2003年年度 森泰吉郎記念研究振興基金 報告書

市町村国保の保険者規模拡大と収納率の分析

政策・メディア研究科2年 

医療福祉政策・経営プロジェクト所属 

  古城 隆雄 

 

<研究概要>

市町村を保険者とする国民健康保険制度は,日本の医療保険制度を支える重要な制度であるが,現在,存続の岐路に立たされている。その原因は,急速な高齢化による給付費の増加と経済成長の低迷による保険料収入の低下にあり,国保保険者の給付リスクと負担能力の均衡が崩れ,保険者間でその格差が拡大している。国民の間には,国民健康保険制度に対する不信感が生まれ,収納率が低下するという事態が発生している。現在国民健康保険制度には,1)国保保険者間での公平性の問題,2)国保保険者内での公平性の問題,3)被用者保険との公平性の問題,4)財政基盤の脆弱性の問題,5)保険料収納率の低下の問題,の五つの問題があり,早急な解決が望まれている。

本研究では,これらの問題を解決する方法として,保険料の限度額の引き上げと応益部分の保険者間の共通化を,財政規模を拡大して行うことをあげた。そして,それらの政策を具体的にシミュレーションすることによって,問題解決に対する効果を具体的に検証した。また,限度額の引き上げや財政規模の拡大を行った時に,保険料収納率が低下しては問題解決のための政策になりえない。そこで,収納率に関する決定要因分析についても行い,収納率に影響を与えている要因の解明と提言している政策が収納率に及ぼす影響について分析を行った。

 

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