2004年度 森泰吉郎記念研究振興基金 研究助成研究報告書

「研究者育成費 修士課程・博士課程」

 

本年度に森基金を森泰吉郎記念研究振興基金により研究助成を受けられたため、

資料のコピーができ、調査が進み、大変に研究が捗りました。

この紙面にて御礼を申し上げます。

有難うございました。

以下は本年、研究した成果であります。ご報告申しあげます。

 

研究課題名:       水辺環境に着目した都市再生に関する研究

研究代表者氏名:                                          政策・メディア研究科・博士 課程

                     鹿 内 京 子

 

テーマ

世界各国の都市において、新しい都市文化の発信に向けた都市再生が行われている。都市における水辺環境はそれぞれの都市の固有の文化をあらわすものであり、都市再生の重要な課題となっている。本研究は東京を対象としかつての水網都市の構造に光をあて、都市再生の政策提案を行っていくものである。

1.河岸の歴史的変遷 (土地利用、土地所有、法制度)についての調査 

. 東京下町全体における河岸の変遷についての調査       

3.都市再生における水辺環境の政策、創出に対する提言

東京の下町河川において都市再生計画に関する研究は高速道路、緑地、河川の個別の事例から個々に評価するものがこれまで多くされてきたが、本研究は歴史文化の文脈を取り込み総合的に評価を行うという点で特徴がある。

 

 

1.河岸の歴史的変遷についての論文発表を行った

日本橋の河岸についての論文発表

・平成16年度() 日本造園学会研究発表2004.5.23 静岡県浜松

査読論文:鹿内京子,石川幹子 (2004) :明治以降の日本橋における三河岸の歴史的変遷に関する研究:ランドスケープ研究6(5),375-380                                                   

 

・2004年度.国際計画史学会(IPHS)発表2004.7.16 Barcelona

査読論文: Kyoko Shikanai,Mikiko Ishikawa,(2004) “A Study of the Evolution of Open Space System, “Kashi” in the Downtown Riverside Area of Tokyo after the Meiji Era.   

 

..本年度は古川沿いの河岸と桜川沿いの河岸について調査を行った。

古川について、北金杉河岸、南金杉河岸、芝新門前河岸の調査

現地調査  写真撮影 分析評価 

歴史的検証 資料より分析 港区役所(港区史、麻布区史、芝区史)

地籍調査   法務省にて港区の公図(麻布、芝1,2丁目、芝公園等)、登記簿調査

論文作成 「古川における三河岸の歴史的変遷に関する研究」 提出中

 

桜川について、北桜河岸、南桜河岸の調査

 現地調査  写真撮影 分析評価 

歴史的検証 資料より分析 中央区役所、郷土資料館(日本橋区史、京橋区史)、日本橋図書館

地籍調査   合同庁舎にて中央区の公図、登記簿調査          

 

以上の方法で今年度において水辺環境に着目した都市再生に関する研究の調査を行った。

図は1例を示す。

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


3.都市再生における水辺環境の政策、創出に対する提言

第三項目で、都市においていかなる方法で水辺によい環境を取り戻すことが可能であるかを考察した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


図の中に見るように、2002年の金杉河岸には空地がこれだけ残され、公有地も残存している。

これらのオープンスペースを活かした水辺空間を新たに創出し、街と一体化した複合都市空間を

生み出すことが可能である。

 

金杉河岸には写真に見られるように、約10軒の船宿が営業を続け、多くの屋形船が繋留されている。 

金杉河岸は明治期から1世紀半を経た平成の現在でも河岸として機能し続けている数少ない地区である。

 

これらを踏まえて古川の河岸に新しい川沿い空間を創出することを考える。

1例として、地区計画による高さ制限を加え、ダウンゾーニング

       空中権の背後の街への譲渡

       川側に段階ごとのセットバック。屋上緑化。

       立体公園制度の導入により建て替え料を安価にすることで立替えの推進を行う。

       1階に川へのアクセス空間を義務付ける。

今後、さらに具体的に方法に関して詰め、評価していく必要があると考える。