2003年度 森泰吉郎記念研究振興基金
国際共同研究・フィールドワーク研究採択 研究成果報告書
実空間インターネットにおける協調モデルの形成と実証
氏名 |
所属 |
村井純 | 政策・メディア研究科委員 |
斉藤賢爾 | 政策・メディア研究科後期博士課程 3年 |
石田剛朗 | 政策・メディア研究科後期博士課程 1年 |
松永敦子 | SFC 研究所 研究員 (訪問) |
涌島愛子 | 環境情報学部 3年 |
2004年2月27日
研究課題
本研究では、RFID (Radio Frequency IDentification) 技術等を用いて人、物、
環境の持つ情報をネットワークで利用可能にする実空間インターネットにおいて、
公平性を保ちつつ人間が協調するためのメカニズム群を仮説として提示し、
その検証を行う。
検証方法としては、小学生向けに販売される書籍 6,000部に RFIDタグを付け、
書籍を所持する参加者同士が協調しない限り達成できないゴールを設定し、
当該企画の参加者の挙動を観察する。
これにより、各協調モデルの効果とその限界を実地に調査する。
成果の要約
1,000人以上の参加者を想定していたが、現状は 100人ほどであり、
十分な数の参加者が得られているとは言い難いが、
別のグループを対象とした予備実験では、ある程度の効果が観測できた。
人と社会こそがこの研究の評価の尺度であるべきなので、
参加者が少ないことに関しては、
それ自体がメカニズムの欠陥を表していると受け止め、
阻害要因を分析し、改善の上、引続き調査を行なっていきたい。
研究を進める過程で、
実空間インターネットの全体的なアーキテクチャを整理できたのは
成果のひとつである。
また、RFID 技術とその可能性を世の中に紹介する点では効果があったと考える。
目次
- はじめに
- 背景
- 実空間インターネットの 5階層モデル
- 実験計画
- 実験の実施
- 経過報告
- 残された課題と今後
Web, 書籍, 論文, 講演などでの成果公開
実験 Web サイト
Web
書籍
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村井純「インターネットの不思議、探検隊!」, 太郎次郎社, 2003 (実験対象書籍)
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RFIDテクノロジ責任編集「無線ICタグのすべて」
第2部 応用/実験事例「市販の書籍にタグを付けた理由」, 日経BP社, 2004 (予定)
論文
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Kenji Saito, "Maintaining Trust in Peer-to-Peer Barter Relationships,"
Proceedings of 2004 Symposium on Applications and the Internet (SAINT 2004
Workshops), 2004, pp.582-588
講演
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斉藤賢爾「書籍への EPC準拠タグ搭載 〜 『インターネットの不思議、探検隊!』」
(凸版印刷株式会社との共同講演),
Auto-ID セミナー, 2003年10月
-
斉藤賢爾「グーテンベルグを超えて
〜RFID技術の導入による書籍の未来とそのメイキング」,
日本洋書協会セミナー, 2004年2月 (予定)
ポスター発表
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斉藤賢爾「Auto-ID 準拠タグ搭載書籍におけるインタラクティビティと信用・協調」,
21世紀 COE プログラム 国際シンポジウム
「インタラクティブ社会とコモンズ型社会基盤」, 慶應義塾大学, 2004年1月
謝辞
この研究を進めていく上で、
以下の皆様をはじめとする大勢の方々の助けをお借りいたしました。
ご協力を感謝いたします。
- 「インターネットの不思議、探検隊!」の読者の皆様
- 凸版印刷株式会社様
- 東レインターナショナル株式会社様
- トッパン レーベル株式会社様
- 株式会社難波製本様
- 株式会社ティー・エヌ六十様
- 株式会社 太郎次郎社エディタス様
- WIDE プロジェクトの皆様