛生処理も同時に達成できるため、サーマルリサイクルはわが国のエネルギー・環境事情に適した処理方法であると考えられる。
ごみ排出量に占めるプラスチックごみの割合の増大は、ごみの焼却に伴う発熱量の増加につながる。発熱量の大きいプラスチックは、サーマルリサイクルの促進に大きな影響を与えると考えられる。
図2−4は、廃棄物発電設備数の推移を示したものである。
図2−4:廃棄物発電設備数の推移(一般廃棄物および産業廃棄物)
廃棄物発電の設備数としては、産業廃棄物よりも一般廃棄物に多い。一般廃棄物では、平成7年度は146ヶ所であったが、平成12年度には201ヶ所と増加し、平成13年度の速報値では210ヶ所となっている。産業廃棄物では、多少の増減があるものの、平成7年度に43ヶ所であったのが、平成12年度には54ヶ所と増加している。なお、産業廃棄物に関しては、平成13年度の速報値はまだ公表されていない。
図2−5は、廃棄物発電出力の推移を示したものである。
図2−5:廃棄物発電出力の推移(一般廃棄物、産業廃棄物および合計)
一般廃棄物では、平成7年度に発電出力が55.8万[kW]だったが、平成12年度には97.9万[kW]へと増加し、平成13年度の速報値では、105.8[kW]と、ほぼ倍増している。産業廃棄物も、平成7年度は9.1[kW]であったが、平成12年度には12.8[kW]へと増加している。なお、産業廃棄物に関しては、平成13年度の速報値はまだ公表されていない。
図2−6は、廃棄物発電電力量の推移を示したものである。
図2−6:廃棄物発電電力量の推移(一般廃棄物および産業廃棄物)
実際の運転状況を表す発電電力量は、平成12年度に、一般廃棄物で47.3億[kWh]、産業廃棄物で4.5億[kWh]となっている。図2−5と図2−6から設備稼働率を計算すると、一般廃棄物発電で約55[%]、産業廃棄物発電で約40[%]である。
図2−7は、一般廃棄物のごみ焼却施設数の推移を炉の型式ごとに示したものである。
図2−7:ごみ焼却施設数の推移(炉の型式ごとに表示)
固定バッチ式、機械化バッチ式、准連続式は、間欠燃焼方式をとる焼却施設であり、その設備数は減少している。一方、24時間燃焼方式である全連続式の焼却施設は増加している。発電を行うためには24時間運転が可能な焼却施設が望ましく、したがって、発電設備を設置する可能性のある方式は全連続式の焼却施設である。平成11年度現在のごみ焼却施設1,717ヶ所のうち、全連続式は498ヶ所であり、全体の約30[%]である。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)によると、2002年12月のダイオキシン類規制強化や今後の広域化施策によって全連続式炉が増えることが予想されることから、一般廃棄物の発電電力量増加が期待できそうである。
また、産業廃棄物に関しても、平成11年4月現在で、中間処理施設13,914ヶ所の中で焼却施設は5,727ヶ所、そのうち発電を行っているのは54ヶ所であることから、NEDOでは、廃棄物発電の潜在的な開発可能性はなお大きいと考えている。
このように、今後も増加していくことが期待される廃棄物発電であるが、発電量を大きく増やすために重大な問題も抱えている。それは、発電効率が低いということである。発電効率とは、入ってきた燃料のエネルギーがどれだけ有効なエネルギーに変わるかということであり、廃棄物発電の場合、ごみを燃焼させて得られる熱(廃棄物の発熱量にその焼却量を乗じて得られる値)がどれだけ電力に変わるか、ということである。従来の廃棄物発電は、その効率が10[%]以下のものが多く、45[%]を超える化石燃料による一般火力発電プラントの効率と比較すると非常に低い。廃棄物発電が焼却に伴って発生する余熱の有効利用として始まったという経緯からすると、特に発電効率を向上させる必要はなかったのである。しかし、現在稼動中のプラントが発電効率をたとえば30[%]に上げることが可能になれば、新たな施設を建設することなく発電規模を大きく拡大することができる。廃棄物発電において、発電効率の向上はその規模に関して大きな影響を与えるのである。
わが国のプラントは、海外と比較すると発電効率の差は歴然としている。NEDOによると、これは海外、特に欧米の場合は早くから発電用ボイラとの並列運転等を行ってきたために蒸気条件が高いことや、燃焼ガス中の腐食性ガス濃度(特にHCl)がわが国より低い等、運転条件や歴史的背景の違いによるものである。
現在、発電効率を向上させるために、大きく3つの方法が考えられ、実施されている。NEDO「新エネルギーの展望 廃棄物発電(その2)」における分類に沿ってそれらの方法を説明すると以下のようになる。
まず3つの方法とは、
@
単独による方法
A
組み合わせによる方法
B
固形燃料による集中発電
である。
単独による方法とは、従来方式の延長による高効率化である。従来型廃棄物発電方式と基本的には同じシステムを採用しながら、機器の高効率化やシステムの最適化等により、発電効率を向上させようとするものである。機器の高効率化とは、蒸気温度の高温化であり、材料開発等を含む。これは、廃棄物の燃焼特有の腐食性雰囲気により蒸気温度をあまり高くできないことへの対策である。また、システムの最適化とは、エネルギー損失の最小化である。開発の実績としては、東埼玉資源環境組合の第一工場ごみ処理施設や、帯広市清掃工場があり、その発電効率は20〜25[%]である。
組み合わせによる方法とは、従来方式の廃棄物発電方式とは別の発電方式との組み合わせにより、発電効率を向上させるものである。焼却炉ボイラの蒸気条件は従来のままで、別の発電方式で蒸気条件を向上させることにより、全体として高効率化あるいは高出力化を計ったものである。この方法は「ガスタービン・リパワーリング複合型発電方式」と言われるが、一般に、「スーパーごみ発電」と呼ばれている(以下、スーパーごみ発電)。ここで言う、別の発電方式としては、「ガスタービン/蒸気タービン発電方式」と「追い焚きボイラ(または独立加熱器)/蒸気タービン発電方式」が提案されている。組み合わせ方としては、両方式により得られる蒸気を結合して1つの蒸気タービンに導入する方法が一般的であるが、その際、蒸気タービン入口で混合する方法(一般に「蒸気混気」と言う)や、ごみ焼却プラントから発生した蒸気を別の発電方式中の蒸気と結合して蒸気タービンへ導入する方法(一般に「蒸気結合方式」と言う)等が考えられている。特に「蒸気結合方式」は、別の発電方式でクリーンな化石燃料を使用する場合、燃焼ガス中に腐食性ガスが発生しないので蒸気温度の上昇が容易である、燃料を使用することにより大きな出力を安定して得ることが可能であるなどの利点を有する。しかし、同時に化石燃料からCO2が発生する、あるいは、燃料価格や電力会社への売電価格により経済性が従来型より劣るという欠点も有している。開発の実績としては、群馬県高崎市の高浜クリーンセンター、大阪府堺市のクリーンセンター東第二工場、福岡県北九州市の皇后崎工場があり、その発電効率は25〜35[%]である。なお、これらのスーパーごみ発電は、蒸気結合方式を採用している。
固形燃料化による集中発電とは、ごみをあらかじめ成形・固形燃料化して集中的な焼却施設に運び、燃焼して発電を行わせる方法である。この方法は、人口の少ない自治体においてもその協力により廃棄物発電が可能となること、ごみを固形燃料化して長期保存性や輸送容易性を高められることが利点として挙げられる。人口が10万人程度以下の自治体においては、ごみの排出・収集量が少ないため、単独で廃棄物発電を行おうとすると発電出力が小さく、経済性の観点から、実施は不適当とされてきた。周辺の自治体が共同で大きな従来型のごみ焼却施設を建設する方法もあるが、それらの自治体からのごみの輸送や長期貯蔵を考慮して、この固形燃料化が注目されるようになった。なお、この方法は、RDF(Refuse Derived
Fuel=ごみ由来燃料)発電と呼ばれることもある。固形燃料化の問題点としては、固形燃料化と輸送に伴って大きなコストが発生することであり、その解決が今後の実用化へのポイントである。開発の実績としては、鹿島共同再資源化センターがある他、複数の計画がある。平成15年から16年にかけて稼動予定である。
この他、欧米で1970年代以降に取り入れられているごみのガス化溶融発電等、廃棄物発電の新たな方法も検討・開発されている。ガス化溶融発電が行われている一般廃棄物の焼却施設としては、福岡県筑後市の八女西部クリーンセンターがある。しかしその発電効率は平成13年度実績で10.4[%]程度にとどまっている。また、高効率の廃棄物ガス変換(ガス化・改質)システムを、ガス供給(および蒸気供給設備)として用い、従来の一般火力発電の高効率ガスタービン複合型設備(例:LNG-CC)に結合する方法が検討されている*。これにより、従来のごみ処理・発電施設より、高効率で発電するとともに、化石燃料の削減に役立ち、その2つの効果でCO2削減にも寄与するのである。*:(財)エネルギー総合工学研究所 浅見・阿閉とのPrivate
Communication(2002年8月)
第3章以降の各種処理方法のコスト計算およびその評価においては、従来型の廃棄物発電とスーパーごみ発電を取り上げる。また、参考のために、従来方式の延長による高効率化として、材料開発等により発電効率が30[%]にまで向上した場合を示すこととする。
2−4 ケミカルリサイクル
ケミカルリサイクルとは、使用済みの資源をそのまま原料としてではなく、化学反応を用いてリサイクルする方法であり、現在、実用化されている具体的な技術としては、油化・ガス化・コークス炉化学原料化法・高炉還元法がある。容器包装リサイクル法では、使用済みプラスチックを、プラスチックや繊維など同一もしくは別の製品に再び戻すマテリアルリサイクルの他に、このケミカルリサイクルをリサイクル技術として認めている。本研究においては、ケミカルリサイクルのうち、現時点において処理量が比較的多く、将来に向けてもその拡大が見込まれる、コークス炉化学原料化法と高炉還元法について、コスト計算および評価の対象とする。
コークス炉化学原料化法は新日本製鉄(株)(以下、新日鉄)が、高炉還元法は日本鋼管(株)(以下、NKK)が取り組んでいる使用済みプラスチックのリサイクル方法である。1997年に京都議定書が第3回気候変動に関する国際連合枠組み条約締約国会議(COP3)で採択された以後、(社)日本鉄鋼連盟は2010年のエネルギー削減量を対1990年比11.5[%]にすると公表、その1.5[%]相当分について、使用済みプラスチックを製鉄原料として使用することによって達成するとし、自主行動計画の取り組みに追加した。これはおよそ100万[t]の使用済みプラスチックを再利用することに相当する。コークス炉化学原料化法や高炉還元法は、このような背景から、2000年の容器包装リサイクル法完全施行と同時に製鉄会社によって行われるようになった、新しいリサイクル方法である。
以下、各方法について説明する。なお、説明は新日鉄およびNKKからいただいた複数の資料をもとにしている。
2−4−1 コークス炉化学原料化法
新日鉄のコークス炉化学原料化法は、製鉄プロセスを使用したプラスチックリサイクル方法である。コークスとは、石炭を乾留させたものである。石炭の主成分は炭素であり、この他に主として炭素と水素から成る揮発分や水分、灰分などが含まれている。乾留してこの揮発分と水分を取り除いたものがコークスである。また、この揮発分が熱分解され生成される成分が軽油、タール、コークス炉ガスであり、化学製品の原料等となる。コークス炉とは、高炉で鉄鉱石の還元剤として必要な圧潰強度の高い高品質なコークスを製造するための設備である。日本国内のコークス炉のほとんどは鉄鋼業向けであり、年間に乾留される石炭量はおよそ5,800万[t]である。
図2−8は、コークス炉化学原料化法のフローを示したものである。
40%:炭素水素油
(軽油・タール)
40%:コークス炉ガス
(水素・メタンが主成分である燃料ガス)
図2−8:コークス炉化学原料化法のフロー
すでに述べた通り、コークス炉化学原料化法は、容器包装リサイクル法で技術認定された方法である。したがって、使用済みプラスチックの入手は、この法律に則って行われる。
プラスチック事前処理工程では、自治体から運ばれてきた使用済みプラスチックを開梱破袋し、コークス炉へ装入可能な品質・形状にするために、手選別あるいは機械選別により鉄・アルミ・ガラス・砂利等の異物除去ならびに破砕を行い、さらにPVC(ポリ塩化ビニール)を除去し、減容成形する。ここでプラスチック以外の異物はほぼ100[%]除去される。なお、これらは加熱炉や水処理のない設備であるため、排気ガスや排水の問題は生じない。
コークス炉における熱分解処理工程では、事前処理工程で作られた造粒物を石炭と混合し、炭化室に投入、密閉した炭化室内でプラスチックを無酸素状態のまま約1200[℃]まで加熱し、熱分解する。投入されたプラスチックは200〜450[℃]で熱分解され、高温ガスを発生し、500[℃]でほぼ完全に炭化する。熱分解により発生した高温ガスから炭化水素油とコークス炉ガスを精製し、残渣としてコークスを回収する。
発生した炭素水素油、コークス、コークス炉ガスは、それぞれ製鉄所内にある化成工場、高炉、発電所で利用される。炭素水素油はプラスチック原料等の化学原料として、コークスは排熱回収後に高炉へ投入し鉄鉱石の還元剤として、コークス炉ガスは発電用燃料ガスとして再利用されている。
コークス炉ではプラスチックの種類を問わず熱分解できるため、様々な種類のプラスチックが混在している容器包装プラスチックのリサイクルにも適している。この他、コークス炉化学原料化法の特徴は、1200[℃]で高温乾留するために安定した物質に熱分解できること、プラスチックをほぼ100[%]有効利用することが可能であることが挙げられる。また、再商品化に際しても、回収した物質を企業グループの既存施設で直接利用することが可能であり、利用先が確保されている点でも優れている。
表2−1は、新日鉄によるコークス炉化学原料化法の実績である
表2−1:コークス炉化学原料化法の実績
年度 |
容器包装プラスチックの実績[千t] |
2000 |
11 |
2001 |
57 |
2002(8月まで) |
39 |
合計 |
107 |
新日鉄では、2010年時点でのおおよその目標として、約40万[t]を考えているとのことである。これは、現状の品質影響を最小限にする前提で設定した目標である。なお、日本全国のコークス炉を使用すると仮定すれば約80〜100万[t]の処理が可能となる。
2−4−2 高炉還元法
NKKの高炉還元法は、製鉄プロセスを使用したプラスチックリサイクル方法である。高炉(溶鉱炉)とは、鉄鉱石を還元・溶融し、溶銑(溶けた鉄)を取り出すプロセスである。鉄の主原料である焼結鉱(鉄鉱石を事前処理したもの)と還元剤として石炭を乾留したコークスが炉の上部から装入され、炉の下部に配置された羽口(高温空気吹き込み口)から熱風を吹き込むことによって、ガス化したコークスが還元ガスとなり、鉄鉱石が還元され、鉄が生産される。さらに炉内では、還元反応後の高炉ガスが得られる。なお近年は、コークス炉の寿命延長等を目的とし、炉の上部から装入されるコークス比が削減され、羽口から吹き込まれる微粉炭比が増加している。
還元剤であるコークスと微粉炭は、溶銑1[t]を製造するために約500[kg]が使用されている。したがって、全国で年間約3500万[t]が使用されている計算になる。この一部を使用済みプラスチックに置き換えるのが高炉還元法の考え方である。
図2−9は、高炉還元法のフローを示したものである。
40%:高炉ガス
(燃料ガス)
:60%
図2−9:高炉還元法のフロー
すでに述べた通り、高炉還元法は、容器包装リサイクル法で技術認定された方法である。したがって、使用済みプラスチックの入手は、この法律に則って行われる。
プラスチック事前処理工程では、自治体から運ばれてきた使用済みプラスチックを開梱破袋し、手選別あるいは機械選別により鉄・アルミ・ガラス・砂利等の異物除去を行い、同時に、フィルム系プラスチックと固形・ボトル系プラスチックとに分ける。フィルム系プラスチックと固形・ボトル系プラスチックは別々の処理設備で破砕され、さらにPVC(ポリ塩化ビニール)を除去し、減容する。コークス炉化学原料化法と比較して高炉還元法では塩素除去のニーズが大きいため、事前処理では90[%]以上のPVC分離を狙い、遠心力を利用した湿式分離機を用いている。なお、高炉還元法において、これらの事前処理は高炉原料化工場で行われ、リサイクル全体における再商品化事業という位置付けがされている。
一方、高炉で行われる工程は、リサイクル全体における再商品化製品利用事業という位置付けがされている。高炉では、使用済みプラスチックが還元剤として利用され、高炉ガスを発生させる。この高炉ガスは、発電用燃料ガスとして再利用されている。
高炉では、お菓子や冷凍食品で利用されているような紙やアルミをラミネートしているプラスチックや、農薬がついた農業用ポリシート等、マテリアルリサイクルできないプラスチックのリサイクルにも適している。この他、高炉還元法の特徴は、大量で安定したリサイクルが可能であること、資源・エネルギー利用効率が非常に高く省エネルギー・省資源が図れることが挙げられる。また、再商品化と製品利用を一貫して行える点でも優れている。
NKKによる高炉還元法の実績は、2001年度に12万[t](うち一般廃棄物が7万[t]、産業廃棄物が5万[t])であり、2002年度は推定で一般廃棄物のみで12万[t]である。NKKでは、2010年時点でのおおよその目標として、約30万[t] (うち一般廃棄物が17.5万[t]、産業廃棄物が12.5万[t])を考えているとのことである。NKKは2003年4月より川崎製鉄(株)と完全に統合し、製鉄事業はJFEスチールとして事業会社を設立する。川崎製鉄では、現在、ガス化を行っている。JFEスチールは4つの製鉄所を持つことになるが、高炉還元法、ガス化とも、今後の能力拡大をどの製鉄所でどのタイミングで実施するのかは未定である。今後のプラスチック製容器包装の自治体による収集状況を見ながら、各製鉄所の特性を活かして実施場所や時期を検討していく予定ということである。
なお、NKKでは、使用済みプラスチックの他にペットボトルや、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の施行に合わせて使用済み家電のリサイクルも行っている。
環境省によると、容器包装リサイクル法の施行に伴ってプラスチックごみを分別収集した自治体は2001年度で34.5[%]、リサイクルされた量はわずか18万[t]で、残りは直接埋立もしくは焼却されている。しかし、環境省が各自治体の5ヵ年計画をまとめたところ、2007年度までに分別収集に取り組む自治体は82[%]となり、回収量も90万[t]を超える見通しであることがわかった。分別収集を開始する理由としては、使用済みプラスチックの新たな利用法が確立されてきたことであり、その利用法というのが、ここで取り上げたコークス炉化学原料化法および高炉還元法なのである。これらケミカルリサイクルにより、プラスチックの有効活用がようやく本格的に動き出したと言える。
第3章 プラスチック各種処理方法のコスト計算プロセスと結果
本章では、各種処理方法を評価するために行うコスト計算のプロセスとその結果を述べる。
3−1 コスト計算の方法および考え方
本研究では、評価項目のコスト換算による総合的評価により、プラスチックの各種処理方法の優劣を比較する。評価項目は、以下の4つである。
@
処理コスト・埋立コスト
A
埋立地の有限性
B
CO2排出コスト
C
資源の有効活用
なお、埋立地の有限性は、輸送コストで換算した。これは、現在ある処分場が満杯になった場合、遠隔地にある処分場への輸送が必要になるという考え方による。また、CO2排出コストは、環境をコストとして算定するための1つの手段として、炭素税の導入を前提にコスト化した。さらに、資源の有効活用は、本来、特に将来にわたっては、経済的コストだけでなく資源保存の観点からの評価も必要であるが、本研究では具体的な数値として、資源価格をそのまま採用した。今後、資源が枯渇していくことがより明確になったときには、価格以上の価値があるという意味で、資源価格の何倍かの数値を用いて評価することも可能であろう。
以下、各種処理方法のコスト計算プロセスとそれによる結果を述べる。
コスト計算は県内処理の場合と遠隔処理の場合とに分け、遠隔輸送の手段としては、海上輸送、鉄道輸送、トラック輸送を用いている。輸送距離は、現状のごみ広域移動の平均的な距離である300[km]で計算した結果を示している。CO2コストを算出するための炭素税額は、第4章以降の評価・考察においては[t−C]あたり3000円、5000円、10000円、20000円と設定しているが、本章で示す結果には、仮にわが国で炭素税を導入する場合に受け入れられる可能性のある[t−C]あたり5000円を用いている。また、火力発電の電源ごとのCO2排出原単位には、表3−1に示す値を用いた。
表3−1:各電源のCO2排出原単位[g-C/kWh](電力中央研究所報告書の値を参考に決定)
石油火力 |
LNG火力 |
LNG−CC火力 |
石炭火力 |
202.00 |
166.00 |
142.00 |
266.00 |
なお、サーマルリサイクルとケミカルリサイクルについては、エネルギーとして、あるいは資源としてプラスチックごみが再利用されることから、CO2や資源のコストに関して、「マイナスのコスト」という概念を用いることがある。
結果はすべてプラスチックを1[t]処理した場合のコストを示している。
3−2 直接埋立のコスト
直接埋立のコストは、県内処理の場合は埋立コストと埋立のための人件費、遠隔処理の場合は埋立コストと埋立のための人件費の他、輸送コストと輸送CO2コストを合計したものである。表3−2に、各々のコストとそのデータソースを示す。また、これをもとにプラスチック1[t]を直接埋立した場合のコストを図3−1に示す。
表3−2:直接埋立のコストとデータソース
埋立コスト |
3,774[円/t] |
「日本の廃棄物処理」(環境省) |
人件費(埋立) |
5,425[円/t] |
「日本の廃棄物処理」(環境省) |
輸送コスト |
海上輸送:10,923[円/t] 鉄道輸送:11,785[円/t] トラック輸送:10,076[円/t] |
「焼却灰をモデルとした瀬戸内海エリアにおけるリサイクルシステムの具現化と静脈物流の構築調査報告書」(経済産業省中国経済産業局) |
輸送CO2コスト |
海上輸送:26[円/t] 鉄道輸送:25[円/t] トラック輸送:160[円/t] |
「焼却灰をモデルとした瀬戸内海エリアにおけるリサイクルシステムの具現化と静脈物流の構築調査報告書」(経済産業省中国経済産業局) |
図3−1:直接埋立のコスト(プラスチック1トンを処理した場合)
3−3 単純焼却のコスト
単純焼却のコストは、県内処理の場合は、焼却コスト、埋立コスト、焼却および埋立のための人件費、焼却CO2コストを合計したものである。遠隔処理の場合は、焼却コスト、埋立コスト、焼却および埋立のための人件費、埋立のための人件費焼却CO2コストの他、輸送コストと輸送CO2コストを合計したものである。なお、焼却に伴いプラスチック重量は10分の1になると仮定する。表3−2に、各々のコストとそのデータソースを示す。また、これをもとにプラスチック1[t]を単純焼却した場合のコストを図3−3に示す。
表3−3:単純焼却のコストとデータソース
焼却コスト |
5,124[円/t] |
「日本の廃棄物処理」(環境省) |
埋立コスト |
378[円/t] |
「日本の廃棄物処理」(環境省) |
人件費(焼却・埋立) |
5,968[円/t] |
「日本の廃棄物処理」(環境省) |
焼却CO2コスト |
3,655[円/t] |
「施行令排出係数一覧」(環境省) |
輸送コスト |
海上輸送:1092[円/t] 鉄道輸送:1179[円/t] トラック輸送:1008[円/t] |
「焼却灰をモデルとした瀬戸内海エリアにおけるリサイクルシステムの具現化と静脈物流の構築調査報告書」(経済産業省中国経済産業局) |
輸送CO2コスト |
海上輸送:3[円/t] 鉄道輸送:3[円/t] トラック輸送:16[円/t] |
「焼却灰をモデルとした瀬戸内海エリアにおけるリサイクルシステムの具現化と静脈物流の構築調査報告書」(経済産業省中国経済産業局) |
図3−2:単純焼却のコスト(プラスチック1トンを処理した場合)
3−4 サーマルリサイクルのコスト
サーマルリサイクルは、焼却に伴って発生する余熱を利用するものである。したがって、サーマルリサイクルのコストは、基本的には単純焼却のコストと同じであり、県内処理の場合は、焼却コスト、埋立コスト、焼却および埋立のための人件費、焼却CO2コストを合計したものである。遠隔処理の場合は、焼却コスト、埋立コスト、焼却および埋立のための人件費、埋立のための人件費焼却CO2コストの他、輸送コストと輸送CO2コストを合計したものである。なお、ここでも焼却に伴いプラスチック重量は10分の1になると仮定する。各々のコストとそのデータソースおよびプラスチック1[t]をサーマルリサイクルした場合のコストは、単純焼却と同じである(表3−2および図3−2 参照)。
サーマルリサイクルが単純焼却と異なる点は「マイナスのコスト」が発生することである。サーマルリサイクルが行われなかったらその分の電力は一般の火力発電所で発電されていたはずである。つまり、社会的に見ると、サーマルリサイクルは一般火力発電の代替となり、一般火力発電所で発生するはずであったCO2と使用されるはずであった資源を削減する効果があるのである。したがって、社会的コストを評価するためには、その代替分をコストから差し引く必要があるのである。表3−4は、サーマルリサイクルにより代替可能な発電コスト(マイナスのコスト)とそのデータソースを示したものである。電源によってCO2排出原単位や資源価格が異なるため、個別に記載している。なお、プラスチックごみの発熱量が一般廃棄物の発熱量に寄与する割合は50[%]としている。
表3−4:サーマルリサイクルにより代替可能な発電コストのデータソース
|
発電代替CO2コスト |
発電代替資源コスト |
「エネルギー・経済統計要覧」 (日本エネルギー・経済研究所) 「最近の燃料価格の動向」 (経済産業省) 「石油関係単位換算表」 (石油公団) |
石油火力 |
996[円/t] |
2,549[円/t] |
|
LNG火力 |
818[円/t] |
2,679[円/t] |
|
LNG−CC火力 |
700[円/t] |
2,679[円/t] |
|
石炭火力 |
1,311[円/t] |
996[円/t] |
また、これをもとにプラスチック1[t]をサーマルリサイクルした場合に代替可能な発電コスト(マイナスのコスト)を図3−3に示す。
図3−3:サーマルリサイクルによる発電代替可能なコスト
(プラスチック1トンを処理した場合)
代替されるCO2のコストは、CO2排出原単位の大きい石炭が他と比較して非常に高くなっている。しかし、石炭は資源そのもののコストが低いため、発電代替可能なコスト全体としては低くなり、総合的にはLNG火力の代替効果が最も大きくなることがわかる。そこで、LNG火力を例にとり、発電代替効果がある場合とない場合(すなわち単純焼却)とのコストを比較すると図3−4のようになる。
図3−4:サーマルリサイクルのLNG発電代替効果(プラスチック1トンを処理した場合)
なお、ここで用いた発電効率は、現在の平均的値である7.5[%]であるが、将来的に技術開発が進み、発電効率をたとえば30[%]にまで向上させることが可能となれば、焼却や埋立、輸送に関わるコストが変わらなかったとしても、発電代替効果が大きくなることにより、サーマルリサイクルの社会的なコストは大幅に低下する。
次に、サーマルリサイクルの1つであるスーパーごみ発電のコスト計算について述べる。
スーパーごみ発電のコストは、基本的には従来のサーマルリサイクルのコストと同一であり、県内処理の場合は、焼却コスト、埋立コスト、焼却および埋立のための人件費、焼却CO2コストを合計したもの、遠隔処理の場合は、焼却コスト、埋立コスト、焼却および埋立のための人件費、埋立のための人件費焼却CO2コストの他、輸送コストと輸送CO2コストを合計したものから、サーマルリサイクルによって代替可能な発電コストである発電代替CO2コストと発電代替資源コストを差し引いたものである。スーパーごみ発電が従来のサーマルリサイクルと異なる点は、発電効率を向上させるために用いた燃料のコストと、その燃焼に伴って発生するCO2コストを加える必要があることである。本研究では、群馬県高崎市の高浜クリーンセンターの実績データをもとに、これらのコストを計算した。使用している燃料は都市ガスである。なお、プラスチックごみの発熱量が一般廃棄物の発熱量に寄与する割合は50[%]としている。
表3−5に、各々のコストとそのデータソースを示す。また、これをもとにプラスチック1[t]をスーパーごみ発電に用いた場合のコストを図3−5に示す。
表3−5:スーパーごみ発電により追加されるコストとデータソース
天然ガスコスト |
19,953[円/t] |
「ごみ処理施設維持管理状況報告書」他(高崎市役所) 「エネルギー・経済統計要覧」(日本エネルギー・経済研究所) |
天然ガスCO2コスト |
3,606[円/t] |
図3−5:スーパーごみ発電のコスト(プラスチック1トンを処理した場合)
スーパーごみ発電のコストは、これまで見てきた他の処理方法と比較して、最もコストが高いという結果である。スーパーごみ発電の燃料に天然ガスを用いていることがその大きな原因であろう。また、高浜クリーンセンターのスーパーごみ発電は、ごみによる発電規模よりも燃料、ここでは天然ガスによる発電規模の方が大きい施設である。国内のスーパーごみ発電のうち、他の2つに関しては、燃料による発電規模よりもごみによる発電規模のほうが大きいため、その実績データを用いると、スーパーごみ発電の割高感は多少減少すると考えられる。
なお、プラスチックの処理方法という観点ではなく、発電という点に注目し、発電電力量あたりの発電単価を計算した結果を表3−6に示す。
表3−6:発電電力量あたりの発電単価(円/kWh)
一般火力発電(例:石油火力) |
4.0 |
現状(発電効率7.5[%])のごみ発電 |
7.7 |
スーパーごみ発電 |
4.3 |
スーパーごみ発電と同量の電力量を一般火力発電+現状のごみ発電で行った場合 |
4.5 |
一般火力発電による発電単価が最も低く、現状のごみ発電による発電単価が最も高い。また、同じ量を発電する場合、一般火力発電と現状のごみ発電を個別に行うよりも、スーパーごみ発電として発電した方が若干低コストとなった。また、発電効率が50[%]になれば、一般火力発電と同レベルまでコストが下がる。スーパーごみ発電は、ごみ処理の観点から見ると、他と比較してコスト高である。しかし、それを大都市における分散電源として考えるならば、コストはその対価であるとも言えるだろう。なお、スーパーごみ発電における燃料分の寄与割合が明確でないため、その値により結果が変わる可能性がある。
これまでに述べた直接埋立、単純焼却、サーマルリサイクルについてまとめる。直接埋立は、県内で処分できる場合は低コストであるが、埋立地の不足から県外への埋立が必要となった場合は、CO2排出等も含め、コストは2倍以上になり、距離でコストが大幅に増えることがわかる。人件費を除いて考えると、それは4〜5倍とさらに大きなものとなる。単純焼却は、直接埋立と比較して、焼却に伴いCO2が発生することからコストが高くなる。しかし、焼却により重量および容積が小さくなることから、距離に応じてコストが急激に増えることはない。サーマルリサイクルは、単純焼却と比較して、発電代替効果が存在する分、コストが大幅に削減されることがわかる。
最後に、輸送方法によるコストと輸送方法によるCO2コストを比較する。図3−6は、輸送方法によるコストを示したものである。
図3−6:輸送方法によるコスト比較(プラスチック1トンを輸送した場合)
近距離であればトラックによる輸送が有利であるが、500[km]を越える距離では、海上輸送や鉄道輸送の方が安価となる。
図3−7:輸送方法によるCO2コスト比較(プラスチック1トンを輸送した場合)
図3−7は、輸送コストによるCO2コストを示したものである。輸送距離に関わらず、トラック輸送によるCO2排出量が圧倒的に多いことがわかる。
3−5 ケミカルリサイクルのコスト
3−5−1 コークス炉化学原料化法
新日鉄のコークス炉化学原料化法によるケミカルリサイクルのコストとそのデータソースを表3−7に示す。ケミカルリサイクルは、これまでの自治体による処理とは異なり、企業によって、容器包装リサイクル法に則って行われる方法である。したがって、企業が行う部分に関しては人件費を特別に設定していない。なお、広域輸送距離は、新日鉄の実際のデータから、その平均的距離である150[km]を用いている。
表3−7:新日鉄のコークス炉化学原料化法のコストとデータソース
リサイクル(中間処理)エネルギー |
114[円/t] |
「廃プラスチック技術のLCA的検討」(日本鉄鋼協会) 「日本の廃棄物処理」(環境省) 「エネルギー・経済統計要覧」(日本エネルギー・経済 研究所) 「最近の燃料価格の動向」 (経済産業省) 「石油関係単位換算表」 (石油公団) |
リサイクル(中間処理)CO2 |
50[円/t] |
|
リサイクル(中間処理)人件費 |
5,425[円/t] |
|
広域輸送 |
5,193[円/t] |
|
広域輸送CO2 |
55[円/t] |
|
事前処理エネルギー |
600[円/t] |
|
事前処理CO2 |
275[円/t] |
|
プラスチック分解エネルギー |
116[円/t] |
|
プラスチック分解時CO2 |
130[円/t] |
|
コークス製造エネルギー |
2,052[円/t] |
|
コークス製造CO2 |
900[円/t] |
|
ガス精製エネルギー |
2,964[円/t] |
|
ガス精製CO2 |
1,300[円/t] |
|
軽油精製エネルギー |
3,990[円/t] |
|
軽油精製CO2 |
1,750[円/t] |
新日鉄のコークス炉化学原料化法では、プラスチック1[t]あたり合計24,914円のコストがかかる。
コークス炉化学原料化法では、その工程を通して資源やエネルギーを創り出す。したがって、サーマルリサイクルと同様、社会的な「マイナスのコスト」が生じる。表3−8は、新日鉄のコークス炉化学原料化法におけるマイナスのコストとそのデータソースを示したものである。
表3−8:新日鉄のコークス炉化学原料化法のマイナスのコストとデータソース
軽油(創資源) |
20,000[円/t] |
「廃プラスチック技術のLCA的検討」(日本鉄鋼協会) 「日本の廃棄物処理」(環境省) 「エネルギー・経済統計要覧」 (日本エネルギー・経済研究所) 「最近の燃料価格の動向」(経済産業省)「石油関係単位換算表」(石油公団) |
軽油(精製プロセス)削減CO2 |
1,750[円/t] |
|
石炭(コークス代替) |
1,350[円/t] |
|
石炭(コークス製造)削減CO2 |
245[円/t] |
|
石炭(コークスとして使用)削減CO2 |
213[円/t] |
|
一般火力発電(資源=重油の代替) |
5,676[円/t] |
|
一般火力発電(重油代替)削減CO2 |
2,600[円/t] |
新日鉄のコークス炉化学原料化法では、プラスチック1[t]あたり合計31,834円のマイナスのコストが生じる。コストとマイナスのコストを合計すると、マイナスのコストの方が6,920円上回る。したがって、新日鉄のコークス炉化学原料化法の社会的コストは−6,920円となる。
3−5−2 高炉還元法
NKKの高炉還元法によるケミカルリサイクルのコストとそのデータソースを表3−9に示す。ケミカルリサイクルは、これまでの自治体による処理とは異なり、企業によって、容器包装リサイクル方に則って行われる方法である。したがって、高炉還元法のコスト計算においても、企業が行う部分に関しては人件費を特別に設定していない。なお、広域輸送距離は、NKKの実際のデータから、その平均的距離である250[km]を用いている。
表3−9:NKKの高炉還元法のコストとデータソース
リサイクル(中間処理)エネルギー |
114[円/t] |
「廃プラスチック技術のLCA的検討」(日本鉄鋼協会) 「日本の廃棄物処理」(環境省) 「エネルギー・経済統計要覧」 (日本エネルギー・経済研究所) 「最近の燃料価格の動向」 (経済産業省) 「石油関係単位換算表」 (石油公団) |
リサイクル(中間処理)CO2 |
50[円/t] |
|
リサイクル(中間処理)人件費 |
5,425[円/t] |
|
広域輸送 |
7,936[円/t] |
|
広域輸送CO2 |
100[円/t] |
|
事前処理エネルギー |
890[円/t] |
|
事前処理CO2 |
404[円/t] |
|
還元に使用するエネルギー |
9,006[円/t] |
|
還元CO2 |
3,950[円/t] |
NKKの高炉還元法では、プラスチック1[t]あたり合計27,875円のコストがかかる。
高炉還元法では、その工程を通してプラスチックが石炭の代替となり、また、エネルギーを創り出す。したがって、サーマルリサイクルと同様、社会的な「マイナスのコスト」が生じる。表3−10は、NKKの高炉還元法のマイナスのコストとそのデータソースを示したものである。
表3−10:NKKの高炉還元法のマイナスのコストとデータソース
石炭(コークス代替) |
4,150[円/t] |
「廃プラスチック技術のLCA的検討」(日本鉄鋼協会) 「日本の廃棄物処理」(環境省) 「エネルギー・経済統計要覧」 (日本エネルギー・経済研究所) 「最近の燃料価格の動向」(経済産業省)「石油関係単位換算表」(石油公団) |
石炭(コークス製造)削減CO2 |
750[円/t] |
|
石炭(コークスとして使用)削減CO2 |
667[円/t] |
|
一般火力発電(資源=重油の代替) |
5,676[円/t] |
|
一般火力発電(重油代替)削減CO2 |
2,600[円/t] |
|
|
NKKの高炉還元法では、プラスチック1[t]あたり合計13,843円のマイナスのコストが生じる。コストとマイナスのコストを合計すると、コストの方が14,032円上回る。したがって、NKKの高炉還元法の社会的コストは14,032円となる。このことは、企業がコストを発生させる事業を行っていることを意味する。NKKは、製鉄所で発生するコストをコークス等の購入費削減だけではカバーできないのが現実であるとした上で、埋立や焼却にかかるコストは相当な額に達しているため、社会的な利益があるのは間違いないとしている。わが国の産業部門では以前より省エネルギーが進んでおり、今後、さらに省エネルギーによりCO2の削減を達成しようとすると、かなりのコストが見込まれる。それと比較して、プラスチックの高炉還元法によるケミカルリサイクルのコストが低く抑えられていれば、企業が事業として行う意義があると言える。
なお、本章で示したコストの合計が第4章で示すコストと一致しない場合がある。これは、主に値の四捨五入や切り捨て方法の違いによるものである。
第4章
コスト計算結果の評価と考察
本章では、第3章で示した各種処理方法のコスト計算結果を比較し、最適な処理方法の組み合わせを検討し決定する。また、その組み合わせ下での炭素税の効果を検証する。
4−1 各種処理方法のコスト比較
はじめに、各種処理方法のコスト比較を行う。ここで比較する処理方法は、「直接埋立」「単純焼却」「サーマルリサイクル」「ケミカルリサイクル」であり、「直接埋立」「単純焼却」「サーマルリサイクル」については、県内処理の場合と遠隔処理の場合とに分けて比較する。また、「サーマルリサイクル」の発電効率については、現状の平均値、7.5[%]を用いている。また、この場合のコスト、および、スーパーごみ発電でのコストの計算結果以外に、参考として、発電効率が30[%]にまで向上した場合のコスト計算結果も同時に示す。
なお、遠隔処理の場合については、現状の遠隔処理における平均的な輸送距離である300[km]を、最も低コストであるトラックで輸送した場合を選択した。サーマルリサイクルの代替電源は、最もそのコスト削減効果の大きいものを選択した。最もコスト削減効果の大きいものというのは、炭素税がかからない場合は発電コストが大きいものであり、炭素税がかかる場合はCO2排出コストも含めてコストの大きくなるものを指す。
また、元来コストは生産活動に必要な資本、労働力、原材料の諸費用等、投入される生産要素の経済的な価値を指すものと考えられ、税は含まないのが一般的であるが、本章では、炭素税を含む、企業が負担すべき総費用をコストと呼び、比較を行っている。
さらに、ここで用いる炭素税額は、以下の4種類である。
@ 3000円/t−C
A 5000円/t−C
B 10000円/t−C
C 20000円/t−C
この炭素税額は、既に炭素税を導入している以下の海外の事例を参考にして決定した。
4−1−1 炭素税によるコスト比較
ここでは、炭素税をかけない場合と、[t−C]あたり3000円、5000円、10000円、20000円の炭素税をかけた場合の、合計5種類のコストをそれぞれ比較する。
図4−1:1トン処理した場合のコスト比較 (炭素税なしの場合)
図4−1は、炭素税をかけない場合に、各種処理方法で1[t]のプラスチックごみを処理したときのコストを比較したものである。
新日鉄のケミカルリサイクルはコストがマイナスになっており、本比較では最もコストの低い処理方法と言うことができる。県内処理の場合のみを比較すると、サーマルリサイクルが最も低コストでの処理が可能であることがわかる。遠隔処理の場合のみを比較した場合も同様に、サーマルリサイクルが最も低コストとなる。これは、サーマルリサイクルでは焼却に伴って発電をし、同時にCO2も発生しているが、炭素税をかけない場合はCO2コストを考える必要がないため、結果として処理そのものにはCO2が発生しない埋立よりも優れているということになる。
図4−2:1トン処理した場合のコスト比較 (炭素税3000円の場合)
図4−2は、炭素税が3000円の場合に、各種処理方法で1[t]のプラスチック廃棄物を処理したときのコストを比較したものである。
新日鉄のケミカルリサイクルはコストがマイナスになっており、本比較でも最もコストの低い処理方法と言うことができる。県内処理の場合のみを比較すると、直接埋立が最も低コストでの処理が可能であることがわかる。遠隔処理の場合のみを比較した場合は、サーマルリサイクルが最も低コストとなる。前述の通り、サーマルリサイクルでは焼却に伴って発電をするため、CO2が発生している。炭素税がないときとは異なり、3000円の炭素税をかけた場合には結果として直接埋立よりコストが高くなる。しかし、遠隔処理の場合は、それ以上に埋立地の有限性を示す指標としての輸送コストがなお大きく効いており、結果として、サーマルリサイクルの方が低コストということになっている。
図4−3:1トン処理した場合のコスト比較 (炭素税5000円の場合)
図4−3は、炭素税が5000円の場合に、各種処理方法で1[t]のプラスチック廃棄物を処理したときのコストを比較したものである。
新日鉄のケミカルリサイクルはコストがマイナスになっており、本比較でも最もコストの低い処理方法と言うことができる。県内処理の場合のみを比較すると、直接埋立が最も低コストでの処理が可能であることがわかる。遠隔処理の場合のみを比較した場合は、サーマルリサイクルが最も低コストとなる。炭素税が5000円の場合も、3000円の場合と同様に、県内処理では結果としてサーマルリサイクルが直接埋立より高コストになる。ただし、遠隔処理の場合は、埋立地の有限性を示す指標としての輸送コストがなお大きく効いている。
図4−4:1トン処理した場合のコスト比較 (炭素税10000円の場合)
図4−4は、炭素税が10000円の場合に、各種処理方法で1[t]のプラスチック廃棄物を処理したときのコストを比較したものである。
新日鉄のケミカルリサイクルはコストがマイナスになっており、本比較でも最もコストの低い処理方法と言うことができる。県内処理の場合のみを比較すると、直接埋立が最も低コストでの処理が可能であることがわかる。遠隔処理の場合のみを比較した場合は、サーマルリサイクルが最も低コストとなる。炭素税が10000円の場合も、3000円や5000円の場合と同様に、県内処理では結果としてサーマルリサイクルが直接埋立より高コストになる。ただし、遠隔処理の場合は、埋立地の有限性を示す指標としての輸送コストがなお大きく効いている。また、炭素税が10000円になると、遠隔処理の場合、サーマルリサイクルよりも、NKKのケミカルリサイクルの方が低コストでの処理が可能になる。これは、総コストに占める環境コストの割合が、サーマルリサイクルよりNKKのケミカルリサイクルの方が低いためと考えられる。
図4−5:1トン処理した場合のコスト比較 (炭素税20000円の場合)
図4−5は、炭素税が20000円の場合に、各種処理方法で1[t]のプラスチック廃棄物を処理したときのコストを比較したものである。
新日鉄のケミカルリサイクルはコストがマイナスになっており、本比較でも最もコストの低い処理方法と言うことができる。県内処理の場合のみを比較すると、直接埋立が最も低コストでの処理が可能であることがわかる。県内処理の直接埋立は、輸送コストがかからず、かつCO2も発生しないため、炭素税額がいくら上がってもまったく影響を受けないのである。遠隔処理の場合のみを比較した場合も、炭素税が20000円になると、直接埋立が最も低コストとなる。これは、サーマルリサイクルに伴って発生するCO2コストが、直接埋立の輸送コストを上回るためであると考えられる。また、炭素税が10000円の場合と同様に、20000円の場合も、遠隔処理の場合、サーマルリサイクルよりも、NKKのケミカルリサイクルの方が低コストでの処理が可能であり、そのコスト差は、10000円のときよりも大きくなる。したがって、処理方法としてNKKのケミカルリサイクルを選択することによるコストの差額も大きくなる。
図4−6:すべての処理方法の比較
(炭素税なし、1000円、3000円、5000円、10000円、20000円の場合)
図4−6は、図4−1から図4−5までをまとめて表示したものである。炭素税額によるコスト順位の変動をわかりやすく示したものが、図4−7である。
図4−7:すべての処理方法の比較 (コスト順位の変動を示したもの)
4−1−2 県内処理の場合のコスト比較
図4−8は、すべての処理方法において県内処理をした場合のコスト比較をのみを示したものである。
図4−8:すべての処理方法のコスト比較 (県内処理した場合のみを示したもの)
県内処理の場合、炭素税がないときにサーマルリサイクルが最も低コストとなるものの、炭素税をかけたときはいずれの場合でも、直接埋立が最も低コストでの処理が可能ということになる。しかし、実際には、特にプラスチックごみ排出量が多い大都市圏を中心に、すでに県内での直接埋立が困難な状況にあり、そのため、他県への広域移動が行われている。新日鉄のケミカルリサイクルは、必ずしも県内処理とは言えないが、コストの観点から見ると、かなり優位に立っている。また、NKKのケミカルリサイクルも、総コストに占める環境コストの割合が低いため、炭素税額が高くなるにつれ、その優位性は向上する。しかし、新日鉄およびNKKのケミカルリサイクルは、他の処理方法と異なり、処理のポテンシャルが限られているものである。したがって、県内で発生するプラスチックごみをすべて処理するのは不可能である。ごみは県内で処理することが原則ではあるが、遠隔地での処理方法のコストから見た優劣を明確にすることも重要である。なお、発電効率が30[%]のサーマルリサイクルを見てもわかるように、発電効率が向上すれば、コストが次第に低下していくことは明らかであり、その技術開発が待たれる。
4−1−3 遠隔処理の場合のコスト比較
図4−9は、すべての処理方法において県内処理をした場合のコスト比較をのみを示したものである。
図4−9:すべての処理方法のコスト比較 (遠隔処理した場合のみを示したもの)
遠隔処理の場合、炭素税が10000円のときまでは、サーマルリサイクルが最も低コストで処理できる方法である。しかし、炭素税が20000円になると、直接埋立の方がより低コストとなる。現状で可能な技術の中では、新日鉄のケミカルリサイクルは、遠隔処理でもコストの観点から見ると、当然、かなり優位に立っている。また、NKKのケミカルリサイクルも、総コストに占める環境コストの割合が低いため、炭素税額が高くなるにつれ、その優位性は向上し、20000円になると、新日鉄のケミカルリサイクルに次ぐ方法となる。しかし、新日鉄およびNKKのケミカルリサイクルは、他の処理方法と異なり、処理のポテンシャルが限られている、ということはここでも変わらない。なお、発電効率が30[%]のサーマルリサイクルを見てもわかるように、発電効率が向上すれば、コストが次第に低下していくことは明らかであり、やはり、その技術開発が待たれる。
4−2 ポテンシャルを考慮した最適な処理方法の組み合わせ
わが国のプラスチックごみ排出量は、年間およそ1000万[t]にのぼる。本節では、4−1節で示した処理方法の優劣をもとに、実際に1000万[t]のプラスチックごみを処理する場合に最適な処理方法の組み合わせを検討する。
処理方法の選択の仕方としては、まず、処理コストの低いものを選び、そして、処理可能量(ポテンシャル)を考慮してその方法での処理量と総処理コストを算出する。具体的には以下の例のようになる。最もコストの低い処理方法は新日鉄のケミカルリサイクルである。この方法では最大で40万[t]の処理が可能である。そこで、まず1000万[t]のうち40万[t]はこの方法で処理するとする。次に、残りの960万[t]を処理する方法を考える。次にコストが低いのはサーマルリサイクルである。この方法で処理が可能な量は680万[t]であるので、今度はさらに残りの280万[t]を処理する方法は何かを考える、という手順である。
本節では県内処理と遠隔処理のそれぞれについて、炭素税をかけない場合と[t−C]あたり20000円の炭素税をかけた場合とを比較する。また、その中間である[t−C]あたり10000円の炭素税をかけた場合もあわせて示すこととする。
図4−10:ポテンシャルを考慮した最適な処理方法の組み合わせ
(県内処理・炭素税なしの場合)
図4−10は、県内処理で炭素税をかけない場合に、ポテンシャルを考慮した上で、どのような処理方法の組み合わせが最適となるのかを示したものである。縦軸は、それぞれの処理方法での総コストを示している。最も低コストでの処理が可能であるのは新日鉄のケミカルリサイクルである。この方法は製鉄プロセスで行われるため、そのポテンシャルは2010年時点でおよそ40万[t]ということである。したがって1000万[t]の残りの960万[t]は別の方法で処理しなければならない。次にコストが低いのはサーマルリサイクルである。サーマルリサイクルは、ごみの焼却に伴って発生する余熱を利用して発電を行うものであるが、そのためには設備が必要となる。現在あるごみ焼却施設のうち、発電設備の設置が可能である全連続式の焼却施設のすべてに発電設備を設置したと仮定し、そこで現在の方法でサーマルリサイクルを行った場合に、処理可能な量は680万[t]となる。1000万[t]の残りの280万[t]は次にコストの低い直接埋立で処理することになる。直接埋立は現状では処理上限は設定しておらず、したがって、残りをすべてこの方法で処理すると考えられる。現在、わが国では炭素税が導入されておらず、その状況を図4−10は示していると考えられる。これらの処理方法で1000万[t]のプラスチックごみを処理するための総コストは828.8億円となる。
図4−11:ポテンシャルを考慮した最適な処理方法の組み合わせ
(県内処理・炭素税10000円の場合)
図4−11は、県内処理で炭素税10000円の場合に、ポテンシャルを考慮した上で、どのような処理方法の組み合わせが最適となるのかを示したものである。縦軸は、それぞれの処理方法での総コストを示している。最も低コストでの処理が可能であるのは新日鉄のケミカルリサイクルである。前述の通り、この方法のポテンシャルは2010年時点でおよそ40万[t]である。したがって1000万[t]の残りの960万[t]は別の方法で処理しなければならない。次にコストが低いのは直接埋立である。直接埋立は現状では処理上限は設定しておらず、したがって、残りをすべてこの方法で処理すると考えられる。これらの処理方法で1000万[t]のプラスチックごみを処理するための総コストは854.8億円となる。なお、総コストに占める炭素税額(環境コスト)も同時に示した。新日鉄は−1億円となるが、直接埋立は、県内処理の場合においてはCO2を排出しないことから、コストは発生しない。
図4−12:ポテンシャルを考慮した最適な処理方法の組み合わせ
(県内処理・炭素税20000円の場合)
図4−12は、県内処理で炭素税20000円の場合に、ポテンシャルを考慮した上で、どのような処理方法の組み合わせが最適となるのかを示したものである。縦軸は、それぞれの処理方法での総コストを示している。最も低コストでの処理が可能であるのは新日鉄のケミカルリサイクルである。前述の通り、この方法のポテンシャルは2010年時点でおよそ40万[t]である。したがって1000万[t]の残りの960万[t]は別の方法で処理しなければならない。次にコストが低いのは直接埋立である。直接埋立は現状では処理上限は設定しておらず、したがって、残りをすべてこの方法で処理すると考えられる。県内処理の場合、炭素税が20000円のときも10000円のときと処理方法やそのポテンシャルは同じである。しかし、炭素税が2倍になるため、新日鉄のケミカルリサイクルの炭素税額が−2億円になる。したがって、これらの処理方法で1000万[t]のプラスチックごみを処理するための総コストは854億円となる。炭素税が10000円のときよりも20000円のときの方がコストは若干低くなるという計算である。
次の図からは、遠隔処理の場合について検討する。
図4−13:ポテンシャルを考慮した最適な処理方法の組み合わせ
(遠隔処理・炭素税なしの場合)
図4−13は、遠隔処理で炭素税をかけない場合に、ポテンシャルを考慮した上で、どのような処理方法の組み合わせが最適となるのかを示したものである。縦軸は、それぞれの処理方法での総コストを示している。最も低コストでの処理が可能であるのは遠隔処理の場合も新日鉄のケミカルリサイクルである。前述の通り、この方法のポテンシャルは2010年時点でおよそ40万[t]である。したがって1000万[t]の残りの960万[t]は別の方法で処理しなければならない。次にコストが低いのはサーマルリサイクルである。現在の方法でサーマルリサイクルを行った場合に、処理可能な量は680万[t]である。そこで、1000万[t]の残りの280万[t]は次にコストの低い単純焼却で処理することになる。単純焼却は現状では処理上限は設定しておらず、したがって、残りをすべてこの方法で処理すると考えられる。ごみの焼却やそれに伴って行うサーマルリサイクルでは、CO2を排出する。したがって、炭素税がかかる場合にはコストが高くなるのだが、ここでは炭素税がかからない場合を検討しているため、サーマルリサイクルや単純焼却が直接埋立よりも優位なものになっている。現在、わが国では炭素税が導入されておらず、その状況を図4−13は示していると考えられる。これらの処理方法で1000万[t]のプラスチックごみを処理するための総コストは989.2億円となる。
図4−14:ポテンシャルを考慮した最適な処理方法の組み合わせ
(遠隔処理・炭素税10000円の場合)
図4−14は、遠隔処理で炭素税10000円の場合に、ポテンシャルを考慮した上で、どのような処理方法の組み合わせが最適となるのかを示したものである。縦軸は、それぞれの処理方法での総コストを示している。最も低コストでの処理が可能であるのは新日鉄のケミカルリサイクルである。前述の通り、この方法のポテンシャルは2010年時点でおよそ40万[t]である。したがって1000万[t]の残りの960万[t]は別の方法で処理しなければならない。次にコストが低いのはNKKのケミカルリサイクルである。NKKのケミカルリサイクルも、新日鉄のケミカルリサイクルと同様に製鉄プロセスで行われるため、そのポテンシャルは2010年時点でおよそ30万[t]ということである。そこで、残りの930万[t]は別の方法で処理することになる。次にコストが低いものは、サーマルリサイクルである。現在の方法でサーマルリサイクルを行った場合に、処理可能な量は680万[t]である。したがって、これら3つの方法をあわせてもなお250万[t]のプラスチックごみが処理しきれない。そこで、残りはその次にコストが低い直接埋立で処理する必要が生じる。直接埋立は現状では処理上限は設定しておらず、したがって、残りをすべてこの方法で処理すると考えられる。遠隔処理で炭素税額が10000円を超すと、総コストに占める環境コストの割合が比較的低いNKKのケミカルリサイクルが優位になっていることが改めて示された。これらの処理方法で1000万[t]のプラスチックごみを処理するための総コストは1547.6億円となる。なお、総コストに占める炭素税額(環境コスト)も同時に示した。新日鉄は−1億円、NKKは7億円、サーマルリサイクルは364億円、直接埋立8億円である。直接埋立で環境コストがかかるのは、処理そのものからはCO2は排出しないものの、遠隔輸送に伴うCO2排出コストが生じるためである。
図4−15:ポテンシャルを考慮した最適な処理方法の組み合わせ
(遠隔処理・炭素税20000円の場合)
図4−15は、遠隔処理で炭素税20000円の場合に、ポテンシャルを考慮した上で、どのような処理方法の組み合わせが最適となるのかを示したものである。縦軸は、それぞれの処理方法での総コストを示している。最も低コストでの処理が可能であるのは新日鉄のケミカルリサイクルである。前述の通り、この方法のポテンシャルは2010年時点でおよそ40万[t]である。したがって1000万[t]の残りの960万[t]は別の方法で処理しなければならない。次にコストが低いのはNKKのケミカルリサイクルである。すでに述べたように、NKKのケミカルリサイクルは製鉄プロセスで行われるため、そのポテンシャルは2010年時点でおよそ30万[t]ということである。そこで残りの930万[t]は、次にコストの低い直接埋立で処理することになる。直接埋立は現状では処理上限は設定しておらず、したがって、残りをすべてこの方法で処理すると考えられる。炭素税が20000円になると、10000円のときには直接埋立よりも優位にあったサーマルリサイクルのコストが大きく増加するため、その順位が逆転する。これらの処理方法で1000万[t]のプラスチックごみを処理するための総コストは1547.6億円となる。なお、総コストに占める炭素税額は、新日鉄が−2億円、NKKは14億円、直接埋立は59億円である。直接埋立で環境コストがかかるのは、処理そのものからはCO2は排出しないものの、遠隔輸送に伴うCO2排出コストが生じるためである。
4−3 最適な処理方法の組み合わせ下での炭素税の効果の検証
本節では、4−2節で示した最適な処理方法の組み合わせの下での炭素税の効果を検証する。はじめに、県内処理および遠隔処理それぞれについて、炭素税をかけない場合、炭素税を[t−C]あたり10000円かけた場合、炭素税を20000円かけた場合について、積み上げ方式により炭素排出量を示す。なお、炭素税による炭素排出削減効果を見ると同時に、そのためにどれだけのコストが必要となったかを検証するため、総処理コストも積み上げ方式で示す。
図4−16:ポテンシャルを考慮した最適な処理方法の組み合わせ下での
炭素排出量と総処理コスト(県内処理・炭素税なしの場合)
図4−16は、県内処理で炭素税をかけない場合の炭素排出量と総処理コストを積み上げ方式で示したものである。炭素排出量は折れ線グラフで表示されており、右側の縦軸が対応している。総処理コストは棒グラフで表示されており、左側の縦軸が対応している。4−2節で述べたように、このパターンにおける最適な処理方法の組み合わせは、新日鉄のケミカルリサイクル、サーマルリサイクル、直接埋立である。各々の処理方法で生じた炭素と総コストを順に積み上げていき、一番右側、埋立のグラフに示された数字が、総炭素排出量と総処理コストとなる。県内処理で炭素税をかけない場合は、炭素排出量が3.63[Mt-C]、総コストが828.8億円である。
図4−17:ポテンシャルを考慮した最適な処理方法の組み合わせ下での
炭素排出量と総処理コスト(県内処理・炭素税10000円の場合)
図4−17は、県内処理で炭素税が10000円の場合の炭素排出量と総処理コストを積み上げ方式で示したものである。炭素排出量は折れ線グラフで表示されており、右側の縦軸が対応している。総処理コストは棒グラフで表示されており、左側の縦軸が対応している。4−2節で述べたように、最適な処理方法の組み合わせは、新日鉄のケミカルリサイクル、直接埋立である。各々の処理方法で生じた炭素と総コストを順に積み上げていき、一番右側、埋立のグラフに示された数字が、このパターンでの総炭素排出量と総処理コストとなる。県内処理で炭素税を10000円かけた場合は、炭素排出量が−10800[t-C]、総コストが854.8億円である。新日鉄のケミカルリサイクルでは、総合すると炭素排出量がマイナスの値になり、また、県内処理の直接埋立では炭素を排出しないため、炭素排出量がマイナスの値となっている。
図4−18:ポテンシャルを考慮した最適な処理方法の組み合わせ下での
炭素排出量と総処理コスト(県内処理・炭素税20000円の場合)
図4−18は、県内処理で炭素税が20000円の場合の炭素排出量と総処理コストを積み上げ方式で示したものである。炭素排出量は折れ線グラフで表示されており、右側の縦軸が対応している。総処理コストは棒グラフで表示されており、左側の縦軸が対応している。4−2節で述べたように、最適な処理方法の組み合わせは、新日鉄のケミカルリサイクル、直接埋立である。各々の処理方法で生じた炭素と総コストを順に積み上げていき、一番右側、埋立のグラフに示された数字が、このパターンでの総炭素排出量と総処理コストとなる。県内処理で炭素税を20000円かけた場合は、炭素排出量が−10800[t-C]、総コストが854億円である。炭素税が10000円のときと同様、新日鉄のケミカルリサイクルでは、総合すると炭素排出量がマイナスの値になり、また、県内処理の直接埋立では炭素を排出しないため、炭素排出量がマイナスの値となっている。また、炭素税が10000円から20000円へと2倍になるため、マイナスの値をとっている新日鉄のケミカルリサイクルの炭素税額が大きくなる。したがって、4−2節でも述べた通り、炭素税が10000円のときよりも20000円のときの方がコストは若干低くなる。
次の図からは、遠隔処理の場合について検討する。
図4−19:ポテンシャルを考慮した最適な処理方法の組み合わせ下での
炭素排出量と総処理コスト(遠隔処理・炭素税なしの場合)
図4−19は、遠隔処理で炭素税をかけない場合の炭素排出量と総処理コストを積み上げ方式で示したものである。炭素排出量は折れ線グラフで表示されており、右側の縦軸が対応している。総処理コストは棒グラフで表示されており、左側の縦軸が対応している。4−2節で述べたように、最適な処理方法の組み合わせは、新日鉄のケミカルリサイクル、サーマルリサイクル、単純焼却である。各々の処理方法で生じた炭素と総コストを順に積み上げていき、一番右側、焼却のグラフに示された数字が、このパターンでの総炭素排出量と総処理コストとなる。遠隔処理で炭素税をかけない場合は、炭素排出量が5.68[Mt-C]、総コストが989.2億円である。
図4−20:ポテンシャルを考慮した最適な処理方法の組み合わせ下での
炭素排出量と総処理コスト(遠隔処理・炭素税10000円の場合)
図4−20は、遠隔処理で炭素税が10000円の場合の炭素排出量と総処理コストを積み上げ方式で示したものである。炭素排出量は折れ線グラフで表示されており、右側の縦軸が対応している。総処理コストは棒グラフで表示されており、左側の縦軸が対応している。4−2節で述べたように、最適な処理方法の組み合わせは、新日鉄のケミカルリサイクル、NKKのケミカルリサイクル、サーマルリサイクル、そして直接埋立である。各々の処理方法で生じた炭素と総コストを順に積み上げていき、一番右側、埋立のグラフに示された数字が、このパターンでの総炭素排出量と総処理コストとなる。遠隔処理で炭素税を10000円かけた場合は、炭素排出量が3.78[Mt-C]、総コストが1547.6億円である。
図4−21:ポテンシャルを考慮した最適な処理方法の組み合わせ下での
炭素排出量と総処理コスト(遠隔処理・炭素税20000円の場合)
図4−21は、遠隔処理で炭素税が20000円の場合の炭素排出量と総処理コストを積み上げ方式で示したものである。炭素排出量は折れ線グラフで表示されており、右側の縦軸が対応している。総処理コストは棒グラフで表示されており、左側の縦軸が対応している。4−2節で述べたように、最適な処理方法の組み合わせは、新日鉄のケミカルリサイクル、NKKのケミカルリサイクル、そして直接埋立である。各々の処理方法で生じた炭素と総コストを順に積み上げていき、一番右側、埋立のグラフに示された数字が、このパターンでの総炭素排出量と総処理コストとなる。遠隔処理で炭素税を20000円かけた場合は、炭素排出量が0.36[Mt-C]、総コストが1893.9億円である。
最後に、炭素税の効果を見るために、県内処理と遠隔処理とに分け、炭素税額の違いによる総処理コストと炭素排出量を比較する。
まず、県内処理、遠隔処理それぞれの総処理コストを示す。
図4−22:炭素税額の違いによる総処理コストの比較(県内処理の場合)
図4−22は、県内処理について、炭素税額の違いによる処理コストの変化を比較したものである。
方法1とは、4−2節において最も低コストでの処理が可能であった方法を指す。炭素税がかららない場合を例にとると、最もコストの低い新日鉄のケミカルリサイクルを意味する。同様に、方法2は、4−2節において2番目に低コストでの処理が可能であった方法を指し、炭素税がかからない場合を例にとると、サーマルリサイクルを意味する。方法3は、4−2節において3番目に低コストでの処理が可能であった方法を指し、炭素税がかからない場合を例にとると、直接埋立を意味する。炭素税がかからない場合は、1000万[t]のプラスチックごみを処理しきるまでに3つの方法を用いる必要があるが、炭素税が10000円および20000円の場合は、2つの方法で処理しきることが可能であるため、方法3は「ない」ということになる。
総コストは、それぞれ一番右側にくる点での値となり、炭素税かかからない場合は828.8億円、炭素税が10000円の場合は854.8億円、炭素税が20000円の場合は854億円となる。炭素税がかからない場合がコストが最も低くなるが、その差はさほど大きなものではない。
図4−23炭素税額の違いによる総処理コストの比較(遠隔処理の場合)
図4−23は、遠隔処理について、炭素税額の違いによる処理コストの変化を比較したものである。
図4−22と同様、方法1とは、4−2節において最も低コストでの処理が可能であった方法を指す。炭素税がかからない場合を例にとると、最もコストの低い新日鉄のケミカルリサイクルを意味する。方法2、方法3、方法4は、それぞれ4−2節において2番目、3番目、4番目に低コストでの処理が可能であった方法を指す。炭素税がかからない場合および炭素税が20000円の場合は、1000万[t]のプラスチックごみを3つの方法で処理しきることが可能であるが、炭素税が10000円の場合は、4つの方法を用いることが必要となっているため、この場合にのみ方法4が存在する。
総コストは、それぞれ一番右側にくる点での値となり、炭素税かかからない場合は989.2億円、炭素税が10000円の場合は1547.6億円、炭素税が20000円の場合は1893.9億円となる。炭素税がかからない場合がコストが最も低くなる。また、その差は県内処理のときと比べて大きくなっている。これは、遠隔処理に伴い炭素が排出されることから、相応して環境コストが大きくなるためであると考えられる。
次に、県内処理、遠隔処理それぞれの炭素排出量を示す。
図4−24炭素税額の違いによる炭素排出量の比較(県内処理の場合)
図4−24は、県内処理について、炭素税額の違いによる炭素排出量の変化を比較したものである。
方法1とは、4−2節において最も低コストでの処理が可能であった方法を指す。炭素税がかからない場合を例にとると、最もコストの低い新日鉄のケミカルリサイクルを意味する。同様に、方法2は、4−2節において2番目に低コストでの処理が可能であった方法を指し、炭素税がかからない場合を例にとると、サーマルリサイクルを意味する。方法3は、4−2節において3番目に低コストでの処理が可能であった方法を指し、炭素税がかからない場合を例にとると、直接埋立を意味する。炭素税がかからない場合は、1000万[t]のプラスチックごみを処理しきるまでに3つの方法を用いる必要があるが、炭素税が10000円および20000円の場合は、2つの方法で処理しきることが可能であるため、方法3は「ない」ということになる。
炭素排出量は、それぞれ一番右側にくる点での値となり、炭素税かかからない場合は3.63[Mt−C]、炭素税が10000円および20000円の場合は0.01[Mt−C]となる。炭素税がかからない場合は、炭素排出量が多くなることがわかる。
なお、図4−22の総処理コストの比較結果および図4−24の炭素排出量の比較結果を用いて、炭素1[t]を削減するためにかかるコストを割り出すことができる。炭素税をかけることによって増加したコストと、炭素税をかけることによって減少した炭素排出量から、県内処理の場合、炭素税を10000円かけるときには、炭素1[t]を削減するために718円、炭素税を20000円かけるときには、炭素1[t]を削減するに696円を負担していることになる。
図4−25炭素税額の違いによる炭素排出量の比較(遠隔処理の場合)
図4−25は、遠隔処理について、炭素税額の違いによる炭素排出量の変化を比較したものである。
図4−24と同様、方法1とは、4−2節において最も低コストでの処理が可能であった方法を指す。炭素税がかからない場合を例にとると、最もコストの低い新日鉄のケミカルリサイクルを意味する。方法2、方法3、方法4は、それぞれ4−2節において2番目、3番目、4番目に低コストでの処理が可能であった方法を指す。炭素税がかからない場合および炭素税が20000円の場合は、1000万[t]のプラスチックごみを3つの方法で処理しきることが可能であるが、炭素税が10000円の場合は、4つの方法を用いることが必要となっているため、この場合にのみ方法4が存在する。
炭素排出量は、それぞれ一番右側にくる点での値となり、炭素税かかからない場合は5.68[Mt−C]、炭素税が10000円の場合は3.78[Mt−C]、炭素税が20000円の場合は0.36[Mt−C]となる。遠隔処理においても、炭素税がかからない場合は、炭素排出量が多くなることがわかる。
なお、図4−23の総処理コストの比較結果および図4−25の炭素排出量の比較結果を用いて、炭素1[t]を削減するためにかかるコストを割り出すことができる。炭素税をかけることによって増加したコストと、炭素税をかけることによって減少した炭素排出量から、遠隔処理の場合、炭素税を10000円かけるときには、炭素1[t]を削減するために29,389円、炭素税を20000円かけるときには、炭素1[t]を削減するに17,006円を負担していることになる。
第5章 おわりに
5−1 本研究の結論
本章では、本研究を論文の流れに沿って総括し、成果をまとめる。
第1章では、わが国の一般廃棄物最終処分場残余容量の逼迫やプラスチック廃棄物処理方法の未確立、CO2削減策の苦慮という現状をまとめ、本研究の目的を述べた。廃棄物問題および地球温暖化問題の緩和のために、プラスチック各種処理方法の環境評価とコスト評価を行い、プラスチック廃棄物の最適な処理方法を提案することが本研究の目的である。
第2章では、評価の対象とする処理方法について、その現状も含めて説明した。本研究で対象とした処理方法は、直接埋立、単純焼却、サーマルリサイクル、ケミカルリサイクルである。わが国では、直接埋立率が低下する一方で単純焼却率が上昇していた。サーマルリサイクルは、ごみというエネルギー資源によって化石燃料を節約し、CO2を増やさない画期的な処理方法であるが、発電効率が低く、その向上のためにあらゆる方法を模索してきた。ケミカルリサイクルは、製鉄プロセスを活用して行う新しい処理方法であり、処理可能量が限られているものの、プラスチックの種類を選ばない優れた方法である。この方法の実用化により、プラスチックの有効活用がようやく本格的に動き出したと言うことができる。
第3章では、各種処理方法を評価するために行うコスト計算のプロセスとその結果を述べた。本研究では、評価項目のコスト換算による総合的評価により、プラスチック各種処理方法の優劣を比較した。その評価項目は「処理コスト・埋立コスト」「埋立地の有限性」「CO2排出コスト」「資源の有効活用」である。サーマルリサイクルおよびケミカルリサイクルでは、これによって得られる経済的価値を考慮して「マイナスのコスト」という考え方を用いた。直接埋立は、県内で処分できる場合は低コストであるが、埋立地の限界から県外への輸送、埋立が必要となる場合は、コストは大幅に上昇する。単純焼却は、直接埋立と比較して、焼却に伴いCO2が発生することからコストが高くなるが、焼却により重量および容積が減少することから、輸送距離に応じてコストが急激に増えることはない。サーマルリサイクルは、単純焼却と比較して、発電代替効果が存在する分、コストが大幅に削減されることがわかった。ケミカルリサイクルのうち、コークス炉化学原料化法の社会的コストは、創資源の効果もありマイナスの値となった。高炉還元法は、企業としてはコストが生じるが、社会的にはメリットが生じる処理方法である。しかし、省エネルギーが進んだわが国の産業部門にとって、CO2削減策としてケミカルリサイクルを捕らえるならば、そのコストも妥当なものと言える。
第4章では、第3章で示した各種処理方法のコスト計算結果を比較し、最適な処理方法の組み合わせを検討し、さらに炭素税の効果を定量的に検証した。県内処理の場合、炭素税がかからないときにサーマルリサイクルが最も低コストとなるものの、炭素税をかけたときはいずれの場合でも、直接埋立が最も低コストでの処理が可能であることがわかった。遠隔処理の場合、炭素税が10000円のときまでは、サーマルリサイクルが最も低コストで処理ができる方法である。しかし、炭素税が20000円になると直接埋立がより低コストになることが明らかになった。現状で可能な技術の中では、新日鉄のケミカルリサイクルはコストの観点から見るとかなり優位に立つことがわかる。また、NKKのケミカルリサイクルは総コストに占める環境コストの割合が低いため、炭素税が高くなるにつれてその優位性は向上し、遠隔処理の場合は炭素税が20000円になると、新日鉄のケミカルリサイクルに次ぐ方法となる。炭素税額の違いによる処理コストの変化を比較すると、県内処理の場合、炭素税がかからないときが最もコストを低く抑えられるが、その差はそれほど大きなものではなかった。遠隔処理の場合は、遠隔輸送に伴い炭素が排出され環境コストが大きくなるためにその差も大きくなる。炭素税額の違いによる炭素排出量の変化を比較すると、炭素税がかからないときに炭素排出量が多くなり、炭素税には炭素排出削減の効果があることがわかった。
第5章では、以上のプラスチック処理方法が日本全国の電力供給システムの中でどのような位置付けにあるかを明確にするため、サーマルリサイクルについて電源構成モデルによる検討を加えた。この結果、廃棄物発電を行うことによってコスト、炭素排出量ともに削減されることが確認できた。この他、エネルギー安全保障の観点から石炭使用に制約をかけた電力供給の地域独占状態では、炭素税の効果は見られないことが確認された。電力供給の地域独占と自由化を比較すると、炭素税を可変コストに含めた場合、総コストは同等もしくは自由化の方が低く、炭素排出量は同等もしくは地域独占の方が少なかった。また、自由化の状態における、炭素税額の違いによる炭素排出量の抑制効果は、[t−C]あたり10000円もしくは20000円になるとその影響が見られることが確認された。これは、電源そのものの可変コストが低く炭素排出原単位の大きい石炭と、可変コストが高く炭素排出原単位の小さいLNGとの、[kWh]あたりのコストで見た優劣が逆転するのは炭素税額が10000円を超えてからであるためである。自由化の下での炭素税の効果を見ると、炭素税を可変コストに含めた方がすべての場合において総コストは高くなり、炭素排出量は少なくなる。最後に炭素税と規制によるCO2削減効果を比較すると、すべてのパターンにおいて共通する結果は見られなかったが、GDP年伸び率が2.0[%]で省エネルギー対策を行わないとするシナリオ0に関して述べると、規制をかけた方が炭素排出量は少なく総コストは高くなった。
以上、本研究の結果からプラスチック処理について、本研究の評価から見た望ましい方法は以下に要約される。
評価項目のコスト換算による総合的評価により、プラスチックの各種処理方法の優劣を評価、比較した結果、ケミカルリサイクルがコストの観点から見て最も優れた処理方法であることが明らかになった。しかし、ケミカルリサイクルは製鉄プロセスを活用して行うものであり、その処理可能量ではわが国のプラスチック廃棄物全処理量の4[%]しか賄えない。そこで、現実的に優位性の高い処理方法は、サーマルリサイクルと直接埋立であると言うことができる。サーマルリサイクルは、そのプロセスにおいてCO2を発生させる。また、直接埋立はその用地の確保が非常に困難な問題として存在する。このどちらを選択するかは、処理の主体である自治体の置かれた環境による。炭素税が[t-C]あたり5000円のとき、県内に埋立用地を確保することが可能である自治体では、単純焼却に比べて直接埋立を選択することでコストが39.1[%]削減される。逆に、県内に埋立用地の確保が困難な自治体では、単純焼却よりも直接埋立のコストが高いため、県内でサーマルリサイクルする方法を選択することでコストが23.2[%]削減される。ただし、炭素税が20000円を超えるときには、県外に埋立をするコストとサーマルリサイクルのコストがほぼ同等になるため、県外に廃棄物を輸送し直接埋立をするという処理方法を選択することも合理的となる。
電源構成モデルのシミュレーションの結果から、サーマルリサイクルを行っても系統電力の電源構成には影響を与えないことが確認された。また、炭素排出量については、サーマルリサイクルをまったく行わない場合と比較して、総合資源エネルギー調査会の報告にあるサーマルリサイクルの導入目標を達成した場合、炭素排出量が10.9[%]削減される。さらに、炭素税の電源構成に与える影響に関しては、炭素税が[t-C]あたり10000円以上で電源が石炭からLNGに移行するので、10000円のときに炭素税がかからないときと比較して炭素排出量が2.1[%]削減される。
5−2 今後の課題と展望
本研究で得られた成果を踏まえ、今後の課題や展望について述べる。
本研究では、プラスチック廃棄物の各種処理方法のコスト評価を行い、その最適な処理方法を明らかにした。しかしながら、本研究におけるコスト評価方法で比較が可能であるのは使用済みプラスチックが処理されるまでの範囲に限られており、処理された後のプロセスは評価の対象となっていない。処理方法により、処理された後にも新たなプロセスが始まるものがあるが、それについての評価が含まれていないのである。たとえばケミカルリサイクルのコークス炉化学原料化法によれば、炭素水素油が精製され、それは再びプラスチック製容器包装として使用されることになる。そして、その使用後には、再びケミカルリサイクルされ、三度プラスチック製容器包装として使用されるかもしれない。つまり、同じプラスチックでも、その処理方法により、一度でそのライフサイクルを終了してしまうものと、何度もライフサイクルを繰り返すものとが存在するのである。しかし、その評価の方法は現在まったく提案されていない。より現実に即した評価を行うために、この方法を模索していくことが必要である。
参考文献
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