2003年度 森泰吉郎記念研究振興基金 研究成果報告書

政策・メディア研究科博士課程
環境デザインプログラム
松原 康介


申請研究題目
現代イスラーム都市の多元的土地利用


本年度の標記基金による主な研究成果を以下の通り報告します。



1.学術論文 

【1-1】「フェスの新市街におけるモスクの創建過程と空間的特質について」都市計画論文集38、2003
【1-2】「モロッコ・フェス旧市街の保全再生政策の展開」Keio SFC Journal vol.3, 2004
【1-3】「フェスの旧市街における街路線制度を用いた近代型道路の形成過程と空間的特質について」日本建築学会計画系論文集、審査中

2.口頭発表

【2-1】「モロッコ・フェスの新市街−植民都市から現代モロッコの都市へ−」地中海学会月報267、2004

3.国際会議 
【3-1】"Islamic urbanity in modern planned city", The first work shop for planning and networking of historical cities in Eastern and Central Asia , Kunming, 2004


本研究は、モロッコの旧都フェスについて、旧市街の保全再生と市域全体の成長管理を一体的に行う政策立案を目的としている。研究は大きく、「歴史的考察」、「フィールドワーク」、そしてそれらに基づく「政策分析」の3パートに分けられる。

【1-1】は、研究計画中「フィールドワーク」に当たる部分の一章分に相当し、フランス保護領時代に建設された新市街が、独立後にモロッコ人自身の手によりいかなる継承と再利用がなされてきたかを考察するものである。新市街におけるモスクの創建と空間的特質に着目してこれを明らかにした。
【1-2】は、研究計画中「政策分析」に当たる部分の一部に相当し、旧市街の歴史的環境がいかに保全・再生されてきたのかを明らかにした。保護領時代における文化財指定行政から、世界遺産指定以後の本格的な再生プロジェクトにいたるまでの政策分析である。
【1-3】は、研究計画中「フィールドワーク」に相当し、旧市街において60年代になされたフェス川の暗渠道路化の理念と、実際の道路空間の特質について明らかにした。旧市街内の自動車道路の貫通は拙速な近代化の事例であり、これがいかなる理由で、いかなる手法でなされたのかを明らかにし、今後の旧市街再生のあり方の指針を得るものである。


【参考】
主要業績一覧