2003年度 森基金研究報告書

政策・メディア研究科 修士課程1年
坂爪 あや子(80231840)
E-mail: tsumeko@sfc.keio.ac.jp


修士論文要旨 2003年度(平成15年度)

教育改革における校長任用施策の意義とその効果的な運用方法に関する研究

 本研究は、「公立学校における校長任用の施策」を対象としてその実態を調査・分析し、新しい校長任用施策の意義の研究と、今後の任用施策の効果的実施に向けた提言を行うものである。
 中教審答申の資料などから浮き彫りになってきた教育改革の目標とは、「学校の自主性・自律性の確立/地方分権化」「地域との連携の促進/アカウンタビリティの担保」「特色のある教育の推進/多様性の確保」の3つである。本論文では、校長任用の施策が教育改革の目標との整合性を確保するためには、「本人の意欲」「配属先が予め決まっていること」「校長決定の過程で地域住民の意見を採り入れる機会」という、校長任用プロセスにおけるポイントが3つと、「校長の裁量権」という、校長が実際に学校運営を行う際のポイント、合計4つのポイントが必要であり、これを満たすことができるかどうかが、校長任用施策の本来の目的達成の成否を左右するという仮説を立てた。また、現在実施されている校長任用プロセスに関する施策は、「一般公募」「企業団体への推薦依頼」「教職員に対する公募」「公募かつ選考過程で地域住民の意見を採り入れている」の4パターンに分けられるが、それぞれが上記のプロセスに関る3つのポイントをどれだけ満たしているか、教育改革の目標を達成するためにはどのパターンが有効かを、以下の調査により導き出した。
 まず、全国47都道府県の教育委員会に対してアンケート/ヒアリングを行い、30自治体から回答を得た。この調査では、各自治体の校長任用施策に対する取り組み状況についての現状把握を行った。さらに、先進的な取り組みを進めている自治体の教育委員会、新しい校長任用施策によって任用された校長、校長選考の際に関った地域住民の代表を対象にインタビューを行い、任用パターンごとの校長の意識や抱えている課題、各教育委員会の改革に対する姿勢などを抽出し、仮説に当てはめて検証を試みた。
 その結果、校長任用施策を実施するにあたって、前述の「4つのポイント」をうち、少なくとも「本人の意欲」は満たされていることが、教育改革の3つの目標を達成するための前提であることとともに、それ以外のポイントを満たすうえでの課題が教育委員会の姿勢も明らかになった。そのうえで、効果的に校長任用施策を行うための提言を行った。

5つのキーワード

1. 校長任用   2. 校長の裁量権の拡大   3. 教育委員会   4. 地域との連携   5. 教育改革



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