2003年度森基金研究報告書


政策メディア研究科1年 ITプログラム モービル広域ネットワークプロジェクト所属
学籍番号:80331285
CNS/ERNSアカウント名:irino
氏名:入野仁志


民生用映像機器を用いた映像転送システムの研究

BS デジタル放送の開始によりデジタル映像機器が一般に入手可能になった。本研究ではこれらのデ ジタル映像機器をインターネット上の映像転送システムの一部として利用する。これによりインターネットで 民生用映像機器の高品質な映像転送を可能とする。 本研究では既に研究、開発が進められているDVTS(Digital Video Transport System)を拡張して、デジ タル放送で用いられ、品質の変更が可能などネットワーク親和性の高いフォーマットであるMPEG2-TS フ ォーマットへの対応を行う。DV フォーマットとMPEG2-TS フォーマットの両対応により現在一般入手可能 な殆どの民生用映像機器に対応できる。

MPEG2-TS対応DVTS

以下の動作を行うディジタルビデオ(DVフォーマット、MPEG2-TSフォーマット、IEEE1394パケット全体)転送システム(送信側)を開発した

以下の動作を行うディジタルビデオ転送システム(受信側)を開発途中である。

送信側においてはRFC2250での送信を実現している。
受信側では、MPEG2のビットレートが可変であるため、IEEE1394のペイロードがないパケット(以下、空パケット)の生成タイミングが定まらず、 MPEG2-TSの生成ができていない。これはMPEG2-TSを再合成して作られるPES(パケタイズドエレメンタリストリーム)に含まれるPTS(プログラムタイムスタンプ)を元に生成しなおす方法を考えているが、まだ正しく動作する状態に至っていない。今後も開発を続ける。
またIEEE1394パケット全体を送る方法では、HD画質の映像転送を実現している。 なお、DVTSはマルチプラットフォームに対応しているが、これらの研究はLinux上のみで実装しているためまだリリースは行っていない。

映像制御可能なDVTSの開発

現在配布しているUNIX版のDVTSソフトウェアは実際に利用する際に、送信 側、受信側が個別に動作するため、連携した動作が不可能であった。この 問題に対してRFCに定められている映像制御を目的としたプロトコルRTSP を用いて、映像制御およびそれに伴う機器制御を行い解決を図った。 この研究発表を 第116回 マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会 で行った。(論文)

ハードウェアDVTSの開発

現在DVTSの開発と、その普及の為の活動は産学協同のDVTSコンソーシアムを中心に行われている。 DVTSコンソーシアムに参加している日本Victor株式会社と共同でハードウェア型のDVTSのプロトタイプを作成した。 このハードウェア型DVTSは、これまでPCで行っていた役割をDV機器の中に同梱しており、 この結果、遅延の更なる減少(IEEE1394の伝送がないため)と操作の簡易化を実現した。 このハードウェア型DVTSのデモをORFおよびInterbee2003で行った。