研究の背景と目的

 近代社会の複雑化に伴い新たな都市開発手法や、より多様性のある都市構造が求められている。近代以前から中枢的な都市空間構成よりも複雑に関係し合う都市の方が優れているとする評価が存在したが、当時は複雑な仕組みを理解し実践する技術が無かったため概念の提案に留まっていた。しかし近年のコンピュータや複雑系科学の発展によってそれらを解明する手がかりが見え始めている。本研究では都市空間の遷移(移り変わり)を建物の建替えの積み重ねとして捉え、シミュレータの開発を通して建替えの行動決定プロセスをモデル化する。そしてシミュレータを利用して都市空間の形態を操作する様々な建替えの仕組みを比較・検証し、相互関係的な仕組みによる都市デザイン手法の可能性を探ることが目的である。

目的

「建替えの際に起こる行動決定プロセスの仕組みを  セル・オートマトンシミュレーションとして再現し都市の  形態遷移をモデル化する。」

「相互作用的な社会ルールを建物の建て替えの仕組みに  適用することによる都市デザイン手法の可能性を探る。」