2002年度森泰吉郎記念研究振興基金 採択プロジェクト 報告書
1.センサネットワークにおける位置特定方式
本節では、まずセンサネットワークについて説明し、センサネットワークにおける位置情報の意味を述べ、そして、センサネットワーク上でセンサノードが位置情報を取得するモデルである
センサネットワーク
センサデバイスと無線通信能力を持った小型コンピュータによるネットワークである．センサネットワークでは数百から数万のセンサノードが自律分散型ネットワークを構築する．各センサノードは，センサによる環境情報の取得と簡単な計算処理，そして周辺ノードやセンサネットワークの情報を利用するアプリケーションと通信を行う．センサネットワークを構成する各ノードは非力な計算能力を持ち、また容量の問題から大量のバッテリーを持たないため、センサノード上では可能な限り単純な計算を行う軽量なソフトウェアを実行することが望ましい。
センサネットワークにおける位置情報
センサノードが取得した情報をアプリケーションから利用する場合，“情報を取得した位置” は欠かせない要素である．しかし，センサネットワークにおいてセンサノードの位置情報を取得するのは，無線通信デバイスによる通信の制約，計算処理能力の制約などが存在し容易ではない．
センサネットワークにおける位置特定方式
GOMASHIOモデルは分散するセンサノードが位置情報を持つGOMA ノードの位置情報とホップカウントを取得し自分の位置を計算する．また，存在する可能性のある範囲を求めることで，取得した位置情報に誤差が含まれる可能性を示す指標をアプリケーションに対して提供する．これにより，アプリケーションが位置情報を利用する場合には誤差を考慮することが可能となる．GOMASHIOモデルの詳細に関しては[1]を参照されたい。
[1] 2002年度 卒業論文 GOMASHIO：アドホックセンサネットワークにおけるノード位置特定方式岩谷晶子
GOMASHIOプロトタイプ設計
GOMASHIOでは、GOMAノードとSHIOノードの2種類が存在する。GOMAノードは位置情報を自力で取得可能で、その位置情報を周辺のノードに宣伝する。SHIOノードは複数のGOMAノードの位置情報を受け取って、自分の位置情報を計算によって取得する。図1にGOMAノードSHIOノードの必要機能を示す。ここでは位置情報の特定に関する機能のみを述べる。
GOMASHIOプロトタイプ実装
現在、一部の実装を実現している。実装環境を以下に示す。
l iPaqH3660 StrongArm（GOMASHIOプロトタイプを検証するアーキテクチャ）
l Blackdownjre（Java実行環境）
l jdk1.3.1 SE
前述の[1]ではモデルの評価目的のため、シミュレータ上での実装のみをおこなった。今回は、実機上での検証を目的に設計・実装を行っている。
2.今後の展望
今回は期間内に実装を完了することができなかったため、引き続き実装を行い、最終的に実機上での検証を行いたい。具体的には位置情報の精度やリソースの消費量についての評価を行う予定である。
また、本プロトタイプを利用したアプリケーションとして、以下のものを構築する予定である。
l キャンパス内ナビゲーションシステム
Ø GOMASHIOモデルのプロトタイプを用いて現在位置を取得し、ナビゲーションに利用する。ユーザが入力した目的地へ案内する。
l おにごっこシステム
Ø おにごっこをする人は全員本システムを導入した
3.今年度の活動報告
最後に、今期の主な活動を以下に記す。
l 平成
「ユビキタスサービス利用のための自律的なソフトウェアの構築」
[ http://www.ht.sfc.keio.ac.jp/ace/PROJECT-M/(現在作成中)]
ユビキタス環境において、環境側がユーザの状況や嗜好を認識し、アクティブに動作することによって、ユーザとさまざまな機器とのわずらわしいインタラクションを軽減することを目的とするソフトウェアの構築
l （共著論文）