2003年度 森泰吉郎記念研究振興基金 研究成果報告書
政策・メディア研究科 後期博士課程2年 酒井信
@研究課題名
日本型超国家主義思想の現代的再検討
A研究成果報告
本年度、夏に予定していた中国遼寧省での調査は、SARS流行のため、見合わせることになりました。ただちょうど申請希望額の半額の採択でありましたので、国内での調査と資料研究に支障はなく、これに専念することができました。
この研究を基にして、以下の文章を発表することができました。以下の文章はすべて、日本型超国家主義思想の検討を通して、近代日本のナショナリティを考え、これに引きつける形で戦前の日本が対峙したアメリカのナショナリティを考えたもので、現代アメリカに対する批評を行ったものです。
1 季刊文芸誌「en-taxi」2003 夏号 2003 6/27発売
「アメリカに「自由」のための戦争は可能か」 酒井信
内容
イラク戦争を契機に急速に実体化したアメリカの一極世界支配の戦略。国家間の危難を治める資格を有する唯一の「怪物(リヴァイアサン)」に自国を喩え、従来の勢力均衡による和平を嘲笑い、「力だけが楽園を作る」と宣言する、新しく、剥き出しな世界観への対症療法はどこにあるのか。
http://www.fusosha.co.jp/en-taxi/entaxi_2.html
2 季刊文芸誌「en-taxi」2003 秋号 2003 9/27発売
「裕仁天皇、アメリカン・フットボールを感得ス!!一昭和五十年の米国御訪問でアメリカン・カルチャーの英雄の姿に見極められたこと」 酒井信
内容
イラク戦後処理に躓き、今さらながらに国連を一枚噛ませようとするアメリカ国家に元より反省はない。外へ、外へ、と増大する意識は経済と軍事という両輪の力で歴史を捩じ伏せ、さらに奴碑を増やすべく皮算用に耽るばかりだ。私たちは、いかにして誇り高く生き延びるか。戦後という空間をフィクショナルな甘言で埋めてしまった先行世代の轍を踏まずに、アメリカヘの対抗軸を考える時、今、昭和天皇のさまざまな姿が甦る。
http://www.fusosha.co.jp/en-taxi/entaxi_3.html
3 季刊文芸誌「en-taxi」2004 春号 2004 3/27発売予定
「アメリカの自然とレーニンの理念(仮題)」 酒井信
B今後の研究
昨年のSARSの流行のため、現地に随行予定だった日本在住の中国人留学生の方々との話し合った結果、本年度は国内での調査と資料研究に専念することに決定することにしたが、今年(2004)年の夏に、再び中国に向かう予定を立てております。
SARSという不慮の事態に見舞われましたが、頂いた研究費でこれからの研究の準備を行うことができました。ありがとうございました。