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はじめに

近年,計算機を用いてマルチメディアアプリケーションを利用する機会は多く, 音楽の再生や,テレビ,DVDの閲覧といった様々な作業が計算機上で利用されている. また,一方で家電機器や高性能なスピーカ,ディスプレイといったAV機器が,ユーザの周辺に存在し, 自由に利用可能になりつつある. これらの機器は,IEEE1394[1]やBluetooth[2]といった ネットワーク技術を用いたホームネットワーク環境で, AVデータの送受信も可能となる. 様々な機器がネットワークを介して協調することで,ストレージメディアや ストリーミングメディアを用いた,メディアアクセス環境をユーザに提供可能となる.

このような背景から,従来までの単体の計算機に頼ったメディアアクセス環境ではなく, ユーザの周辺に存在する機器の協調によって,いつでもどこでも利用可能な メディアアクセス環境を構築することが考えられる. 既存のモバイルコンピューティングにおいても,いつでもどこでも利用可能な計算機環境の 実現を目的としているが,主にラップトップPCやPDAなどを持ち歩くことで,場所や 時間を選ばない計算機環境を提供することに主眼が置かれている. これに対し,本研究では部屋や公共の空間に様々な機器が埋め込まれ,ユーザからネットワーク を介して利用可能な環境を想定する. この環境において,ユーザが行く先々で周辺の機器を組合せてその要求を実現することで, いつでもどこでも利用できる計算機環境の実現を目指す.

このような計算機環境を実現するために,様々な構築形態が考えられる.周辺 の機器の組合せや,利用環境の動的な構築は,パーベイシブコンピューティン グ[3]やユビキタスコンピューティング [4][5]といった分野で研究が行われている. 本研究ではこれらの研究を踏まえ,いつでもどこでも利用可能なメディアアク セス環境の実現を目指し,以下の課題に取り組む.

上記の課題の実現のために,本研究ではWappletフレー ムワークを提案し構築する.Wappletフレームワークは,周辺の機器を適宜利 用してメディアアクセス環境を提供するためのアプリケーションフレームワー クである.本フレームワークを利用することで,周辺の機器を協調し,また利 用できる機器の変化に適応可能なアプリケーションを構築できる



Takeshi Iwamoto
平成16年2月27日