2004年度 森泰吉郎記念研究振興基金
研究成果報告書
高齢化の進展が住宅需要に与える影響について
−人口移動がもたらすマンション需要−
政策・メディア研究科 修士課程1年 80424903 白石 賢生
0.はじめに
今期の研究活動は以下の流れで取り組んできた。
4月〜7月 住宅に関する基礎的知識の習得
8月〜10月 研究テーマの練り直し
11月〜1月 住宅の耐用年数に関する研究
1月 人口移動が住宅市場(需要)に与える影響という研究構想が固まる。
今期の研究成果として、具体的な研究計画と今後の方向性が定まったので、以下に示す。
1.研究の目的
本研究は、地方都市におけるマンション需要の予測を行なう事を目的とする。マンションを購入する可能性のある潜在的購買人口を明らかにすることで、マンション立地可能性を考察する。
2.対象地域
最初の段階においては北部九州4県(福岡、佐賀、長崎、熊本)をおもな対象地とするが、理論を実証する段階においてはこの限りではない。
3.理論モデル
現段階で考えている仮説は以下のとおりである。まず、一戸建と共同住宅の分布図を参照されたい(図1、2 なお、この図は不動産Dの課題において作成したデータを元に作成している)。
図1 一戸建住宅分布
図2 共同住宅分布
一戸建の分布と比較して、共同住宅は狭い範囲に分布していることがわかる。また、共同住宅が分布している地域はおもに人口集中地区である。つまり、共同住宅は都市的な住宅として都心を中心に立地していると考えられる。このことをモデル化したものが図3である。
ここで、住宅の建て方別に世帯を2種類に区分したい。一つ目の分類は、昔からその地域に住む住民で、後継系と呼ぼう。いまひとつは、他の地域から転入してきた住民で他出系と呼ぶ。後継系は住宅の立地に関して現住地を優先するのに対して、他出系は利便性を優先して立地を決めるのではないだろうかという仮説を考えた(図4)。人口移動の結果が住宅の建て方にあらわれているのではないだろうかという考えである。
この仮説に基づくと、小地域におけるマンション需要を明らかにするためには、他出系の人口を把握しなければならないことになる。首都圏においては他出系が大半を占めるため、本研究の必要性はあまりないだろう。地方都市のマンション市場を解釈する場合において、本研究の意義があるものと考えられる(図5)。
4.方法
共同住宅がどのような場所に立地しているのかという情報をまず考察する。また、人口移動以外の要因を考慮するため、特殊な特徴を持った都市を比較することによって、攪乱要因を定量的に把握する。
比較する都市の例として、現段階で構想中のものを示す(図6)。