研究課題名: 統計的手法と認知・脳科学的手法による絵画の解析とその応用

所属:慶應義塾大学 政策・メディア研究科 MMIプロジェクト 博士課程

氏名  福本麻子

研究概要

自然界には様々な揺らぎが存在している.木々の紅葉や木目の色の変化、鳥の群れ、海の波のリズムなどが挙げられる.その中で特に1 / fの揺らぎを持つ物は、生態に心地よいものとしてよく知られている.
本研究では色彩の調和に特徴をもつ印象派絵画に着目する.印象派絵画に対して統計的手法を用いて解析を行なった所、色彩情報は複雑性が高く、また絵画の各色が現れる順位と頻度の関係はZipfの法則(冪乗則)に従うことがわかった. (図1 (a),(b)参照)

また、印象派絵画が冪乗則に従うを応用した、各絵画で使われたパレットカラーの抽出手法を提案した.本手法で抽出した結果を史実や、英ナショナルギャラリー、オルセー美術館などの専門家が行なっている科学的解析と照合した所、整合性のある結果であった.本手法はパレットカラーを抽出する手法として有効であることが示された.(図1 (c),(d)参照)

冪乗則はすでに述べたように自然界によくみられる特徴で、人間が心地よいと感じるといわれている.我々は絵画の色彩情報が冪乗則情報に従っていることと、人間が感じる”心地よさ”が関係しているのではないかと推測し、ランダムドットノイズを用いた認知実験を行なった.その結果、人間が感じる心地よさとZipfの法則には関係がみられた.(図1 (e),(f)参照)

 

図1 解析および実験結果

本研究の対外発表など

学会発表など

・ヒューマンインターフェースシンポジウム, 2004年10月 京都 (口頭発表)

・Applied Perception of Graphics and Visualization, August,2004 Los Angeles (poster)

・Siggraph 2004, August,2004 Los Angeles (poster)

論文誌

・ヒューマンインターフェース学会 論文誌(投稿中)