2003年度 森泰吉郎記念研究振興基金 

政策・メディア研究科 ジオインフォマティックスプログラム 

修士1年 石渡佐和子 sawa@sfc.keio.ac.jp

 

「リスク評価の観点からみた最終産業廃棄処分場の立地評価」

1.背景

廃棄物問題は私たちの生活に密着した環境問題であり、共通の課題として早急な解決が求められている。中でも産業廃棄物に関しては、ダイオキシン問題などで業者への不信感は高まり、住民の反対で産業廃棄物の処理場や埋め立て処分場などの新設は難しくなっているのが現状である。しかしリサイクルが進んではいても、産業廃棄物は確実に排出されており、最終処分場の欠乏による不法投棄の増加、そして環境汚染による住民の不信増という悪循環を招いていることも多い。そのため、行政・業者・市民が協力してこの問題に取り組んでいく事が重要である。

 これまで産業廃棄物は業者によって処理が行われていたが、近年の立地難・環境対策のコスト高によって、民間による産業廃棄処分場の設置が困難になった。そこで自治体が媒介となって合意形成にあたっていくことが重要であると思われる。神奈川県は公共関与として県内の産業廃棄物処分場の立地について計画を進め、横須賀市の芦名地域に最終産業廃棄物処分場を設置することを決定した。しかし神奈川県は自治体の役目である民間と住民との架け橋になることはできず、地元住民との合意形成が達成されないまま一方的に横須賀市に設置許可認定を提出する運びとなった。

 これらの背景を受けて、本研究では新設が困難である最終産業廃棄処分場の立地における定量的なリスク評価を目的として研究を行っていく。

 

2.研究対象

研究対象は横須賀全域とする。横須賀市の南西部に位置する芦名が今回問題となっている廃棄物処分場決定地である。

 

 

 

 

 

 

 

 


本研究では、芦名が市内の中で、最も適している場所なのかを調査することを目的とする。そこでDEM(Digital Elevation Model)のデータと、横須賀市より発行されている傾斜危険箇所のデータを用いて、住宅密集地域と活断層の分布を検証し、処分場適地選択について検討を行った。

 

 

上の図は青が海岸線で、赤が活断層、黄色が想定断層を示す。黒く表示しているのが一般住宅地となっている。