研究課題名■

 

公共サービスの提供の多元化方策に関する一考察

― 民間委託事業への市民自発非営利組織(VNPO)の活用を中心に

 

    研究

 

鄭   芝   永

 

政策・メディア研究科 2年

 


■研究課題■


韓国行政の公共サービスにおける民間委託政策は1980年代の後半、非民主的軍事政権の中央集権的政治から民主的民間政権の地方分権的政治へ変貌してから本格的に行はれ始めた。非効率的行政サービスへの強い国民的批判は行政改革政策の導入を促すようになり、公共サービスの提供方式の多元化政策の一環として民間委託制度が広く取り入れられ、特に、福祉サービスへの導入が目立つようになった。

その中、保育サービス分野に導入された民間委託政策による実際の運営実態を分析し、改善方案を導出することによって既存の民間委託事業の限界と問題を究明、そして効果的公共サービスの提供のために望ましい対案として機能しているのか、実効性のある民間委託事業のための前提条件と補完策は何なのかについて具体的に検討し、公共サービスの提供の多元化方策の一環として市民自発非営利組織(VNPO)の活用のための理論的、制度的課題を模索、提案する。


■研究内容■

1.研究の動機と目的 

公共サービスの多元化方策の必要性に関する理論的背景には政府機能の縮小による政府提供サービスの効率性の高揚に関する関心がある。政府提供サービスの生産性低下の原因として行政需要の増加による政府機能の拡大と政府機構の肥大化、肥大化した政府の独寡占的サービスの提供が挙げられる。

官僚組織の肥大化と公共サービスの非効率性の克服のために政府の企業化、政府機能の民間化方策、政府機構間の情報共有体制確立、公正的競争体制の確保、民市場の活用拡大等の論議がある。

本研究は、その中で、公共サービスの提供の多元化方策として市民自発非営利組織の活用が有用であることを保育サービスに参加している市民自発非営利組織の事例を分析し究明することである。それと伴に公共サービスの提供方策として市民自発非営利組織( VNPO)の活用に関する政策的、制度的課題を模索、提案する。

2.研究の背景 

政府が独占的に提供する公共サービスには競争性の欠如、官僚の集団利己主義等によって非効率性が内在しているので問題の克服は公共サービス提供の多元化による方策が最善策である。そして、統合的政府独寡占体制下ではより効率的あって、市民の自率的選択行為の許容は社会の全体的政治・経済的民主化にも繋がる。

公共サービス提供の民間化による多元化戦略は、まず、公共サービスの民間化の判断基準が要求され、費用節減の程度、サービス利用者の選択権、サービスの質と効果性、サービスの持続性と安定性、衡平性、実行可能性等の検討が要る。

市民自発非営利組織( VNPO)の活用の理論的根拠は社会・政治学的視覚:社会規制と市民自律性の間の力学関係、Civil Minimum理論、近隣協同体理論(Neighborhood Cooperation)、市民統制理論(Civil control)・自主管理理論等があり、市民自発非営利組織の活用部門は社会事業、地域社会発展と他人の福祉増進部門とされている。

本研究では、民間委託による公共サービスの多元化の効率性を確認するために、民間委託形態保育サービス事業の分析をする。民間委託形態の保育サービス提供者(営利・非営利組織・民−官共同運営)の比較検討によってより効率性の高い保育サービス提供者に関する分析を行い、その原因を探る。


3.先行研究の検討と本研究の特徴 

既存の研究は、行政サービスの質の高揚に関して行政管理改善、官僚形態及び意識転換等に重点が与えられていて、新しい公共サービスの生産、伝達方式の対案の模索、民間委託事業の結果分析による改善策の探求はなかった。

本研究は、民間委託事業の中で保育サービス分野の制度及び運営実態を分析し、非営利組織の民間委託事業への活用方案を探求する。そのために、(1)民間委託形態の保育サービス提供の現状と結果分析―提供主体間の比較調査(営利・非営利組織・民−官共同運営)、保育サービス消費者としての利用者満足度の調査 (2)民間組織及び市民自発非営利組織の公共サービス事業参加の法律的、制度的現状分析と対案を模索する。
 

 

. 結論 

 

公共サービス提供方式の多元化戦略

 

― 公共サービスの民間化による供給主体の多元化

  ― 政府による提供という既存方式下の供給方式の変化模索

 

民間化による多元化戦略

公共サービスの民間化の判断基準

 − 費用節減の程度

− サービス利用者の選択権

− サービスの質と効果性

− サービスの持続性と安定性

− 衡平性

− 実行可能性

 

 

市民自発非営利組織( VNPO)の活用

 

非営利組織:社会事業、地域社会発展と他人の福祉増進部門

    政府部門:政策管理、規制、社会的平等強化、搾取防止

    市場部門:経済的業務、投資業務、利益創出)

 

政策対案の提示

  − 行政機構内に市民自発非営利組織担当機構と担当官制度の導入

 

フォームの始まり

フォームの終わり