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背景と目的

 近年、社会の情報化に伴い、氏名・連絡先・クレジットカード番号などの個人情報の価値が非常に高くなり、情報の機密性が強く一般的に求められている。また、携帯電話・ノート PC などモバイル機器の普及と無線 LAN など情報ネットワークの構築によって、情報をいつでもどこでも容易に扱うことが可能になった。その結果、高い機密性が求められるはずの情報がいつでもどこでも扱われるようになってきている。しかし実際の物理環境下においては、情報を覗かれる可能性が高く、人々は安心して機密性の高い情報を扱うことができる環境を確保できないでいる。
  本研究では機密性の求められる情報を安心して扱うことのできる物理的な環境「 Secured Space 」をデザインすることを目的としている

 
これまでの
研究活動

 昨年9月より始まったこのプロジェクトでは、これまで様々な角度から情報入力環境やその環境の与える心理について調査してきた。建築学・人間工学・社会科学・環境心理学など様々な分野の視点からスタディした結果、情報入力の際、人は背後に対してセンシティブになることなどが分かってきた。このようなスタディを踏まえ、実験室や大学のキャンパス内で数度の実証実験を繰り返した。
  実証実験では既往研究スタディを元に、簡易な実験用ワークスペースを作り、その中で被験者に情報入力作業を行ってもらい、どれだけ安心を得られたか評価してもらう方法で検証した。これらの実験を通して、安心して情報を扱うためのワークスペースの広さやパーティションの高さを得ることができた。
 



調


調査目的

 これまでの調査によって、安心を作り出すための環境要素がいくつか抽出することができた。この抽出した要素を適用した環境をデザインし、そのデザインが安心を与えることができるのか、実際のパブリックスペースにおいて検証する。
 

調査実施場所
 
今回、実験を行うにあたって、三菱地所様を得ることができ、丸の内・丸ビル7Fというパブリックスペースにおいて実験が行えることになった。これまでの研究では実験室や大学キャンパスという制限されたスペースであったため、真のパブリックスペースでこれまでの知見を検証する必要があった。

丸の内ビルディングHP : http://www.marubiru.jp/
 
実験調査方法

 今回、パブリックスペースとして丸ビル7Fのロビースペースにおいて、実験用ワークプレイス を 2 台置いて実験を行う。実験用ワークプレイスはアルミのフレームと、フレームに固定された脱着可能なアクリル板からなり、前後左右のパーティションの高さが簡単に変化できるようになっている。そしてこのワークプレイスを用いて、これまでの知見を踏まえ、 10 パターンの環境を用意する。
  被験者にはそれぞれ 10 パターンの環境において簡単な情報入力作業を行ってもらう。そして、作業中に環境に対してどのような印象を持ったか官能評価をしてもらい、その評価の分散分析によって検証を行う。
実験は
@調査員によるパーティションの脱着
A被験者による作業・評価
の繰り返しで行う。
 

実験期間

2004 年 10 月 20 日から 2 週間程度。
2人1組として、1日2組、各組2時間程度。
 





デザインの
適用
 
本研究では、新しい情報入力環境をデザインすることを目標としている。例えば、情報のセキュリティが高く求められる銀行のATMや、レンタルオフィス、空港のラウンジなどに適用できると考えている。私たちはSecured Spaceのプロトタイプモデルを安灯-andon-と名付け、デザインを進めている。
  また、建築計画において「安心」という新たな切り口を提案できるものと考えている。



Keio University
Graduate School of Media and Goverance
Akiko Watanabe Lab.
Yusuke Goto
y510@sfc.keio.ac.jp

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