2002年度森泰吉郎記念研究振興資金 研究者育成費(修士・博士) 報告書

活動題目: 外国語を中心とした異文化間教育政策の調査と日独比較

所属: 政策・メディア研究科修士課程

氏名: 安井 綾

補助額: 100.000円

 

研究者育成費を使用した活動:ヨーロッパ学校に関わる現地調査(ドイツ・ベルリン、2002年8月)

1 Bdn.90 /Gruene 訪問

日時:8月20日(火) 午後3時30分〜午後4時30分

内容:難民・移民政策担当のHerr Mark Holzbergerからドイツの新しい移民法について説明を受けた。新移民法のコンセプトは3つで、@移民労働者とグリーンカード、Aインテグレーション、B難民法である。このうち、@についてはEU各国からの移民というテーマも含め、短期滞在者と長期滞在者に分けて説明があり、Aについては特にドイツ語講習の義務化に関して詳しい説明があった。

 

2 ベルリン・フンボルト大学Herr Dr. Rainer Dietrich(心理言語学)にインタビュー


日時:8月22日(木) 午前9時〜午前10時

内容:ヨーロッパ学校の目的と対象について質問
「ヨーロッパ学校はエリートのための学校ではないが、労働者層のための学校でもない。中間層をターゲットにした学校である」との見解を得た。また、ヨーロッパ学校(中等教育)のコンセプトに対するベルリン市教育委員会の説明文書(1996年)の寄贈を受けた。
Herr Dr. Dietrichは設立当時からのアドバイザリーグループの一員。

 

3 ラジオ局MultiKulti訪問見学

日時:8月23日(金) 午後3時30分〜午後5時

内容:18言語によるラジオ放送事業の現場を見学すると同時に、社員からMultiKultiの果たす役割について説明を受けた。18言語は、トルコ語をはじめとしてセルビア語、クロアチア語、クルド語など、ベルリンに居住する多くの外国人の母語である。MultiKulti以外にはその言語での情報伝達があまり行われていない言語を中心としている。内容は母国およびドイツのニュース、音楽等である。

 

4 ベルリン・フィノウ基礎学校(Finow-Grundschule)訪問

日時:8月26日(月) 午前8時45分〜午後0時30分

内容:ドイツ語とイタリア語のコンビネーションで二言語教育を行っている小学校を訪ね、実際の授業を参観。授業は「イタリア語」(母語授業)と合同の「時間割の説明」で、いずれも4年生。休み時間と放課後には担任のFrau Dr. Rossana Porrata-JursとFrau Gertraud Gaaから説明を受けた。

 

5 ベルリン・教育メディア研究所(Berliner Landesinstitut fur Schule und Medien)での会議に同席

日時:8月28日(水) 午後3時〜午後7時

内容:来年度に11年生を抱えるヨーロッパ学校3校の教員が集まり、ヨーロッパ学校のギムナジウム課程(Gymnasiale Oberstufe)について協議。大学入学資格取得をどのように進めるか(ドイツのアビトゥア試験の選択科目、他国での大学入学資格を証明する方法)がメイントピックだった。

 

*研究成果について2002年12月1日に第1回日本言語政策学会で発表した。予稿集掲載のレジュメ当日配布資料