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2004年度 森泰吉郎記念研究振興基金「研究育成費」研究成果報告書
マルチエージェントシミュレーションによる貨幣システムの生成プロセスの分析 津屋 隆之介 慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科 修士課程 0. 研究成果の概観
研究者は、2004年度 森泰吉郎記念研究振興基金「研究育成費」を受給し、
以下の2つの研究活動を行った。
1. 規制緩和前後の卸電力市場における価格変動分析
2003年度春学期より活動している社会シミュレーション勉強会で扱っていたテーマのひとつに『電力市場の規制緩和における価格変動の分析』がある。春学期は、その研究成果をまとめ、ESSA04 ( European Social Simulation Association )に投稿し、Parallel Sessionに採択された。2004年度秋学期開始直前に、口頭発表を行った。
Analysis on the Factor of Price Volatility in Deregulated Electric Power Market [ Paper(.pdf, 637k) / Presentation(.pdf, 1414k) ] Ryunosuke Tsuya ( Keio University; torasan@sfc.keio.ac.jp ) Naoto Sato ( Fujitsu Research Institute; nasato@fri.fujitsu.com ) Takashi Iba ( Faculty of Policy Management, Keio University; iba@sfc.keio.ac.jp ) Yoshiyasu Takefuji ( Faculty of Environmental Information, Keio University; takefuji@sfc.keio.ac.jp ) 2. 社会シミュレーションの作成を支援するタイプとパターンの提案と評価
社会シミュレーション研究におけるモデル作成を支援するタイプとパターンを提案・評価して、修士論文として提出した。
社会シミュレーションの作成を支援するタイプとパターン [ Paper(.pdf, 5033k) / Presentation(.pdf, 3446k) ] ABSTRACT 本論文では、社会シミュレーションの作成を支援するためのモデル・タイプとモデル・パターンを提案する。 近年、社会現象を理解するための手段としてシミュレーションが注目されており、そのための支援環境が提案されている。それらの支援環境によって、対象領域から概念モデルを作成して、その概念モデルに基づいてシミュレーションのためのモデルを構築することができる。しかし、モデルをどのように構築するのか、に関する明示的な指針が存在せず、モデル作成者は、経験によって培った暗黙知に頼らざるを得ないという現状がある。今後、シミュレーションが広く用いられるためには、そのような暗黙知を形式知にして、体系化することが必要である。 その必要性を踏まえて、本論文では、さまざまな対象領域を分析するなかで繰り返し現れるモデルの構造を、モデル・タイプとして記述することを提案する。そして、具体的なモデル・タイプ・カタログを提示する。モデル・タイプは、対象領域から概念モデルを作成するためのメタファーとなり、モデル作成者は、シミュレーションのために対象領域から何を抽出するのか、に関する指針として用いることができる。 また、シミュレーション設計時に繰り返し現れる問題とその解法をまとめたものとして、モデル・パターンを提示する。そして、具体的なモデル・パターン・カタログを提示する。モデル・パターンを用いることによって、モデル作成者は、設計上の課題に対する解決策を、「新たに見つけ出す」のではなく、「いくつかの候補からつを選び出す」ことができるようになる。 本論文では、提案されたモデル・タイプとモデル・パターンの有効性を明らかにするため、代表的な事例に適用する。これにより、社会シミュレーションをモデル・タイプとモデル・パターンを適用することで作成できることが示された。 KEYWORDS メタファー, モデル・タイプ, 概念モデリング, モデル・パターン, シミュレーションデザイン |
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