結論・考察

相互関係モデルの特性

 それぞれのモデルが多様な機能や環境を作り出している。特定の都市の理想像を描きそれに向けた都市開発をする際に、特定の問題に限らず  複数の問題を同時に解決し、さらに付加価値を生み出す可能性がある。

一律モデルの特性

 目標とする都市像や問題解決を的確に行うことが出来るが、目的以外の  要素が犠牲になる危険性がある。また、複数対象の問題解決が困難で  あり、適応能力などの付加価値は生じにくい。

 

相互関係モデルの可能性

 相互関係システムを導入することによって、一律規制と同等またはそれ以上の機能を  保ちながら環境整備を行うことができることを明らかにした。またその過程で新たな  都市像が創出したり、都市の変化に適応するなどの付加価値が生まれる可能性も  確認できた。現段階では個々敷地の不平等が生じており、システムとしてのルールも  稚拙であるため都市への適用は難しい。しかしこれらの問題を解決すれば都市への  応用も実現するのではないか?

シミュレータの役割

 都市遷移のシミューレションは、対象地区の実際の街並みや遷移と比較して  ある程度の妥当性を持っているといえる。現段階ではまだ非常に簡易なモデル化しか  行っていないが、より精密なモデル化によって様々な都市政策ツールとして活用できる  可能性がある。本研究では設定しなかった、理想とする都市像を設定することによって  より現実的なシミュレーションが可能となる。